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新宿ニコンサロン 2012年4月

吉田 耕司

写真
月の町 2010-2011
3/27 (火) ~4/2 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

急な坂道が不規則に曲がりながら上へと続いていた。 家と家の間には細い路地が巡り一度足を踏み入れると方向感覚を失い、迷路の中に入り込んだ錯覚にとらわれた。
「月の町」(韓国語ではタルドンネ)農家からの離散者や1950年に始まった朝鮮戦争の戦場となり避難した人々が移り住んだ町をそう呼ぶ。
かつて都市近郊に点在していたと言う。山裾から中腹へ、時には山頂まで急な斜面と僅かな平地に急ごしらえの粗末な家が建ち並んだ。月に一番近い町。夜、家の中から屋根の隙間を通して月が見えたという。月の町と呼ばれる所以だ。
作者は釜山の山肌にへばり着くように立ち並ぶ家々を巡る路地を歩いた、そして取り壊しが決まっている「月の町」アンチョンマウルを訪ねた。
今では月の光が差し込む粗末な屋根はどこにも無い。屋根瓦や波形のトタン板は形さえ曖昧になるほど分厚く塗り重ねられている。壁はコンクリートに変わり、幾重にも塗り重ねられた塗料が所々はげ落ち地層のように露出していた。
作者が見ていたのはこの町に流れた月日の記憶なのかもしれない、そしてそれはこの町の人の営みの記憶を閉じ込めるかさ蓋の様にも思われた。
「月の町」かつて番地さえ無かったこの町の美しすぎる呼び名。再開発の為に殆どが撤去されている。カラー27点。

作者のプロフィール

1949年秋田県生まれ。2009年より写真制作活動を始める。
写真展に、09年「faces」(Place M)、11年「見つめ合う交流」(R.S.F gallery マドリード 参加)、「10人の日本人写真家の4週間」(gallery Lux ソウル 参加)などがある。

juna21 中川 大祐

写真
Hotel Rycom
4/3 (火) ~4/9 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

ひなびたホテルの一室で向かい合った女たちの体には、その生き様や歴史が痕跡となって体に刻まれていた。
傷、妊娠線、皺や刺青がそれぞれの迷いや葛藤、悩みぬいた時間や覚悟などの思いを物語る。
対話の中で清く楽しくという部分とは対極にある、傷つき、苦しむといった身悶えする感情に苛まれることも、それもまた一つの人間らしい姿であると、再認識させられるようになった。そして何よりそれぞれの歴史を伴い、痕跡が刻まれていった肉体やその雰囲気の中に、圧倒的な人間美・存在美を見出していくようになった。カラー39点。

作者のプロフィール

1978年英国サリー州生まれ。英国で幼少期を過ごす。埼玉へ移り、高校在学中より写真を撮り始める。卒業後渡仏。ソルボンヌ大学文明講座へ進む。帰国後、東洋大学第2法学部入学。自動車メーカーや広告代理店、スタジオ勤務を経て、現在まで作家活動を続ける。2008年第1回リトルモアbooks写真集公募展にて「葛西薫賞」受賞。

高橋 ジュンコ

写真
Fade Out Changdian / LOST WORLD
4/10 (火) ~4/23 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

本展は、北京市の三影堂撮影芸術中心のアーティスト・イン・レジデンス・プログラムの一環として、2010年から2011年にかけて、北京へ数回渡航し滞在及びリサーチしながら制作したもので、2011年8月には三影堂にて同名の写真展が開催された(今回の展示では、新作プリントを加えて再構成する)。
作品に登場するのは北京市郊外で、北京首都国際空港にも近い、現在最も変貌が著しい場所である。その広大なエリアの中、再開発のため取り壊されつつ、周辺で唯一、家屋や住人達が僅かながら残る村に遭遇した。作者はその光景に興味を惹かれ、この消えゆく村を訪ね続け、日々崩され変貌していく情景や、そんな環境のもと訳あって立ち退かず暮らす人々の姿や声などに出会った。
展示する作品は、そのような状態にある光景を切り取り、構成させたランドスケープで、流動するこの国の姿の一端を、一個人として場に佇みながら、遭遇した光景を通して映し出したものである。
なおこれらの作品は、変貌する現在のアジアのランドスケープを、写真やヴィデオ映像で捉えていく企画中のシリーズへと繋がっていくものである。モノクロ50点、カラー8点、ヴィデオ1点。

