Nikon Imaging
Japan
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新宿ニコンサロン 2012年12月

コジマ キエ写真展

写真
遠雷
11/27 (火) ~12/3 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

遠く 雷鳴が響くと
僅かな恐れと期待の両方が 私の内に湧き起こる
関連性の無い あるいは
両極端なイメージが 結びついて形成する世界を
私は愛する
それらは 密かに呼び合っていたかのような
錯覚を引き起こし
私は 雷鳴を聴く

作者にとって写真を撮り、プリントを作ることは、自己を肯定する行為であり、それを発表することは、その裏付けと自己顕示欲から、あるいは自然の摂理である。
写真は何も決めず、自由に撮ったものであるが、セルフポートレートに関しては、現在のテーマになりつつあるという。モノクロ40点。

作者のプロフィール

コジマ キエ
埼玉県生まれ。2009~10年カロタイプ、白岡順氏のワークショップへ参加。10年、ギャラリー恵風(埼玉県)にて個展開催。

第37回伊奈信男賞受賞作品展
BRIAN Y. SATO

写真
ごくろうさま:ハワイの日系二世
12/4 (火) ~12/10 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

写真

本展は、200人に及ぶハワイ二世(日本人の両親をもつアメリカ生まれの日系人)の実体、主体性を歴史や文化を通して9年間にわたって記録し続けた作品である。
広い太平洋の真ん中の小さな諸島に、よりよい人生への望みを託して移住した一世(日本人移住者)は、故郷から離れた地にあって、身も心も孤立したが、プランテーションの苦しい生活に屈服することも、日本に帰ることもなく、この地ハワイで子供たちを産み、育てた。
一方二世は、世界大戦、人種差別や偏見との闘いなどの辛い体験をした上に、二つの文化、忠誠心、時には強制収容所への収容などによる家族の離散といった内面的な葛藤も課せられてきた。
本展は一世とその子孫へ捧げる写真展で、後に続く世代が彼らの犠牲と功績を忘れないことを願っての開催である。
なお撮影地は、カウアイ島、オアフ島、マウイ島、ラナイ島、モロカイ島、ハワイ島である。
モノクロ50点。

授賞理由

最終段階での激しい討論を経て、第37回の伊奈信男賞は、BRIAN Y. SATO(ブライアン 陽一 佐藤)氏の「ごくろうさま:ハワイの日系二世」に決定した。この作品は、ハワイの日系四世であるSATO氏が、9年間にわたって先行世代の日系二世を撮影、記録したものである。
ニコンサロンでおこなわれた写真展の挨拶文で、SATO氏は「この展覧会は一世とその子孫へ捧げる写真展である。かれらの犠牲と功績を後に続く世代が忘れないことを望む」と書いている。その言葉が示すとおり、なにより自分のルーツに対する想起と感謝の念が、どの写真からも感じとれた。果たして、二世たちの肖像はかくも威厳あるものとなった。
これまでにも、ハワイの日系移民を記録した優れた作品は発表されている。しかしSATO氏が、とくに日系二世――つまり母国というルーツを失った最初の世代に注目したことは特筆に値するだろう。プランテーション内でしか通じないハワイアン・ピジンを話す彼/彼女らは、自らのアイデンティティーを獲得するためにおそらくゼロから出発しなければならなかった。その道程は並大抵ではなかったはずだ。とくに第二次世界大戦で払われた犠牲ははかり知れない。一世たちは、自ら開拓した田畑および財産を没収され、強制収容所に収監されてゆく。そうした事態を目の当たりにした二世が参戦志願した442連隊の戦死傷率は、なんと314パーセントに達したという。兵士一人が、平均して3回負傷したのである。後に、トルーマン大統領は「諸君は敵と戦っただけでなく、差別とも戦い、そして勝ったのだ」と述べたという。
BRIAN Y. SATO氏は、挨拶文の最後を「明らかに、私は彼らの経験から学んで、自己犠牲、誠実、快活、コミュニティーに関心を持ち、これからどんな苦労にも立ち向かっていけるようになりたいと願う」と結んでいる。離散先での永住と定着が宿命づけられていた日系二世たちの年老いた肖像を撮影し、そこからなお自身が今を生きてゆくための糧を学び取ろうとする作者の実践的な姿勢は、その写真を優れた記録とし、同時にハワイの日系人ではない私たちに対しても大きく開かれたものと成している。

