Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン 2011年12月

稲田 智代

写真
パレード
11/23 (水) ~12/6 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

作者が『詠人知らず』という言葉を知り、強く惹かれたのは中学の頃だった。
その言葉に作者は、茫洋と揺れながら光る野原を見た。あらゆるものが出逢い別れ、なにもとどまることが出来ない場所。それはまるで、いのちの営みそのものではないかと、今になって思う。
2005年から、いくつかの近しいいのちを見送ってきた。そして今、作者は病院の病棟で働きながら写真を創っている。
いのちに寄り添い続ける日々のなかで、ほんとうにかけがえのないものは、ありふれた日常にこそ厳然とある。私達はあらゆるものと繋がり、溶け合いながら、同時にくっきりと『ひとり』だ、自分自身を生きるしかないのだと、痛いくらいに感じている。そしてその痛みは、透明で凜とした夜明けの光のように、作者の奥底を照らす。
いのちは出逢いも別れも、光も影も、生も死も等しく抱きながら続いていく。まるでパレードのように。
本展は、『詠人知らず』の物語をと祈り、紡いだ写真群である。モノクロ50点。

作者のプロフィール

神奈川県生まれ。建築・インテリア・造園設計の仕事を経て、2000年東京工芸大学芸術別科入学。02年同科修了。
写真展に、02年「在ること」(銀座ニコンサロン)、04年「水脈」(ビジュアルアーツギャラリー・東京)などがある。

久保 正彦

写真
その先に見えるもの
12/7 (水) ~12/20 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

2006年と2010年にミャンマーを訪れた作者は、現地の人々の優しさに触れ、ある一つの疑問を持った。
改善の兆しは見られるものの、依然として災害や貧困等の原因により人々の暮らしには厳しいものがある。実際、現地の人と話をしてみると、災害や病気などで親類縁者が亡くなったという話を方々で聞く。
私達より死が身近にある世界。その様な状況下においても、何故彼らは他者に対し驚くほどの親切心を持ち続けていられるのだろうか?
東南アジア最後のフロンティアとして注目されつつあるミャンマー。2回の訪問の間に、町には中国製品が出回り、オートバイが増え、ガソリンスタンドが建つなど、目に見える変化が起こりつつある。これから起こりうると思われるめまぐるしい変化を見据え、彼らのまなざしの先に何が見えているのか。
作者は、その先に明るい未来が見えてくることを切に願いながら、本作品を形作っている。
モノクロ60点。

作者のプロフィール

1969年新潟生まれ。専門学校卒業後、東京のアニメーション制作会社にアニメーターとして就職し、現在フリーランスのアニメーターとして主に劇場作品に参加。アニメーションの仕事で使用する資料用の写真撮影を契機として、写真作家としての活動を始める。2011年第17回酒田市土門拳文化賞奨励賞受賞。
写真展に、09年「ヨーロッパの狭間で ~Turn Over The Pages~」(ペンタックスフォーラム)、10年「PORT ~子供の頃に見た、あの風景だけがまだ見つからない~」(コニカミノルタプラザ)他、グループ展多数参加。

大沼 英樹

写真
それでも咲いていた 千年桜
12/21 (水) ~12/29 (木)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休

写真展内容

この作品は、誓いのもとに生まれた2011年の記憶すべき被災地の桜の記録である。
2011年3月11日午後2時46分。国内観測史上最大、マグニチュード9.0の巨大地震が東日本全域を襲った。現在も余震が毎日のように起きている。津波の直撃に襲われた沿岸部の町は、海と瓦礫以外に何もない地獄のような世界と化した。その恐ろしい光景にもかからず、生き残っていた桜の樹はしっかりと花を咲かせていた。たくさんの語らいと悦びがしみ込んだ桜は、火災で黒く焦げてもなお花をつけていた。
災害に見舞われてもなお来年も再来年も、そして何十年後も咲き続けようとする桜を、作者は探し歩いた。しかし、これまでの桜をめぐる旅で、今回のような悲しみと怖れ、そして怒りを覚える桜に出会ったことはなかった。そのなかで、「千年後どんな困難にあっても人々がそこから立ち上がることができるように、被災地の桜の記録を残そう」と誓った。
タイトルの「千年桜」は、これからさまざまに生死流転を繰り返していくだろう未来への、ひとつの希望として、この大震災に生き残り、耐え抜いた桜の命を、せめて千年は語り継いでほしいとの願いをこめて付けた。
人間の中に自然があるのではなく、自然の中で人間が生かされているということ、どんなに厳しい冬があっても、春は必ず巡ってくること、そして明けない夜はないことを感じずにはいられない。
深い傷を負いながらも必死に耐え、花を咲かせていた桜は、作者にとって確かな<希望>だった。被災地の現実からすればささやか過ぎるかもしれないが、作者はそのような<希望>のひとつとして観てもらいたいと願っている。カラー約40点。

作者のプロフィール

1969年山形県天童市生まれ。日本写真家協会会員。2005年宮城県芸術選奨新人賞受賞。
写真展に、02年「SAKURA~何でもない幸せの行方~」(銀座ニコンサロン)、03年「SAKURA~何でもない幸せの行方~」(仙台ニコンミニギャラリー)、05年「沖縄語(ウチナーグチ)」、08年「沖縄語Ⅱ 美ら島地獄の記憶」(以上銀座ニコンサロン)などの他多数開催。
写真集に、10年「お伽噺桜」、11年「それでも咲いていた千年桜」(以上窓社刊)などがある。

年末年始休館
12/30 (金) ~1/4 (水)
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