Nikon Imaging
Japan
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ニコンサロン bis 大阪 2012年4月

ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11
田代 一倫

写真
はまゆりの頃に
3/29 (木) ~4/4 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

震災から35日後、作者は初めて被災された人と会話をし、シャッターを押すことができた。それまでの間、被災地へ人を撮影に行きたいと何度も思ったが、本州の福島以北へ行ったこともない人間が、震災をきっかけに撮影に行くことに違和感を覚え、その思いを消すように努めていた。
しばらくはその二つの気持ちが堂々巡りをしていたが、とにかく前へ進みたくなった作者は、被災地へ撮影に行くことにした。そして、4月13日に岩手県宮古市に到着し、15日に初めての撮影に至った。この撮影から約二週間、宮城県、福島県と被災地を南下しながら、何人もの人の話を聞きつつ撮影を行った。
それからは何度も被災地へ撮影に向かった。そして、その撮影中に、宮古市赤前で82歳の女性に会った。撮影させてほしいことを告げると、「私はここの土地の者でないから」と断られた。よく話を聞いてみると、その人は、そこから車で5分程の距離にある集落から嫁いで来られたとのことだった。作者は、この時から2ヶ月ほど前に、被災地を自転車で回ってみた時の自分の疲労を思い出し、この、土地への感覚に、どこか納得をした。そうした経験から、海岸沿いに位置する宮古市だけではなく、そこから険しい山を隔てた遠野、そして更に内陸にある盛岡へと撮影の範囲を広げた。
2012年1月1日、作者は岩手県釜石市近くの神社を廻って初詣に来る人たちを撮影していたが、鵜住居町にある鵜住神社で出会った人に、地域の人が集まる小屋に招かれた。奥さんたちは、粕汁が入った大きな鍋をストーブの上で交換しながら談笑し、旦那さんたちは焼酎をあおり、子供たちは、なぜか大吉ばかり出るおみくじに夢中になっていた。作者は部屋の隅に座り、その光景をみていた。そして、彼らの行動の端々から新年を迎える喜びを感じた時、もう少し時間をかけてこの人たちを撮影したい。と、ふつふつと思うようになった。カラー約30点。

作者のプロフィール

写真

1980年福岡県生まれ。2010年九州産業大学大学院博士後期課程造形表現専攻満期退学。06年アジアフォトグラファーズギャラリーの設立・運営に参加。09年 photographers’galleryの運営に参加。第8回三木淳賞奨励賞受賞。
写真展(個展)に「浮憂世代」(Juna21新宿・大阪ニコンサロン)、「八幡」(アジア フォトグラファーズ ギャラリー・福岡)、「椿の街」(photographers’gallery・東京)などがあり、グループ展に「社会標本展」(ギャラリーON・ソウル)、「消滅の技法展」(福岡アジア美術館)、「Social Voyeurism」(ギャラリーアートリエ・福岡)、「クロッシング・カオス1999-2009」(銀座・大阪ニコンサロン)などがある。

ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11
鷲尾 和彦

写真
遠い水平線
4/5 (木) ~4/11 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

10年以上にわたり四季を通じて日本各地の海辺の風景とそこに佇む人々のポートレートを撮影してきた。震災発生後も、日常と地続きの場所として、東北の海岸線沿いを移動しながら撮影を続けている。
傷跡が残り、残骸が散乱し、あるいは砂浜が失われてしまった海辺を歩き続け、そこにある痕跡を拾い上げるように記録する。言葉を失った先に、新しいコトバがうまれてくるまで、撮影した写真を繰り返し見返す。こうした行為を続けることは、被災地に向かった多くの写真家がそうであるように、それがどこか遠くの話ではないことを、自分自身の身体で感じとるための個人的な行為でしかない。
しかし、記録の先に、それが記憶となること。歩き続け、見続けるという様々な私的な行為が多様に存在するチカラを信じたい。遠い水平線はきっとその先にはっきりと見えてくるだろう。海はひとつの記憶であり、海に向かう人々は世界を共有しているのだから。モノクロ約40点。

作者のプロフィール

写真

1967年兵庫県生まれ。早稲田大学教育学部社会科学専修卒業。20代後半から独学で写真活動に取り組む。2001年清里フォトアートミュージアム主催「ヤングポートフォリオ」入選。06年ガーディアン・ガーデン主催「フォトドキュメンタリーNIPPON」入選。
著書に、写真集『極東ホテル』(赤々舎)、池澤夏樹氏との共著による『春を恨んだりはしない』(中央公論新社)等がある。
公式サイト: http://www.washiokazuhiko.jp

ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11
宍戸 清孝

写真
Home
4/12 (木) ~4/18 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真

3月11日、故郷の海は牙を剥いた。畑や田んぼはヘドロで埋まり、先祖伝来守り続けてきた墓や人々の生活を見守ってきた神社までも流され、見慣れた町は変わり果てた。
震災直後、土台だけ形見のように遺して、それまでの暮らしを一切さらわれた家の跡地を眺めながら、彼らが戻るべきHomeはどこにあるのだろうと暗澹とした思いにとらわれた。
しかし、時とともにその光景には小さな変化が現れた。被災地の至る所で、人形やランドセルなど大切な想い出の品々が集められていた。土台だけが遺された家に新しく植えられた庭木や津波のヘドロを被った広大な荒れ地のなかに小さな緑の畑を見つけた。
故郷の甚大な被害を前に、この震災をどう考えればいいのか、はっきりとした答えは出ていない。ただ、木が根を張ることで枝を伸ばしていけるように、人々は心のHomeを取り戻そうとすることで、明日への一歩を踏み出そうとしているように思えてならない。
カラー・モノクロ合計30~40点。

