石井 保子写真展
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houses
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9/25 (火)
~10/1 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
東京都心まで電車で1時間程度の埼玉郊外を撮影した作品である。
起伏のない土地にぽつんと、点々と、あるいは密集しながら家が建っている。このあたりで生まれ育った作者にとっては見慣れた光景であり、原風景ともいえる。しかし撮影を繰り返していると、こんなところに自分が住んでいるのかと奇妙な気持ちになるという。
家々の色や形、お互いの距離感には、周囲と調和をこばむような不思議なおかしさがあり、それらをあらためてよく観察し、撮影した作品を提示する。カラー22点。
作者のプロフィール
石井 保子(イシイ ヤスコ)
1976年埼玉県生まれ。99年東京女子大学文理学部社会学科卒業。写真展に、2010年「群青の午後」、12年「ROOMS floor-01 portfolio exhibition」(以上Place M)がある。
栂本 彌一郎写真展
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猫と女と男 -滞留する街-
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10/2 (火)
~10/15 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
昼下がり、路地を駆け抜ける猫を追う。
振り返ると、若い頃の話を楽しげに話す声がする。
自らの軌跡を肴にカップ酒を呷りながら、
腐葉土のような居心地の良さに身をゆだねる男たちがいる。
ぼんやり漂いながら、相槌を打つ女たちがいる。
こんな景色をこの街で、今まで何度見かけたことだろう。
時が経ち、住む人は変わっても、この街だけは変わらない。
ここ数年、この街の通りで、広場で、酒場で、
たくさんの人たちと知り合い、記憶とフィルムに定着させてきた。
澱んだ時間の中、偶然出会った人たちと温もりを確かめ合っていると、
どこか懐かしい空気を感じることがある。
ふと気がつけば黄昏。妙に切なく人恋しくさせるこの街の黄昏は、
過去への帰り道なのかもしれない。
戦前戦後を駆け抜けてきた私は、今も共感できるこの街が限りなく好きだ。
そしてまた、私はシャッターを切る。
ファインダーの向こうには、今日も、猫と女と男。
カラー40点。
作者のプロフィール
栂本 彌一郎(トガモト ヤイチロウ)
1937年石川県生まれ。フォトサークルZ写真クラブ会長。アートボックスゼロ所属。
写真展に、2000年なら写真展(朝日新聞社賞×2回)、02年全日本シニア写真展(銀賞)、09年東京写真研展(大阪市長賞、大阪市教育委員長賞)、11年「滲みの荒景」(ニコンサロンbis大阪)などのほか、07年アサヒカメラスライド部門(年度賞3位)、日本カメラ スライド部門(銀賞×5回)、11年日本写真家協会(JPS展入選×3回)など入賞多数。
吉江 淳写真展
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地方都市
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10/16 (火)
~10/29 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
地方都市という町は存在しない。しかし、日本各地にそれは無数にあるし、作者自身、そうした地域に生まれ暮らしている。そこは現在、その土地その地域で時代や時間を積み重ねて出来た独自の集合体といったものが、日本全土に蔓延した各自治体の均一化されたまちづくりのシステムに侵食され、その光景がその土地土地の景色になっているようだ。各地に行き、歩き始めるとすぐに既視感に襲われるのもそのためだ。
生産性に落とし込められた町の造りが、かつてその土地に適していたであろう在り方を軽く飛び越えて、路上で繋がっている。もう日本はとっくにひとつになってしまっているという感覚から始めなくてはならないのだろう。
だからといって作者にとっては、それを証明するための写真に意味はなく、逆にその中から、失われつつある独自の風土や歴史だけを抽出することにも、大した関心はない。
しかし、そうした街角の日常的な空間にあって、目の前の光景が生々しい存在感を放っている時がある。駅前や街道、あるいは住宅街や公園の見慣れた空間で、ふとその土地の隠れた凄みをもった世界に出会った時、地方都市という実体のない町の一端が顔をのぞかせている気がすると作者はいう。カラー約35点。
作者のプロフィール
吉江 淳(ヨシエ アツシ)
1973年群馬県生まれ。中央大学文学部卒業。現在フリーランスで活動中。
主な写真展に、01年「乳牛」(コダックフォトサロン/東京)、07年「ヒバリのいる所」(Juna21新宿ニコンサロン・08年大阪ニコンサロン)、09年「隣町」(ギャラリー蒼穹舎/東京)、10年「Riverland」(コニカミノルタプラザ フォトプレミオ/東京)、11年「HOMETOWN」(ギャラリー蒼穹舎/東京、1839コンテンポラリーギャラリー/台北)などがある。
太田 章彦写真展
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blowin' in the wind
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10/30 (火)
~11/5 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
作者は、「限界集落」という言葉の視覚化する作業に取り組む。
2011年の春に作者が引っ越しした島根県浜田市弥栄町は、平成の大合併により05年に近隣の市に吸収されて弥栄村から弥栄町になったところだ。作者の母方の祖父母が暮らすこの地には、作者も幼い頃からよく遊びに来ており、メダカやゲンゴロウ、ホタルなどの絶滅危惧種とされる生物をたくさん見つけた記憶がある。
現在、自然に囲まれたこの地は「限界集落」と呼ばれ、作者もこの地の住人として暮らす時間の経過とともに、ここが暗い未来を予感させるその言葉で呼ばれる理由がじわじわと見えてきたという。年寄りが目立ち、子どもが少ない。空き家が増え、学校の数も減り、農業や伝統芸能など、この土地のこれからを担う後継者も不足している。この状況から、数年後、数十年後のことを考えると胸を締め付けられる思いがする。と同時に、「限界集落」の撮影を続けるうちに作者が辿りついた問いは「豊かさとは何か」ということだった。カラー約30点。
*限界集落とは、過疎化などで人口の50%以上が65歳以上の高齢者になり、冠婚葬祭など社会的共同生活の維持が困難になった集落を指す。日本における概念(Wikipediaより)
作者のプロフィール
太田 章彦(オオタ アキヒコ)
1989年島根県生まれ。現在も同県在住。ビジュアルアーツ専門学校・大阪卒業。