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新宿ニコンサロン 2011年3月

金 東辰

写真
風景-ソウルの景観再考
3/1 (火) ~3/7 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

韓国の首都ソウルは、近年急激な経済成長と人口増加を背景に、いたるところに高層マンションが建ち並び、国際都市へと変貌を遂げようとしている。
他方でソウルは、大小の山に囲まれていて、山の姿に連なって幾つもの街がつくられてきた。それぞれの街並みは山の懐に抱かれていたり、尾根に寄り添っていたりと様々な形をしている。そこでは早朝から眩しいまでの陽光に照らされる街もあれば、午後になってようやく日差しに恵まれる街もある。
昔からこの地に住む者にとって山の在り方に逆らわないことが生きるための知恵であり、自然と共生しようとする意志の表れでもあった。
ソウルに暮らし、これまではソウルの変貌へ目を向けてきた作者にとって、今回の写真展はソウルの新旧が交差し、重層化している景観をアノニマスな視点から再考することを試みる。
カラー40点(予定)。

作者のプロフィール

1963年韓国生まれ。89年明知大学経済学部貿易科卒業。95年東京綜合写真専門学校卒業。96年東京造形大学写真研究科修了。同年韓国に帰国し、ソウルにて作家活動を始める。2008年「Beansseoul gallery」を開設。以後代表を務め、「写真」及び「現代美術」の展覧会企画を手掛け、現在に至る。
写真展に、95年「fence」(gallery ledeco 6/東京)、97年「borderline」(Samsung photogallery/Seoul)、98年「city-line」(zeit-foto salon/東京)、99年「同」(gallery coju/京都)、「土層圖」(egg gallery/東京)、2000年「in the morning」(seonam photogallery/Seoul)、01年「土層圖Ⅱ」(lux gallery/Seoul)、02年「plate」(sun & moon gallery/Seoul)、08年「流」、10年「蘭芝島」(以上Beansseoul gallery/Seoul)などがある。

広瀬 美紀

写真
わたしはここにいる -requiem 東京大空襲-
3/8 (火) ~3/21 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

今を生きる普通の人とはどんな人だろう。誰かに自慢できることもなく、家族や人々の中にいても孤独で、親孝行もできず、不安の中を生きている人もいるのではないだろうか。
66年前、大空襲で普通の人々が殺された。彼らも私たちと同じように日々悩み生きていただろう。彼らのことを一番身近に感じられるのは、私たち普通の人間だ。人間の考えることは、時代が違っても大して変わらない。生き残った人間は、何百何千という遺体を穴に投げ入れるし、子供たちは埋葬後の山の上を駆け上り、遊ぶ。死んだ人の上を歩かなければ向こうに辿り着けないのだったら、誰でもそうするだろう。私たちはこうやってDNAを繋げてきた。
作者は今の人に伝えたいと思う。「わたしはここにいる。なぜ私たちは殺されたの? 過去は今に通じ、未来へ繋がる。今の私たちがここにいるのは過去があるからだ。未来は今の人がつくる」
今、空襲で殺された私たちは、ここ(仮埋葬地)にはいない。関東大震災で亡くなった人々と一緒に祀られている。そこで法要をあげている今の人は、そうしたかった理由があるのだと思う。しかし、それは過去や未来を考えることが不足している。今を生きる自分たちの亡くなった者への思いだけだ。死んでいった者の言葉を、生まれてくる者へ伝えるのは今を生きる者の務めだ。
モノクロ40点。

作者のプロフィール

1977年東京生まれ。2000年工学院大学工学部応用化学科卒業。02年北里大学大学院医療系研究科人間科学原論修了。05年日本写真芸術専門学校Ⅱ部報道芸術科樋口ゼミ卒業。樋口健二氏に師事。東京大空襲をテーマに写真を撮り続けている。現在フリーランスで活動中。

中村 治

写真
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3/22 (火) ~4/4 (月)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

故郷を失うことは、自分を失うことなのだろうか。
中国南東の山間部に異様な建物が点在するエリアがある。外界を拒絶するようにそびえる土壁。一歩足を踏み入れれば100部屋はあろうかというほどの猥雑な集合住宅が現れる。
黄河中下流域から戦乱を逃れてきた「客家人(はっかじん)」たちのこの住処は客家土楼と呼ばれ、世界遺産にも登録される歴史的建造物だ。
1700年もの歴史を刻むこの建築群には老人の姿が目立つ。中国の発展は、人里離れたこの山間にとっても他人事ではない。都市部へと出稼ぎに行き、都会の生活に浸った若者たちは、もう客家土楼に戻ってこない。主をなくした住処は、中国の成長と反比例するように急速に荒廃しはじめている。
進化とは、時に物質的な犠牲をともなうのかもしれない。しかし、歴史が年輪に刻まれるように、受け継がれなければならないものもあるはずだ。それこそが、今のわれわれ自身を形づくるものなのかもしれない。
作者はその思いを本展のタイトルに込め、世界遺産「客家土楼」と、そこに今なお住み続ける人々を撮影し続けた。
古代中国の王族の末裔として華僑の1/3を占めるともいわれる客家人。消えゆく住処に彼らは何を思うのだろうか。そして、私たちに何を語りかけるのだろうか。カラー45点。

作者のプロフィール

1971年生まれ。成蹊大学文学部文化学科卒。ロイター通信社北京支局にて契約カメラマン、雑誌社カメラマン、鳥居正夫氏アシスタントを経て、01~05年写真家坂田栄一郎氏に師事。06年独立し、現在フリーランスで活動中。

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