作者のプロフィール

写真

1954年、宮城県仙台市生まれ。1980年に渡米、ドキュメンタリーフォトを学ぶ。1986年、宍戸清孝写真事務所を開設。1993年「カンボジア鉄鎖を越えて」(銀座ニコンサロン)、1995年よりアメリカと日本の狭間で激動の時代を生きた日系二世をテーマに写真展「21世紀への帰還」シリーズを発表。2003年日本リアリズム写真展において視点特選、2004年伊奈信男賞、2005年宮城県芸術選奨など受賞。著書に「Japと呼ばれて」(論創社)がある。

juna21 大坪 晶

写真
Shadow in the Mirror
4/19 (木) ~4/25 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

ホテルの鏡の中の影を撮影した作品である。
ホテルは毎日滞在者が入れ替わる場所だ。今日鏡を見つめた人は、明日は別の誰かに入れ替わっている。鏡は日々滞在者を目撃しているのではないか、そして、個々の人の情報ではなく、情動を記憶しているのではないかと作者は考えた。
ホテルに滞在する人は、様々な想いを抱き、その想いは誰にも話す事なく失われてゆく。失われた情動の痕跡を鏡が目撃しているとすれば、どのような形になるのかを考えながら制作した。
鏡は、太古の昔よりたましいを映し出すと考えられてきた。鏡の語源は影見であり、影は霊魂の現れであると考えられていた。
無機質な部屋であるホテルの中で、鏡は有機的な存在として、能動的に人間を見ているのではないだろうか。
本展では、鏡の中の気配と痕跡を現すことによって、人間の意識と情動について鑑賞者に 提示したいと考えている。カラー16点。

作者のプロフィール

1998年京都文教大学人間学部臨床心理学科入学。2004年須田一政塾参加。06年写真表現大学研究生コース入学。07年写真表現大学ゼミI入学。08年写真表現大学ゼミII入学。09年東京芸術大学修士課程先端芸術表現科入学。11年プラハ工業美術大学(AAAD)チェコ共和国政府国費留学。

juna21 田中 雄一郎

写真
大サンパウロ
4/26 (木) ~5/2 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作者は都市を歩くこと、見ること、聴くこと、そして撮ること。その繰り返しをずっと続けてきた。
2010年の5月の終わりから3ヶ月間、南米最大の都市サンパウロの街をせっせと歩き回った。混沌とした街は通りごとに顔を持ち、起伏に沿って造られた道は曲がりくねり、北へと昇る太陽はあっという間に方向感覚を失わせた。
大通りから路地に入ると、そこには延々と住宅街が広がり、閑静な住宅街の先には突然スラム街が現れる。繁華街の活気とは明らかに異なり、緊張感を伴う活気がそこにはある。その先には何事もなかったかのように落ち着いた家々が連なる。
雑多なものが街中に溢れ、それらは隠すことも隠されることもなく存在し、街には生命力が漲っている。幸福や暴力すらも、路地を曲がればそこに存在するかのようであり、何が現れようと不思議ではなかった。そこには絶えず、予測することもできない緊張感が私を包んでいた。
地形だけではない、起伏に富んだサンパウロの街を一括りにすることなど出来るはずもなく、ただ、ひたすらに歩くことで、サンパウロの街はその面積以上に作者の中で広がり続けた。展示する作品は、それらの断片である。モノクロ67点。

作者のプロフィール

1978年埼玉県生まれ。2002年武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科卒業。06年「第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展」特別賞、07年「第10回岡本太郎現代芸術大賞展」特別賞(ともに角文平氏との共作)受賞。
写真展・個展に、02年個展「死旅」(市ヶ谷フォトスペース光陽/東京)、03年「side menu」(横浜LIGHT WORKS)、04年「陽の当たる場所」、05年「I SEE,BUT I CAN'T SEE ANYTHING」(以上、銀座GARELIE SOL)、06年「己に帰れ」(横浜牙狼画廊)、07年「ATLAS」(銀座GARELIE SOL)、08年同、09年「ATLAS BLACK」(以上、アジアフォトグラファーズギャラリー/福岡)があり、グループ展に、98年「ヤング・ポートフォリオ展」(清里フォトアートミュージアム)、06年「第9回岡本太郎記念現代芸術大賞展」、07年「第10回岡本太郎記念現代芸術大賞展」(ともに角文平氏との共作。以上、川崎市岡本太郎美術館)、「プレリュード筑豊」(アジアフォトグラファーズギャラリー/福岡)、「デジタルアートフェスティバル東京2007」(ともに角文平氏との共作。パナソニックセンター東京)などがある。

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