写真展内容
東京で写真を続ける意味を見いだせなくなり、帰った神戸で見つけたアルバイト募集のチラシ。
「どんなに重度障害を持っていても、自分の選んだ地域で生きてゆきたい。そのための有償介助者を募集しています」との言葉に惹かれ、作者は何もわからないまま電話をかけた。
そこで出会ったのは「自分たちのことは自分たちで決める」と、社会に出ていろいろな人と関わりを持ちながら、地域で生きようとする人たちの姿であった。
例えば「食事」一つをとっても、「何を誰と食べる、どんな味付けにする、食器は何を使う…」といった、多くの人々の日常生活では「自分で決める」などと意識する必要のないほどささやかなこと、それすら選ぶことができなかったと彼らは語る。
メディアから伝わってくる障害を持つ人のイメージは、「困難を乗り越えて頑張っている」とか、「そのひたむきに努力する姿に感動」など、何か特別な意味を持たされているように感じることもあった。
彼らと関わってゆくことは、「では、あなたはどうなの? あなたは私をどう見ているの」と、写真を撮ることも含め、作者自身への問いかけでもあった。カラー約40点。
作者のプロフィール
1976年生まれ。97年日本写真学園卒業。98年よりギャラリーを中心に作品を発表している。