写真展内容
写真を志し、大阪芸術大学に集って修練を積み、いままさに各方面に旅立とうとする学生たちの作品展である。
作品は、各人が卒業制作としてテーマを選び、それぞれが習得した知識と写真技術を駆使し、研究・創作を重ねた成果である。
本展では、卒業生の中より優秀と認められ選抜された作品と、卒業生全員のポートフォリオ作品を展示する。作品制作者それぞれの感性に触れてもらい、旅立つ若者たちへの温かい声援を願っている。
写真を志し、大阪芸術大学に集って修練を積み、いままさに各方面に旅立とうとする学生たちの作品展である。
作品は、各人が卒業制作としてテーマを選び、それぞれが習得した知識と写真技術を駆使し、研究・創作を重ねた成果である。
本展では、卒業生の中より優秀と認められ選抜された作品と、卒業生全員のポートフォリオ作品を展示する。作品制作者それぞれの感性に触れてもらい、旅立つ若者たちへの温かい声援を願っている。
国は福島第一原発事故後、同心円で20㎞までを警戒区域、30㎞までを計画的避難区域とし、それに続く放射線量の高い飯舘村や川俣村の一部も避難区域に指定した。そして今年の4月、これらの区域は新たに帰宅困難地域・居住制限区域・避難指示解除準備区域と線引きを見直した。
帰宅困難区域は絶望的な立入り禁止区域で、居住制限区域は空間放射線量が年間被ばく積算20~50mSv(ミリシーベルト)のエリアで、立入りは可能だが住むことはできない。単純計算では2.28~5.7μSv/h(マイクロシーベルト/時)を計測する区域だ。
作者は、震災の1カ月後から三陸の被災地を数度取材した。その都度帰路は、国道6号を南下し、南相馬から飯舘村の道を選んだ。人気の無い村を通過するたびに、「見てゆくのはフクシマだ!」と確信するようになった。そして、翌月から立ち入り可能な20~40㎞圏を毎月のように訪ね、線量をノートしながら『沈黙の風景』を撮ってきた。
これらの写真は、震災を含め、「先祖から託され、子孫に託す暮らし」、その普遍の約束事が断たれた里の光景である。モノクロ約60点。
小林 惠(コバヤシ ケイ)
1948年香川県豊島生まれ。日本写真専門学校卒業。写真家棚橋紫水氏に師事。広告代理店・福祉施設勤務の後、75年よりフリーで活動し、現在に至る。日本写真家協会会員。
写真展に、74年「この子供たちの奪われたものは」、94年「小さな島を渡る風」(以上銀座ニコンサロン)、99年「咲く桜」(新宿ニコンサロン)、2003年「日々あらたなり」(コニカプラザ新宿)、04年「過ぎしかの日」(銀座ニコンサロン)、06年「臺灣島の記憶」(コニカミノルタプラザ新宿)、08年「光の祝祭」(津田塾大学 津田梅子記念館)、10年「セイダッカ族・昭和の記憶」(新宿ニコンサロン)などがあり、写真集に『心の島』(鯨吼社)、『光の祝祭』(小塩節氏共著)などがある。
本展は、ニッコールクラブが主催する第60回ニッコールフォトコンテスト(平成24年度)に入賞した作品を一堂に展示するものである。
ニッコールフォトコンテストは、世界中の写真愛好家に広く門戸を開き、写真芸術の発展と写真技術の向上を図るとともに、写真を通じて友好を深めようという趣旨のもとに行われるもので、ニッコールクラブ創立以来毎年行い、今回で60回を数える。
今回も3月から募集を開始して7月上旬に締め切り、応募点数は46,525点(第1部9,526点、第2部23,233点、第3部8,520点、第4部5,246点)となった。
入賞作品の内訳は、第1部57点、第2部90点、第3部57点、第4部50点と決定した。
なお作品は、1月5日(土)~14日(月)まで新宿ニコンサロンにおいて第2部カラー入賞作品と第3部ネイチャー入賞作品を、またニコンサロンbis新宿において第1部モノクローム入賞作品と第4部U-31(Under31)入賞作品をそれぞれの会場で同時開催する。
<第1部 モノクローム>
ニッコール大賞(1点) 「幸せのひととき」 岩渕 真理(埼玉)
推選(1点) 「子供達の記録」 井上 勉(愛媛)
準推選(1点) 「不安な日」 荒井 俊明(京都)
特選(4点) 「自写像」 柏原 力(千葉)
「故里への誘い」 辻 修司(大阪)
「夏暦」 野澤 正樹(埼玉)
「72歳、一人暮らす」橋本 浩市(新潟)
<第2部 カラー>
長岡賞・ニッコール大賞(1点) 「Cambodia ~親がいない子どもたち~」 大星 勇樹(大阪)
推選(1点) 「夢路/祖母の夢」 山上 新平(神奈川)
準推選(2点) 「memories」 古結 敦士(兵庫)
「観光地が生活を取り戻す瞬間」 嶋口 紗友梨(神奈川)
特選(6点) 「Face」 大角 勝(静岡)
「5月の小路」 岡田 治(和歌山)
「こはだ」 木寺 憲吾(東京)
「出番前」 林 栄之(大阪)
「thailand」 福田 創一郎(東京)
「少女」 山﨑 猛(大阪)
<第3部 ネイチャー>
ニッコール大賞(1点) 「頑張れカワアイサの親子」 上田 正洋(北海道)
推選(1点) 「夜灯り生活」 渡邉 智之(山梨)
準推選(1点)「厳冬の贈り物」 櫻庭 弘(埼玉)
特選(4点) 「アースエナジー」 遠藤 励(長野)
「四季霧彩」 倉持 隆雄(茨城)
「浮上」 平山 弘(和歌山)
「テイクオフ・フラミンゴス」 村野 哲也(大阪)
<第4部 U―31>
ニッコール大賞(1点) 「雨の街」 知念 愛佑美(福岡)
推選(1点) 「新盆を迎えた日」 小島 千尋(神奈川)
準推選(1点) 「井戸の底でたゆたう光」 渡部 雪(東京)
特選(2点) 「塩味」 林 康太郎(神奈川)
「夏色」 藤井 香奈子(東京)
<審査員>
海野和男、大西みつぐ、織作峰子、川上義哉、管 洋志、田沼武能、ハナブサ・リュウ、藤岡亜弥(敬称略・五十音順)
プロの写真家になりたいと2年間学んできた学生たちの集大成である。
「写真は簡単には写らない」ことも知った。予想外に楽しく、面白いことも知った。自分の可能性を見つけるために、デジタルのみならず、モノクロ、カラーフィルム、ロケーション撮影からスタジオ撮影まで、表現のための方法と技術を実践的に学び、懸命に撮り続けてきた。
本年もゼミナール、表現実習の各クラスより選抜された作品を展示する。
カラー150点・モノクロ50点(予定)
大阪写真専門学校としてスタートし、写真表現と技術を教える学校として間もなく創立50周年を迎える。現在は写真のみならず映像、音響、声優などの学科をもち、優れた技術をもった表現者を育てる総合的な専門学校として各分野に多くの優れた人材を輩出している。