作者のプロフィール

1962年生まれ。東京都出身。85年武蔵野美術大学造形学部油絵学科卒業。92年「記憶の絵」キヤノン写真新世紀優秀賞受賞。11年国際交流基金、朝日新聞文化財団より展覧会「LOST WORLD」に対して助成を受ける。
主な写真展に、95年「Heart Beat」コニカ・プラザ(東京)、96年「ANOTHER SIGHT」Mole 東京)、2002年「cool & heat」晶アート(東京)、07年「The Receptionist -Tokyo Mid」TOTEM POLE PHOTO GALLERY (東京)、07-08年「wreck」森岡書店(東京)、11年「LOST WORLD」三影堂撮影芸術中心(北京、中国) 以上個展、93年「第2回写真新世紀」(P3/東京)、95年「フォトグラフィア・イン・ウンブリア」(ウンブリア、イタリア)、97年「NAKED EYES」(パルコ・ギャラリー/東京)、98年「東京写真月間'98」(パークタワー・ギャラリー/東京)、01年「LANDSCAPE」(タカイシイ・ギャラリー/東京)、02-03年「写真新世紀10周年記念展"Futuring Power"」(東京都写真美術館)、03年海岸通ギャラリー・CASO(大阪)、せんだいメディアパーク(宮城)、07年「水の映画会」(横浜美術館)、「あにはからんや 00年代ドキュメンタリー傑作選」(イメージフォ-ラム/東京)以上グループ展、などがある。
主な出版物に、96年CD-ROM 写真集「ANOTHER SIGHT 」インナーブレイン、98年写真集「スクールデイズ」新潮社(フォトミュゼ・シリーズ)、写真集「TRANS BODY BONDAGE 」ワイレア出版、06年写真集「The Receptionist 」ナツラエリ・プレス(One Picture Book #38 )、11年カタログ「LOST WORLD」三影堂撮影芸術中心などがある。
作品収蔵:東京都写真美術館。

juna21 瀧野 恵太

写真
ソマリア 戦場に生きる人々
4/24 (火) ~4/30 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

世界有数の危険地帯と呼ばれ、紛争、飢餓、海賊問題で揺れるソマリアの首都モガディシオに暮らす人々をテーマに撮影した作品を展示する。
自分自身と家族を守るために銃を取り、戦闘に赴く若者達。病院で手当てを受ける患者の9割以上が銃撃や爆弾による負傷者という。
目を背けたくなるような現実。紛争に翻弄される日々に追い打ちをかけるように、過去60年間で最悪といわれる干ばつによる飢餓が発生し、難民キャンプでの暮らしを余儀なくされる現状。
明日の食糧調達も覚束ない上、明確な戦闘の最前線が存在しないソマリアでの生活は、常に死と隣り合わせである。そのような苦境の中でも、彼らは決して生きることを諦めず、平和な国からやってきた作者を温かく迎え入れ、時には笑顔まで見せてくれた。
彼らの“生きる”姿から、われわれ日本人が学ぶことも多いのではないか。作者は、本展をきっかけに、ソマリアという国に少しでも関心を持ってもらいたいと願っている。カラー約45点。

作者のプロフィール

1981年生まれ。日本でテレビ報道業務に携わった後、ベトナムに2年在住。アジアンバリュー社ホーチミン支局でカメラマン兼記者として働き、写真を経済誌およびWEBサイトに発表。その後フリーランスのカメラマンとして、フィリピン南部ミンダナオ島、韓国・北朝鮮国境、ソマリアなど、独自で紛争地帯での撮影を続け、写真を雑誌に発表している。ソマリア取材は、2009年10月に続き、11年8月に2度目の渡航。

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