銀座ニコンサロン 2012年1月
写真展内容
梶井基次郎の『檸檬』。安部公房の『箱男』。横光利一の『上海』。そして異色の獄中文学、永山則夫の『木橋』。これら小説の舞台となった場所、街を歩き、文中を彷徨い、行間にはフィクションを加えて“写真捩り”をした作品である。
また、明治29年の三陸大海嘯を綴った山内ヒロヤスの『砂の城』は、歴史の教訓から今回の3・11を予告していた。
被災地の壮絶な光景を目の当たりにして、作者は《津波の脅威》を僅かでもとどめたいと、個の力の限界を感じながらも記録した作品である。カラー25点・モノクロ60点。
作者のプロフィール
1943年宮城県生まれ。96年「砂箱遊び」(「日本カメラ」1~12月号に連載)、2002年「津軽」、05年「緋い場所」(ともに「日本カメラ」)掲載。
写真展に、97年「砂箱遊び」(ニコンサロン/東京・大阪)、2000年「場所」(宮城県美術館)、05年「緋い場所」(ニコンサロン/東京・大阪)などがあり、写真集に『砂箱遊び』(スクラップ舎・2000年)などがある。
会場写真
写真展内容
この作品は、渋谷に集まる人たちのポートレートコレクションである。
ショッピング、ファッション、そして若者文化の中心の街である東京・渋谷には、毎日、沢山の人が集まってきて、渋谷駅を通り過ぎて行く。そして、駅前のスクランブル交差点に向かう大勢の人たちそれぞれが、それぞれのストーリーを持っている。
作者はその場所で信号を待っているとき、周りの人を見ていて、彼らはどんなストーリーをもっているのだろうと思うことがあるという。
だれなんだろう。なんでここに来ているんだろう。
買い物に来たのだろうか? 友達に会いに来たのだろうか?
仕事に向かっているのだろうか?
…それとも、もっと重要な用事を抱えているのだろうか?
同時に作者は、第二の故郷である東京に住む人たちの、美しさ、真面目さ、そして個性にいつも驚嘆する。
普段なら、交差点で待っている人をチラッと盗み見ることしかできないが、写真でその瞬間を固定することで、自由に彼らを見て、作者がストーリーを決める。モノクロ55点。
作者のプロフィール
1967年アメリカ・ニュージャージー州生まれ。コーネル大学コミュニケーション学部卒業。現在東京在住。2010年より瀬戸正人氏の夜の写真学校に参加。
会場写真