岡 聖子
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her/story
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4/26 (火)
~5/2 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
2008年の夏にデンマークで撮られたディップティック30組の写真インスタレーションで、流動的な日々に埋まる破片を拾い集め、それに新しい関連性を見つけてつなぎ合わせたもので構成する。そのストーリーは線状ではなく螺旋状で、そこには「始まり」もなければ「終わり」もない。ここで作り上げようとしているのは、連想ゲームというコンセプトである。
われわれは日常の中で、何の関係もなかったもの同士が、ある偶然をきっかけにして出会い、つながり、お互いを影響しあって過ごしている。それは歴史という大きな物語ではなく、もっと親密で、直感的で、イマジナティブな要素を多く含んでいる。
写真がフィクションと現実の狭間に存在するのだとしたら、それは「自分」が「自分以外の誰か」との関連において語られ、常に新しい自己を形成することと似ている。
作者は、写真というメディアが本来持つ記号性と、私たちを取り巻く日常空間との関係について考え、制作している。カラー30点。
作者のプロフィール
1979年大阪府生まれ。2006年フロリダ大学大学院芸術写真コース修了。その後ヨーロッパでのレジデンスや国内外での発表を経て現在パリ在住。
主な写真展(個展)に、10年「Si par une nuit d’hiver un voyageur」(Ceske Budejovice/チェコ)、「Vera Icona」(AD&Aギャラリー/大阪)、「A Line of Subtraction」(ギャラリーウー/大阪)。グループ展に、08年「BlueDot-Asia」(ソウルアーツセンター/ソウル)、09年「余韻/響き」(Hyun Gallery/ソウル)、「P&E2009」(アートコートギャラリー/大阪)、「神戸アートコレクション」(神戸ファッション美術館)、10年「10s Aqua Blue」(エモンフォトギャラリー/東京)などがある。
野澤 正樹
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少年時代
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5/3 (火)
~5/9 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
結婚16年目に生まれた息子「佑紀」。初めての対面はファインダー越しであった。
それからは、常に手元にカメラを置き、メモを取る様にシャッターを重ねた。そしてある時気がついた。息子に自分の過去をオーバーラップさせて見ている自分がいる事を。ファインダーの中で、自分の少年時代が色褪せた8ミリフィルムの様に上映されている事に…。
いつしか、汗くさく埃くさい少年時代を創り上げる事に夢中になった。息子は一人の少年となり、息子を取り巻く世界は、少年時代の舞台となっていった。
この春、息子は小学校を卒業する。息子が青年に変わる時、作者の少年時代も終わりを迎える。モノクロ63点。
作者のプロフィール
1956年生まれ。埼玉県美術家協会会員。全日本写真連盟浦和支部・写団うらわ所属。2002年アサヒカメラ月例コンテストモノクロプリントの部年度賞1位、06年同カラープリントの部年度賞3位、07年ニッコールクラブ、サロン・ド・ニッコール年度賞1位、09年デジタルカメラマガジン月例コンテストモノクロプリントの部年度賞1位。
森脇 亨
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実感する日々
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5/10 (火)
~5/16 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
定年退職を前に、定期健康診断で異常を指摘され、精密検査で原因及び治療方法が不明な難病と診断された。
不意に訪れた自分の死。生と死を意識する心の葛藤は、身辺の風景までも変えてしまった。今まで見過ごしていた何気ない日常の風景に、自分の現状やこれからが映しだされていた。そして、その映像に同情を求め、且癒されながらシャッターを切った。
“まだまだ生きたい”
はてしない生への執着。
しかし、いつかは終わりが来る。その時、何が悲しい? 何が心残り?
