Nikon Imaging
Japan
プレミアム会員 ニコンイメージング会員

大阪ニコンサロン 2013年1月

12/29 (土) ~1/4 (金)
年末年始休館

第37回伊奈信男賞受賞作品展
BRIAN Y. SATO

写真
ごくろうさま:ハワイの日系二世
1/5 (土) ~1/16 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

本展は、200人に及ぶハワイ二世(日本人の両親をもつアメリカ生まれの日系人)の実体、主体性を歴史や文化を通して9年間にわたって記録し続けた作品である。
広い太平洋の真ん中の小さな諸島に、よりよい人生への望みを託して移住した一世(日本人移住者)は、故郷から離れた地にあって、身も心も孤立したが、プランテーションの苦しい生活に屈服することも、日本に帰ることもなく、この地ハワイで子供たちを産み、育てた。
一方二世は、世界大戦、人種差別や偏見との闘いなどの辛い体験をした上に、二つの文化、忠誠心、時には強制収容所への収容などによる家族の離散といった内面的な葛藤も課せられてきた。
本展は一世とその子孫へ捧げる写真展で、後に続く世代が彼らの犠牲と功績を忘れないことを願っての開催である。
なお撮影地は、カウアイ島、オアフ島、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、ハワイ島である。
モノクロ50点。

授賞理由

最終段階での激しい討論を経て、第37回の伊奈信男賞は、BRIAN Y. SATO(ブライアン 陽一 佐藤)氏の「ごくろうさま:ハワイの日系二世」に決定した。この作品は、ハワイの日系四世であるSATO氏が、9年間にわたって先行世代の日系二世を撮影、記録したものである。
ニコンサロンでおこなわれた写真展の挨拶文で、SATO氏は「この展覧会は一世とその子孫へ捧げる写真展である。かれらの犠牲と功績を後に続く世代が忘れないことを望む」と書いている。その言葉が示すとおり、なにより自分のルーツに対する想起と感謝の念が、どの写真からも感じとれた。果たして、二世たちの肖像はかくも威厳あるものとなった。
これまでにも、ハワイの日系移民を記録した優れた作品は発表されている。しかしSATO氏が、とくに日系二世――つまり母国というルーツを失った最初の世代に注目したことは特筆に値するだろう。プランテーション内でしか通じないハワイアン・ピジンを話す彼/彼女らは、自らのアイデンティティーを獲得するためにおそらくゼロから出発しなければならなかった。その道程は並大抵ではなかったはずだ。とくに第二次世界大戦で払われた犠牲ははかり知れない。一世たちは、自ら開拓した田畑および財産を没収され、強制収容所に収監されてゆく。そうした事態を目の当たりにした二世が参戦志願した442連隊の戦死傷率は、なんと314パーセントに達したという。兵士一人が、平均して3回負傷したのである。後に、トルーマン大統領は「諸君は敵と戦っただけでなく、差別とも戦い、そして勝ったのだ」と述べたという。
BRIAN Y. SATO氏は、挨拶文の最後を「明らかに、私は彼らの経験から学んで、自己犠牲、誠実、快活、コミュニティーに関心を持ち、これからどんな苦労にも立ち向かっていけるようになりたいと願う」と結んでいる。離散先での永住と定着が宿命づけられていた日系二世たちの年老いた肖像を撮影し、そこからなお自身が今を生きてゆくための糧を学び取ろうとする作者の実践的な姿勢は、その写真を優れた記録とし、同時にハワイの日系人ではない私たちに対しても大きく開かれたものと成している。

作者のプロフィール

写真

BRIAN Y. SATO(ブライアン Y. サトウ)
1979年 ハワイ大学卒
商業写真の撮影・モノクロームプリントの仕事の傍ら、写真家として活動。
■写真展
1983年 マルチメディア展  ホノルル/ハワイ
1984年 ホノルル日本商工会議所展  ホノルル/ハワイ
1983-1986年 Honolulu Printmakers 展(Amfac Center Plaza) ホノルル/ハワイ
1986年 IMAGE XII:ハワイ現代写真展(Amfac Center Plaza) ホノルル/ハワイ
       Artists of Hawaii(ホノルル美術アカデミー) ホノルル/ハワイ
1988年 New Artists(EASギャラリー) ホノルル/ハワイ
1989年 CROSSING:France/Hawaii(モナ・ビスマルク美術館) パリ/フランス
1996年 IMAGE XXII:ハワイ現代写真展(Amfac Center Plaza) ホノルル/ハワイ
2001年 Artists of Hawaii(ホノルル美術アカデミー) ホノルル/ハワイ
       Artists of Hawaii(東京写真文化館) 東京/日本
2007年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(ハワイ日本文化センター) ホノルル/ハワイ
2008年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(ライマン美術館) ヒロ/ハワイ
2009年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(カウアイ美術館) リフエ/ハワイ
       ごくろうさま:ハワイの日系二世(全米日系人博物館) ロサンゼルス/カリフォルニア
2011年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(新宿ニコンサロン) 東京/日本
       ごくろうさま:ハワイの日系二世(大阪ニコンサロン) 大阪/日本
2012年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(はつかいち美術ギャラリー) 広島/日本
     ごくろうさま:ハワイの日系二世(周防大島町役場) 山口/日本
■受賞
1983年、1984年 Honolulu Printmakers 展
■コレクション
ハワイ州文化芸術財団、ホノルル美術アカデミー

juna21 三木淳賞奨励賞受賞作品展
西岡 潔

写真
マトマニ
1/17 (木) ~1/23 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

不意に忘れていた光景が、はっと目の前に現れる。自分の奥深くに刻まれているものを掘り起こしているかのような、どこかに迷い込まされたかのような不思議な感覚。目の前にある風景がひと続きの風景ではなく、ひとつの“間”として見えてくる。そしてその中へ自分が入り込む。まるで“間”の住人であるかのように。
間と間に新たな“間”が現れ、その間を埋めるように写真を撮る。しかし、そこにできるのはまた新たな“間”。
ポカンと空いた自分の忘れていたスペースがそれで埋まればよいのだが、けっしてそうはいかない。そしてまた、間と間に(マトマニ)新たな間が現れ続けるのだろう。カラー22点。

