ニコンサロン連続企画展 Remembrance 3.11
和田 直樹
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惨禍 -三陸沿岸部の定点記録-
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2/28 (火)
~3/5 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
この写真展の作品は、東日本大震災の津波による三陸沿岸部の惨禍を、デジタル一眼レフカメラとシフトレンズの組み合わせる手法を用いて、パノラマ方式により即物的に捉えた定点記録写真である。
作者は、震災発生一週間後に現地に赴き、宮古、大槌、釜石、大船渡、気仙沼、南三陸、石巻など津波により甚大な被害を受けた被災地を克明に記録した。自然災害として津波の惨禍を一次的に捉えるだけではなく、その後も定期的に40地点で撮影を継続することにより、被災地の復興復旧の軌跡を提示するとともに、瓦礫が撤去され更地になり、雑草が生い茂る光景から、人間の生活圏の拡大による過失も示す、という逆説的な視点も浮上させている。カラー60点。
作者のプロフィール
1964年大阪府池田市生まれ。大阪府立箕面高校卒業。第1回大阪府高校生中国派遣団参加。87年日本大学芸術学部写真学科卒業(在学中は写真家木村惠一氏に師事)。広告代理店電通のスタッフフォトグラファーを経てフリーランスに。第4回藤本四八写真文化賞奨励賞受賞。公益社団法人日本写真家協会会員。
吉田 耕司
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月の町 2010-2011
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3/27 (火)
~4/2 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
急な坂道が不規則に曲がりながら上へと続いていた。 家と家の間には細い路地が巡り一度足を踏み入れると方向感覚を失い、迷路の中に入り込んだ錯覚にとらわれた。
「月の町」(韓国語ではタルドンネ)農家からの離散者や1950年に始まった朝鮮戦争の戦場となり避難した人々が移り住んだ町をそう呼ぶ。
かつて都市近郊に点在していたと言う。山裾から中腹へ、時には山頂まで急な斜面と僅かな平地に急ごしらえの粗末な家が建ち並んだ。月に一番近い町。夜、家の中から屋根の隙間を通して月が見えたという。月の町と呼ばれる所以だ。
作者は釜山の山肌にへばり着くように立ち並ぶ家々を巡る路地を歩いた、そして取り壊しが決まっている「月の町」アンチョンマウルを訪ねた。
今では月の光が差し込む粗末な屋根はどこにも無い。屋根瓦や波形のトタン板は形さえ曖昧になるほど分厚く塗り重ねられている。壁はコンクリートに変わり、幾重にも塗り重ねられた塗料が所々はげ落ち地層のように露出していた。
作者が見ていたのはこの町に流れた月日の記憶なのかもしれない、そしてそれはこの町の人の営みの記憶を閉じ込めるかさ蓋の様にも思われた。
「月の町」かつて番地さえ無かったこの町の美しすぎる呼び名。再開発の為に殆どが撤去されている。カラー27点。
作者のプロフィール
1949年秋田県生まれ。2009年より写真制作活動を始める。
写真展に、09年「faces」(Place M)、11年「見つめ合う交流」(R.S.F gallery マドリード 参加)、「10人の日本人写真家の4週間」(gallery Lux ソウル 参加)などがある。