ザビーネ・シュリュンダー
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ひとの存在を繋ぐもの
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7/20 (水)
~8/2 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
これらの写真が見せるもの、それは出来事や出会い、それらの事象に対する作者の主観である。この写真は、作者の過去だけではなく、誰か他の人の歴史をも「目に見える」ものにしてくれる。多くの人が生きる、生活をするそれぞれの場所は、目に見えない糸でつながっていて、この目に見えない糸が、実は控えめに、でも人間の存在を様々な方向へと導いている。
存在とは何か。
人生の核とは何か。
何が私たちを突き動かすのか。
飽くことのない追求は、思い出の場所へと、過去の場所へといざなう。しかし、追求に辿り着くゴールはなく、方向感覚さえ失うことさえある。人が偶然に辿り着いた場所、そこで何かを見た瞬間、何かを思い出させることがある。それは、「今」、そして「次の瞬間」へとつながっていく。そのように「狭間」というものの時間的、肉体的、感情的な間を映像がめぐる。
答えがあるのか、この写真には作者の追及が現れている。モノクロ30点。
作者のプロフィール
1973年ドイツ、ノルトラインヴェストファーレン州テルクテ生まれ。ベルリン・ヴァイセンゼー美術大学コミュニケーションデザイン専攻(研究過程)。現在レッテ・フェライン職業センター(ベルリン)写真講師。ベルリン在住。
2007年Loris(ロリス)-現代芸術のためのギャラリー(ベルリン)設立。08年ドイツ写真アカデミーに招聘される。09年「B-Side」ワークショップ、バウハウス大学(ヴァイマール)講義。
99年コダック後継者育成賞(助成金)。00年ラインハルト・ヴォルフ賞、08年フォト・ドク賞ノンフィクショナーレ(バート・アイブリンク)、10年第4回マリアンヌ・ブラント国際コンクール(ケムニッツ)受賞。
写真展に、08年「国境なきヨーロッパ(Europa ohne Grenzen)」(欧州議会/ブリュッセル)、10年「省略(Ellipsen)」(ロリス/ベルリン)があり、「Zeitgenössische Deutsche Fotografie」(現代ドイツの写真)、「Grenzgänge」(国境越え)など出版物多数。
ニコンサロン企画展
江成 常夫
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GAMA CAVE 霊魂がやどる聖地
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8/3 (水)
~8/16 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
休館:8月13日(土)・14日(日)
写真展内容
歴史は明日への道標にほかならない。作者はこれまでの40年近く、15年にわたった「戦争の昭和」に翻弄され、声を持たない人たちの声を写真を通して代弁することで、現代史を軽視、記憶から遠ざけてきた戦後の日本人を問い続けてきた。
「戦争花嫁」と呼ばれ蔑みのもとにアメリカに嫁いだ日本人女性との出会い、「15年戦争」の発端となった「満洲」、「満洲」が生んだ日本人戦争孤児、大戦の終焉地ヒロシマを三十数年にわたって見詰めてきた。2004年からは「満洲」と「ヒロシマ」をつなぐ太平洋戦の15の戦歴の島を巡ってきた。
このうちでも本土防衛の最終戦となった沖縄戦は、県民を巻き込み、軍民合わせた戦没者は188,000人余りに及んでいる。
沖縄は島の地質的条件から「ガマ」と呼ばれる自然洞窟が各所に多数点在している。「ガマ」には県民の老若男女、乳児までが戦火を逃れ身を寄せたが、日本軍から追い出され、自決を強いられるなど凄惨を極めた。そしてまた「ガマ」には軍の野戦病院が置かれたことから、米軍が攻め込むなか重傷将兵らは置き去りにされ、多くが没している。こうしたことから「ガマ」はいわば阿鼻地獄のもとで逝った人たちの、霊魂が宿る「聖地」でもある。
写真展では、これまで封印されてきた「ガマ」を克明に浮き立たせることで、太平洋戦の罪の深さを、鎮魂をもって呼び戻そうとしている。カラー30~40点(大型を含む)。
作者のプロフィール
1936年神奈川県生まれ。62年毎日新聞東京本社入社。74年毎日新聞社を退社し、フリーに。以後、一貫して「戦争の昭和」に翻弄された声を持たない人たちの声を写真で代弁することで、戦後日本人の現代史に対する精神性を問い続ける。88年ニッコールクラブ幹事。94年九州産業大学大学院(特遇)教授。98年ニッコールクラブ会長に就任(~2007年)。99年九州産業大学大学院教授(~2010年)。現在九州産業大学名誉教授。
[写真集・著作]
76年「ニューヨークの百家族」(平凡社)、81年「花嫁のアメリカ」(朝日新聞社・講談社)、84年「シャオハイの満洲」(集英社・新潮社文庫)、95年「まぼろし国・満洲」(新潮社)、「記憶の光景・十人のヒロシマ」(新潮社・小学館文庫)、2000年「花嫁のアメリカ・歳月の風景」(集英社)、02年「ヒロシマ万象」(新潮社)、05年「レンズに映った昭和」(集英社新書)、06年「生と死の時」(平凡社)、11年「鬼哭の島」(朝日新聞出版)など。
[写真展]