いま作者は、限りある時を「実感する日々」である。
カラー45点。
作者のプロフィール
1947年山口県周南市生まれ。68年株式会社トクヤマ入社(2007年定年退職)。70年頃写真を始める。二科会写真部山口支部元事務局長、コンタックスクラブ山口支部元支部長、日本写真協会会員、ニッコールクラブ会員、周南フォトグループ「ふく」所属、徳山フォトエキシビション実行委員。
氏家 勇
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沿線の下町
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5/17 (火)
~5/23 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
横浜市の工業地帯を結ぶ現在JRの旧国鉄鶴見線は、戦後日本の復興を支えた鉄道である。沿線の駅の周辺は戦前のアパートや家並みもあり、作者は下町の風情に魅力を感じ、記録を残すことを痛感した。
住む人達との会話で感じた事は、連帯感と心の温かい住民の町であることであった。作者の心に、今でも爽やかな風が流れる日もあり、34年前の心に刻み込まれた原風景を再現した作品である。なお、撮影したのは1977~78年である。
モノクロ40点。
作者のプロフィール
1933年神奈川県川崎市市生まれ。59年ニッコールクラブ入会。80~85年、USAスミソニアン協会より依頼され、外国人写真家と共に全米美術館及び大学を巡回。65年アサヒカメラカラースライドの部年度賞1位、84年ニッコールコンテスト第1部モノクロの部ニッコール大賞受賞。
主な写真展に、78年「川崎」、2003年「シーサイドヨコハマ」(以上銀座ニコンサロン)などがある。
高戸 二三男
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小路から小路へ -善光寺門前町
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5/24 (火)
~5/30 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
長野市は人口40万人ほどの小都市で、県庁所在地だが、門前町としての町の形は類を見ないほど残っている。
2㎞離れている長野駅と善光寺は一本道で結ばれており、その両側200~300mの範囲が中心の繁華街で、北半分が古くからの善光寺門前町だ。寺と老舗が印象的である。
作者は、この町を2006年に撮り始めた。町歩きでふと足が止まる。立ち止まった場所で、何に惹かれたかを解くように、その訳を撮影する。大通りからではなく小路を通して、この町の魅力である平凡さ、小路から見通す町並みと家並み、古い佇まい、生活の変化、季節などを記録した。
写真は絵画と異なり、鑑賞者ごとに印象が異なる。本展では、鑑賞者と作者の気持ちが一致してほしいという希望から、50㎜レンズのみで撮影した作品を展示する。
モノクロ45点。
作者のプロフィール
1949年生まれ。小学5年生の時、写真を撮っていた記憶あり。92年ニッコールクラブ入会。94年ニッコールクラブ長野支部入会。96年長野県写真連盟写真県展にて推薦受賞。2003年写真集「ありがとう木島線」出版。
矢部 朱希子
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ここに生きる
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5/31 (火)
~6/6 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
東京で写真を続ける意味を見いだせなくなり、帰った神戸で見つけたアルバイト募集のチラシ。
「どんなに重度障害を持っていても、自分の選んだ地域で生きてゆきたい。そのための有償介助者を募集しています」との言葉に惹かれ、作者は何もわからないまま電話をかけた。
そこで出会ったのは「自分たちのことは自分たちで決める」と、社会に出ていろいろな人と関わりを持ちながら、地域で生きようとする人たちの姿であった。
例えば「食事」一つをとっても、「何を誰と食べる、どんな味付けにする、食器は何を使う…」といった、多くの人々の日常生活では「自分で決める」などと意識する必要のないほどささやかなこと、それすら選ぶことができなかったと彼らは語る。
メディアから伝わってくる障害を持つ人のイメージは、「困難を乗り越えて頑張っている」とか、「そのひたむきに努力する姿に感動」など、何か特別な意味を持たされているように感じることもあった。
彼らと関わってゆくことは、「では、あなたはどうなの? あなたは私をどう見ているの」と、写真を撮ることも含め、作者自身への問いかけでもあった。カラー約40点。
作者のプロフィール
1976年生まれ。97年日本写真学園卒業。98年よりギャラリーを中心に作品を発表している。