佐々木 貴範写真展
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変貌-3.11 釜石
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2/27 (水)
~3/12 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
2011年3月11日14時46分頃に発生した東北地方太平洋沖地震(M9.0)に伴う大津波は三陸沿岸の町々に甚大な被害を与え、その風景を一変させた。この地域はリアス式海岸であるため過去に何度も津波による被害を受け、そのたびに変貌と復興を繰り返してきている。
本展では、作者の故郷・岩手県釜石市の被災前の光景(モノクロ)と現在(カラー)とを一対にし、その変貌の様子を展示する。このカラー写真は2012年8月に撮影したもので、約1年半の歳月を経て瓦礫は撤去され、街中は櫛の歯が抜けるように更地化していった。
街中から瓦礫は消えたが、他の場所に集められただけで、その処分も課題が多い。同様に復興計画の青写真は見えてきたが、最終決定するまでには至っていない。ましてや復興したと言えるには相当の年月が必要だ。つまり、いまはまだ復興へのスタートラインに立ったばかりとも言える。
これが、ともすると忘れ去られがちな被災地の現状である。決して他人事ではない。作者は、これらの写真を通してそれぞれの故郷を想い、考える機会になればと思っている。
カラー19点・モノクロ19点。
作者のプロフィール
佐々木 貴範(ササキ タカノリ)
1967年岩手県釜石市生まれ。4歳まで過ごす。91年東海大学大学院工学研究科修了後、日本高速通信株式会社(現・KDDI)に入社。97年退職後、日本写真芸術専門学校入学。99年同校卒業。写真家樋口健二氏に師事。現在、「東北」「釜石」「家族(絆)」「表現者」などをテーマに、フリーランスとして活動している。釜石応援ふるさと大使、日本写真家協会会員。
主な写真展に、2002年「消えゆく光景・釜石橋上市場」(シープラザ釜石)、05年「海の神・山の神―三陸釜石の祭り―」(オリンパスギャラリー)、09年「鉄の町・釜石」(アイデムフォトギャラリー・シリウス)、12年「釜石呑ん兵衛横町―3.11復興へ―」(ペンタックスフォーラム)、その他グループ展、作品寄稿多数。また、写真集に『釜石橋上市場―追憶の光景』(無明舎出版・07年)がある。
2013年ニコンサロン特別企画展 Remembrance 3.11
北島 敬三写真展
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PLACES
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3/13 (水)
~3/26 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
企画主旨
東日本大震災から二年が過ぎようとしています。甚大な被害を受けた被災地では復旧が進んでいるように見えながら、その爪痕は今なお残り、多くの人々は未曽有の体験がもたらした深い悲しみやトラウマを忘れることができないでいます。
写真の世界も同様です。多くの写真家たちが被災地へ出かけ、写真にできることは何なのか、写真を撮ることとは何なのかを問われ続けてきました。
ニコンサロンでは大震災から二年という節目にあたり、企画展を開催しあらためてこのカタストロフィの意味を省察したいと考えます。
Remembranceという言葉は、記憶や回想だけではなく、追悼や形見という意味も持ち、何よりもそれは想い出すことが現在をつくりだすことを示しています。それは写真の本質とも重なってきます。
日本人の誰もが記憶を持ち、今なお語り続けているこの震災の意味を、再生への手がかりとして展示と対話から浮かびあがらせたいと思います。
写真展内容
北海道の釧路に着いた翌日の午後、作者はこれまで経験したことがない大きく長い揺れに襲われた。ただ事ではないと思い、早々と撮影を切り上げホテルに戻り、テレビのスイッチを入れた。震源地は三陸沖、マグニチュードは8.9、東北の太平洋沿岸は津波の危険性が非常に高い、刻々と情報が伝えられる。各地のテレビ画像は、どれもみな港周辺を注意深く定点観測している。まだ海は静かで、ときおり人影も見えた。しかしみるみる水かさが増し、黒い津波が堤防を乗り越えて襲ってきた。なす術も無く、船も、車も、家屋も、何もかも押し流され破壊されてゆく。宮古、釜石、気仙沼、仙台、同時中継の画像が次々と切り替わる。釧路港周辺も映し出された。私が先ほどまで撮影していたショッピングモールの駐車場でも、クルマがどんどん押し流されている。ホテルから徒歩10分の距離だ。思わず立ち上がり、窓から外を見た。普段と変わらない様子に少し安堵したが、作者の足は震えていた。
それから毎日、写真を撮る以外は、被災地や原発事故のテレビ画面に釘付けになっていた。作者は、その非現実的な映像に戦慄した。しかし同時に、尺度を超えた自然現象を見るときのような崇高さを感じたのも事実だ。そんな余裕があったとすれば、作者が見たテレビ画像には、すでに配慮がほどこされていたのかもしれない。やはり後で聞くと、集められた未編集の映像の生々しさにショックを受け、体調を崩し職場を離れたテレビ局スタッフもいたという。
大災害が起こるとすぐに被災地を撮影する者がいる。間接的な関わりを模索する者もいるだろう。無関心こそを是とする者もいるはずだ。たとえ千年に一度の大災害であろうと、いきなり自分の撮影対象か、否かを考えてしまうところに落とし穴があるのではないか。確かなのは、このまま予定通り3月末まで北海道各地の風景の撮影を続けることだと思った。そして4月初旬、作者は決意して被災地を訪れた。
作者のプロフィール
北島 敬三(キタジマ ケイゾウ)
1954年長野県生まれ。81年日本写真協会新人賞、83年第8回木村伊兵衞賞、2007年第32回伊奈信男賞、10年第26回東川賞国内作家賞、日本写真協会作家賞、12年さがみはら写真賞を受賞。
個展・グループ展多数開催。2009年には個展「PORTRAITS」(RAT HOLE GALLERY)、「北島敬三1975-1991」(東京都写真美術館)を開催。
主な写真集に『写真特急便 沖縄』(全4巻・パロル舎/1980)、『NEW YORK』(白夜書房/1982)、『A.D.1991』(河出書房新社/1991)などがあり、最新刊に『The Joy of PORTRAITS』(RAT HOLE GALLERY/2009)がある。
山口 聡一郎写真展
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FRONT WINDOW
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3/27 (水)
~4/9 (火)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者の生活する地域では、クルマが重要な移動手段である。そんな中で、自然と人、あるいは田舎と街との境界の風景が、クルマのフロントウインドウの向こうに近づいては後方に遠ざかる。その繰り返しの風景が、田舎に住む者の記憶に刻み込まれ、思い出となっていく。
記憶に残された風景には、忘れてしまいたい憎しみや悲しみを思い起こさせる風景もあるし、楽しかった思い出の風景もある。人は、それら全ての風景を体のどこかに隠し持ちながら生きていくしかない。
そんなことを思いながら、カメラを片手にハンドルを握り、岡山県東部の作者の生活する近辺と、ときどき出かけるなじみのある場所を撮影した作品である。カラー45点。
作者のプロフィール
山口 聡一郎(ヤマグチ ソウイチロウ)
1959年佐賀県生まれ。佐賀県立鹿島高等学校卒業。法政大学中途退学。東京写真専門学校(現・東京ビジュアルアーツ)卒業。東京にてフリーランスで活動し、2002年に岡山県に移住。
写真集に、『都市回路』『EAST POINT』『SILENT RIVER』『Climate』などがある。