76年「家族・ニューヨーク」(新宿ニコンサロン)、78年「ヤーニンジュ・OKINAWA」(銀座ミキモトホール)、80年「花嫁のアメリカ」、84年「小日本人」(以上、銀座ニコンサロン)、85年「シャオハイの満洲・百肖像」、90年「ニューヨーク日記」(以上、銀座・大阪ニコンサロン)、92年企画展「変容する家族の記録」(東京都写真美術館)、「家族の肖像1976-1992」(銀座・大阪ニコンサロン)、95年「昭和史の記憶・まぼろし国・満洲」(銀座・大阪ニコンサロン)、「昭和史の記憶・ヒロシマ万象」(新宿・大阪ニコンサロン)、97年毎日芸術賞受賞記念展(相模原市博物館)、99年「昭和・家族の肖像」(新宿・パークタワーギャラリー1)、2000年「「昭和史の風景」花嫁のアメリカ・シャオハイの満洲・ヒロシマ万象」(東京都写真美術館)、06年「「昭和史の風景」偽満洲国。鬼哭の島」(日本新聞博物館)など多数。
[受賞]
77年第27回日本写真協会新人賞、81年第6回木村伊兵衛写真賞、85年第4回土門拳賞、95年第37回毎日芸術賞、2001年日本写真協会年度賞、第50回神奈川文化賞、相模原市民文化彰、02年紫綬褒章、10年旭日小綬章など。
宇井 眞紀子
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アイヌ、風の肖像
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8/17 (水)
~8/30 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
北海道二風谷でアイヌ女性、アシリレラ(日本名、山道康子)さんを中心に、伝統的な茅葺きのチセ(家)で、アイヌ文化を学びながら共同生活を送る人びと。そこだけタイムスリップしたような空間。1992年から約20年間にわたり、作者は娘を連れて東京~二風谷を往復し、家族のように傍らで暮らしを記録した。
アイヌ民族を先住民族と認める国会決議が採択されたのは、ほんの3年前。自分たちと違う価値観を持つ先住者を勝手に「野蛮」「劣等」と決めつけ、同化を強いて来たその考え方の根本は、正されてはいない。未だ厳しい状況の中、先祖が残した精神文化を大切に受け継いでいるアシリレラ。ファミリーの暮らしの中には、あたり前のように祈りがあった。何かを始める時、何かが無事に終わった時、皆で集まってカムイノミ(神への祈り)の儀式を執り行うこともあれば、一人で薪ストーブの火に向かって祈ることもある。
「人間の力のおよばない存在」を感じることで、人は謙虚に生きられる。共に過ごした日々から作者の心にしみてきた想い、世界観を表現した作品である。カラー約20点・モノクロ約30点。
作者のプロフィール
1960年千葉県生まれ。83年武蔵野美術大学卒業。85年日本写真芸術専門学校卒業。
写真家樋口健二氏に師事。同時に写真家としてフリーランスで活動を開始。92年よりアイヌ民族の子連れ取材を始める。日本写真家協会会員。日本写真芸術専門学校講師。武蔵野美術大学非常勤講師。
写真集に、『アイヌときどき日本人』(社会評論社)、『眠る線路』(ワイズ出版)、『ASIR RERA:AINU SPIRITS』(新風舎)、『アイヌ、風の肖像』(新泉社)などがある。
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ニコンフォトコンテストインターナショナル
2010-2011入賞作品展
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8/31 (水)
~9/13 (火)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
ニコン フォトコンテスト インターナショナルは、「世界中の写真愛好家が、プロフェッショナルとアマチュアの枠を越えて交流できる場を提供し、写真文化の発展に貢献すること」を目的に、株式会社ニコン(社長:木村眞琴)が1969年から開催している、歴史ある世界最大規模の国際写真コンテストで、近年は隔年に開催しています。
33回目を迎える今回は、2010年9月~11月の3カ月間、「自由題目」と「Energy」の2部門にて、世界中から作品を募りました。応募作品は、153の国と地域から過去最高の23,308名の応募、60,000点以上の作品が寄せられました。
「自由題目」では、テーマや題材に一切の規定を設けず、心に感じたままを自由に表現した作品を広く募集し、「Energy」では、強く心を動かされた情景や人物、自らを動かす源となっているものや、エナジーを感じさせる作品を募りました。
また、若い世代の写真愛好家を応援するという趣旨のもとに設けた「ヤングフォトグラファー賞」(29歳以下の応募者対象・若いエネルギーや新しい視点が感じられた作品)には、前回同様4作品が選出されました。
本展では、地域や民族の枠を越えて選出された入賞作品53点(グランプリ1作品、「自由題目」部門16作品、「Energy 」部門16作品、「ヤングフォトグラファー賞」4作品、同次点16作品)を紹介します。いずれも独自のスタイルをもつ魅力的な作品であると同時に、撮影者のさまざまな想いが作品に凝縮されており、社会的な側面や人間の本質をとらえた作品が多く見られます。
審査員:
土田ヒロミ氏(委員長) 関口照生氏 大石芳野氏 南川三治郎氏 鈴木英雄氏 大坂 寛 氏
長島有里枝氏(ニコン イメージングジャパン代表審査員)
Ms. Robin Layton(Nikon Inc. 代表審査員)
Mr. Vincent Munier(Nikon Europe B.V. 代表審査員)
Mr. David Dare Parker(Nikon Hong Kong 代表審査員)