幡野 広志
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海上遺跡
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11/25 (木)
~12/1 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者は日本一周の旅に行った。海沿いをひたすら車で走り、車中泊して旅した。撮影することが目的ではなく、旅をすることが目的だった。
そして海上に建物があることに気づく。しかも遺跡のように朽ちている。思わず被写体の珍しさや造形美に惹かれ、撮影をした。
旅を終えて東京に帰り、その被写体が何なのか調べた。
作者は、順番が逆だったことを本当に後悔した。先に調べてから撮影すべきであった。
そこには建造されたしっかりとした理由があった。分かってくる被写体の凄さ。めずらしさや造形美という浅い視点で撮影するべきではなかった。
波の浸食による崩壊や沿岸部の開発や危険防止のための撤去など、あと何年か経ったら無くなってしまうかもしれない。
この景色を自分の納得する写真作品として残したく、作者はまた日本一周の旅に行くことにした。今度は撮影を目的とした再撮影の旅だ。カラー15点。
作者のプロフィール
幡野 広志(ハタノ ヒロシ)
1983年東京生まれ。2005年日本写真芸術専門学校中退。制作会社アシスタントを経て高崎写真事務所に所属。
写真展(グループ展)に、06年、Tokyo East Perspective 企画展「すみだ職人列伝」がある。
大竹 雅仁
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群れの行方 -The Shadows of New York-
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12/2 (木)
~12/8 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
ニューヨークのアート展に写真を展示したことがきっかけで、作者は7年ぶりに半年ほどニューヨークに滞在することになった。
ブルックリンでも銃声が響く治安の悪いエリアに滞在した半年間、作者はほとんど毎日街に出て行っては写真を撮ったが、ニューヨークという街は親しいようでいて完全によそよそしかった。しかし作者にとっては、ニューヨークのほとんどのものは精神的に繋がりの希薄な対象で、興味の対象は、写真で切り取ることが出来るそれらのカタチであり、作者の目の前に現れている被写体の影のような一部分だった。つまり、そのものの表層には惹かれるが、それらが内包するコンテンツなどには心を向けることはなかった。それは、ニューヨークに存在するあらゆるものを、単に写真制作のためのデザイン素材か何かのような無機質なものとして見ていたのかもしれなかった。
しばらくして、作者は一人の日本人女性と出会い、親しくなって、写真を撮ることも了承してもらった。作者と彼女との精神的つながりは、ニューヨークとのそれに比べればずいぶんと濃いものであったはずだが、作者がそれまでニューヨークに対して取ってきたスタンスの影響で、この女性を撮ることになっても、彼女の表層が作り出すカタチに多くの興味が向けられた。
作者の切り取ったものはニューヨークというものが落とした影であって、それらのコンテンツ(それらが本来持っているもの)を正確に表現しているということはない。どちらかというと、作者の乱暴で勝手な解釈(切り取った形によるもの)をそれぞれがバラバラに表現しているものだ。しかし、それら影たちのコレクション(集積したもの)が形成するモノは、ときに予期していなかったストーリーを創り出すこともある。それこそが作者のニューヨーク写真であり、切り取られたニューヨークの群れにこそ作者のニューヨークがある。モノクロ約40点。
作者のプロフィール
大竹 雅仁(オオタケ マサヒト)
1975年生まれ。米国シアトルのArt Institute of Seattle にてコマーシャルフォトグラフィーを学ぶ。2006年、09年B&W Magazine Merit Award 受賞。08年Art of Photography Show 2位受賞。
写真展に、2006年「People」(カフェギャラリー日和/千葉)、08年「Transmigration ―ベナレスにて―」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、09年「上海 ―濁流―」(Artexpo NY 2009 出展 Jacob K. Javits Convention Center/NY、米国)などがある。
川岸 じろう
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癌とたたかう
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12/9 (木)
~12/15 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者の平凡な日常生活に、突然変化が起こった。昨年12月に検査した結果、「前立腺癌」と判明したからである。
作者は放射線治療か全摘出手術か迷ったが、癌が転移しないうちに切ることにした。
手術は本年3月に実施し、7時間を要した。麻酔が切れた後は熱でうなされ、そして夢を見た。食欲、写欲、性欲――生欲などなど。
回復とともに生きる力が湧いてきた。「癌とたたかう」ことは自分とたたかうことであり、勇気と希望を持って立ち向かうことが大切ではないか。
本展は、昼夜にわたって看護してくれた看護師さん、主治医の先生の治療による作者の闘病記録である。モノクロ51点。
作者のプロフィール
1936年大阪市生まれ。96年サンスター㈱定年退職。99年全日本写真連盟大阪府本部委員。ニッコールフォトコンテストやJPS展、他入賞多数。日本写真作家協会会員、日本写真協会会員、日本針穴写真協会会員。
写真展に、2003年「下町賛歌Ⅰ」(ミノルタフォトスペース)、06年「下町賛歌Ⅱ」(ミノルタフォトスクエアー)、08年針穴写真展「針穴からのぞいた大阪」(中央公会堂)、09年「三宅島その後 明、暗」(ニコンサロンbis大阪)などがある。
伊藤 善七
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益田市大字カラス村
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12/16 (木)
~12/22 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
黒い翼を広げた鳥の群れが一斉に飛んできて
植えた作物に止まり羽を膨らませている。
柔らかそうな羽が青い空の下でまぶしく光る。
風が吹いてきた。
大空をおおいつくす黒い翼に恐怖を感じながら
無我夢中でシャッターを押し続けた。
“鴉” “からす” “カラス”
この地域も高齢化と過疎化が進んでいる。
いずれカラスだけ住む「益田市大字カラス村」になるかも知れない。
作者のプロフィール
1937年山梨県生まれ。67年益田市に移住。68年頃より写真活動を始める。75年全日写連益田支部に入会。2008年ニッコールクラブ入会。各種写真コンテストに応募、入賞多数。
小倉 武五郎
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Park City
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12/23 (木)
~12/29 (水)
10:30~18:30(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
遊園地は、1890年ニューヨーク郊外にあるビーチリゾート、コニーアイランドに建設されたのが原点とされている。都市が進化するように、遊園地もまたおのずと進化すると作者は考える。鉄道会社が所有する遊園地が経営困難にあることは、成熟した社会、少子化の時代にはむしろ自然といえるだろう。
しかしポジティブに考えると、遊園地のもつ諸要素が都市の中に飛散したとは考えられないだろうか。商業ビルに併設された観覧車やゲームセンターに人が集まる。車道が開放されて歩行者天国になることもある。
遊園地は衰退したのではなく、都市の中に融合し、進化し続けているとみるべきだろう。
コニーアイランドに由来する米国流の遊園地は、もはや日本の都市とは競合しない。なぜなら遊園地は都市そのものであるからだ。
カラー40点。
作者のプロフィール
1944年兵庫県神戸市生まれ。2001年有野永霧氏に師事。