作者のプロフィール

写真

BRIAN Y. SATO(ブライアン Y. サトウ)
1979年 ハワイ大学卒
商業写真の撮影・モノクロームプリントの仕事の傍ら、写真家として活動。
■写真展
1983年 マルチメディア展  ホノルル/ハワイ
1984年 ホノルル日本商工会議所展  ホノルル/ハワイ
1983-1986年 Honolulu Printmakers 展(Amfac Center Plaza) ホノルル/ハワイ
1986年 IMAGE XII:ハワイ現代写真展(Amfac Center Plaza) ホノルル/ハワイ
       Artists of Hawaii(ホノルル美術アカデミー) ホノルル/ハワイ
1988年 New Artists(EASギャラリー) ホノルル/ハワイ
1989年 CROSSING:France/Hawaii(モナ・ビスマルク美術館) パリ/フランス
1996年 IMAGE XXII:ハワイ現代写真展(Amfac Center Plaza) ホノルル/ハワイ
2001年 Artists of Hawaii(ホノルル美術アカデミー) ホノルル/ハワイ
       Artists of Hawaii(東京写真文化館) 東京/日本
2007年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(ハワイ日本文化センター) ホノルル/ハワイ
2008年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(ライマン美術館) ヒロ/ハワイ
2009年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(カウアイ美術館) リフエ/ハワイ
       ごくろうさま:ハワイの日系二世(全米日系人博物館) ロサンゼルス/カリフォルニア
2011年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(新宿ニコンサロン) 東京/日本
       ごくろうさま:ハワイの日系二世(大阪ニコンサロン) 大阪/日本
2012年 ごくろうさま:ハワイの日系二世(はつかいち美術ギャラリー) 広島/日本
     ごくろうさま:ハワイの日系二世(周防大島町役場) 山口/日本
■受賞
1983年、1984年 Honolulu Printmakers 展
■コレクション
ハワイ州文化芸術財団、ホノルル美術アカデミー

juna21 三木淳賞奨励賞受賞作品展
西岡 潔

写真
マトマニ
12/11 (火) ~12/17 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

不意に忘れていた光景が、はっと目の前に現れる。自分の奥深くに刻まれているものを掘り起こしているかのような、どこかに迷い込まされたかのような不思議な感覚。目の前にある風景がひと続きの風景ではなく、ひとつの“間”として見えてくる。そしてその中へ自分が入り込む。まるで“間”の住人であるかのように。
間と間に新たな“間”が現れ、その間を埋めるように写真を撮る。しかし、そこにできるのはまた新たな“間”。
ポカンと空いた自分の忘れていたスペースがそれで埋まればよいのだが、けっしてそうはいかない。そしてまた、間と間に(マトマニ)新たな間が現れ続けるのだろう。カラー22点。

授賞理由

西岡潔氏の受賞作品「マトマニ」は、作者の心の中に潜む不定形な風景と、眼前にしている現実の風景との間隙を結ぶ心象風景といってよいだろう。日本各地の森や海岸線を歩き、そこに寝泊まりし、自身の心の襞に一つひとつ投影するようにして、数年間をかけて丁寧に積み重ねた集積である。それだけに、それぞれの写真の完成度は高く魅力的であるのだが、半面その内に向かい続ける精神の彷徨が社会との繋がりや出口を見えにくい閉鎖性にも重なっている。今後この仕事がさらに継続されるとともに、新たな可能性が切り開かれることに期待したい。

作者のプロフィール

写真

西岡 潔(ニシオカ キヨシ)
1976年生まれ。大阪モード学園ファッションデザイン学科卒業。自然からのデザインの発想、民族の服飾デザインに興味をもち、98~2000年オーストラリア、東南アジアに滞在。それらの光景を撮影する。後に日本の自然と森を彷徨い撮り歩く。自分がその場に馴染む体感をするうちに“場”に対する意識が高まる。場の空間と時間を意識し、写真を撮る行為を続ける。
写真展に、01年「FRAGMENT OF MEMORY」(ギャラリー六式)、03年「まなざし」、05年「マホロ」(以上、BEATS GALLERY)、06年「樹海」平澤直治氏と2人展(BEATS GALLERY)、10年hitoto企画展 vol.3 4×5 hitoto Jam Session、「あをにそらい」小野ナホヨ氏と2人展(入江泰吉記念奈良市写真美術館)などがある。

juna21 穂積 大和写真展

写真
Designes
12/18 (火) ~12/28 (金)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者は当初、環境問題をどのように撮影すればよいのかわからなかったので、なんとなく現場へ行っては、シャッターを押すだけだった。しかし撮影を重ねるたびに被写体がもつ美しさに気づき出した。目の前に広がる風景はカラフルで、不思議な模様をしており、そしてあまりにも魅力的だった。それは同時に、あくまでも他人目線で見ていることと同じであった。
世界中で起きている環境破壊。ほとんどの人はそれらを意識せずに生活をしている。もし身近な場所で環境問題が起きていても、人々は他人事のように見てしまうだろう。作者は、自分の生れ故郷である福島で起きている問題でさえ傍観している。福島以外に住んでいる人はもっと関心が薄いだろう。
本展では環境問題がもつ異様な美しさを表現した作品を展示し、人々の環境問題に対しての意識のあり方を問おうとしている。そして、福島で撮影した写真も加え、目に見えない環境問題の恐ろしさを提示する。カラー16点。

作者のプロフィール

穂積 大和(ホヅミ ヤマト)
1989年福島県生まれ。日本写真芸術専門学校卒後マレーシアへ英語留学。

12/29 (土) ~1/4 (金)
年末年始休館
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