授賞理由

西岡潔氏の受賞作品「マトマニ」は、作者の心の中に潜む不定形な風景と、眼前にしている現実の風景との間隙を結ぶ心象風景といってよいだろう。日本各地の森や海岸線を歩き、そこに寝泊まりし、自身の心の襞に一つひとつ投影するようにして、数年間をかけて丁寧に積み重ねた集積である。それだけに、それぞれの写真の完成度は高く魅力的であるのだが、半面その内に向かい続ける精神の彷徨が社会との繋がりや出口を見えにくい閉鎖性にも重なっている。今後この仕事がさらに継続されるとともに、新たな可能性が切り開かれることに期待したい。

作者のプロフィール

写真

西岡 潔(ニシオカ キヨシ)
1976年生まれ。大阪モード学園ファッションデザイン学科卒業。自然からのデザインの発想、民族の服飾デザインに興味をもち、98~2000年オーストラリア、東南アジアに滞在。それらの光景を撮影する。後に日本の自然と森を彷徨い撮り歩く。自分がその場に馴染む体感をするうちに“場”に対する意識が高まる。場の空間と時間を意識し、写真を撮る行為を続ける。
写真展に、01年「FRAGMENT OF MEMORY」(ギャラリー六式)、03年「まなざし」、05年「マホロ」(以上、BEATS GALLERY)、06年「樹海」平澤直治氏と2人展(BEATS GALLERY)、10年hitoto企画展 vol.3 4×5 hitoto Jam Session、「あをにそらい」小野ナホヨ氏と2人展(入江泰吉記念奈良市写真美術館)などがある。

藤田 庄市写真展

写真
伊勢神宮 自然のなかの神事
1/24 (木) ~1/30 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

平成25年(2013年)に20年に1度の遷宮を迎える伊勢神宮の森厳な自然の四季の移り変わりと、稲の成長にあわせ、杜の中で粛々と豊作を祈る祭り(神事)を中心に据えた写真展である。
2月の「祈年祭(きねんさい)」には雪を見ることもあり、杜はまだ眠っている。しかし4月になると山桜が咲き、木々の芽吹きは鮮やかだ。神田では「下種祭(げしゅさい)」が斎行され、苗代に忌種(ゆたね)(※モミ)が蒔かれる。5月には「御田植初(おたうえはじめ)」が行われる。苗がそよぐ水田には照葉樹のこんもりとした姿が映る。5月中旬の「風日祈(かざひのみ)祭」は御笠などを神々にたてまつり、風の災いなく豊かな稔りを祈る。稲穂の色づく9月は「抜穂(ぬいぼ)祭」。刈り取られた稲穂は御稲御倉(みしねのみくら)に納められる。五十鈴川のきらめく清流には小魚が群れる。10月の神嘗祭(かんなめさい)は新穀を大御神にたてまつる最重要の祭典だ。浄闇(じょうあん)のなか、火の明かりに厳かな祓いの神事が浮かび上がる。また夏の土用に、海に近い御塩(みしお)浜で塩作りがなされる。濃縮された塩水は御塩焼所で荒塩へと煮つめられる。
日本最高の聖域の清冽な霊気の杜と神事の作品を展示する。カラー43点。

作者のプロフィール

藤田 庄市(フジタ ショウイチ)
1947年東京生まれ。大正大学文学部(宗教学)卒。フォトジャーナリスト。日本写真家協会会員。山岳修験学会評議員。聖地、山岳宗教、祭礼・民俗行事、伝統仏教の取材に従事。新宗教、カルト問題、政治と宗教などの現代宗教の諸側面も旺盛に取材を重ねている。
主な著書に『明治神宮 祈りの杜』(平凡社)、『本朝霊域紀行』(新潮社)、『熊野 修験の道を往く』(淡交社)、『民俗仏教の旅』(青弓社)、『行とは何か』(新潮社)、『宗教事件の内側』(岩波書店)、『神さま仏さま―現代宗教の考現学』(アスペクト)などがある。

写真
大阪芸術大学写真学科2012年度卒業制作選抜展
1/31 (木) ~2/6 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真を志し、大阪芸術大学に集って修練を積み、いままさに各方面に旅立とうとする学生たちの作品展である。
作品は、各人が卒業制作としてテーマを選び、それぞれが習得した知識と写真技術を駆使し、研究・創作を重ねた成果である。
本展では、卒業生の中より優秀と認められ選抜された作品と、卒業生全員のポートフォリオ作品を展示する。作品制作者それぞれの感性に触れてもらい、旅立つ若者たちへの温かい声援を願っている。

ニコンイメージングプレミアム会員
ニコンイメージング会員