Nikon Imaging
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新宿ニコンサロン 2010年9月

鷲尾 倫夫

写真
望郷・エトセトラ
8/31 (火) ~9/13 (月)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

写真展内容

人の生きてきた時間の歴史は奥深い。人を傷つけ、自分にも重い傷みを背負いながら、時の流れに逆らいもせず、栄光時代を支えに静かに生きている人達。
刻み込まれた影の部分を光の中に晒し、失った大切なものをとり戻すかのように、望郷の念を織りまぜ、彼は柔らかな口調で語り始める。話が進むに従って、作者は想像もできない世界の渦に巻き込まれて聞き続けた。『クニ』に帰りたい。が、帰れない。ふるさとは遠いよ。といって言葉を結んだ。
後日、その彼にスーツ姿の写真を頼まれた。出来上がった数枚を持って訪ねた。ノックをしたが返事はない。ドアに手を掛け、引くと開いた。すると煙が立ち揺らぎ、一気に流れでてきた。彼は正座していた。灰皿に二本のタバコを立て、背を丸め、手を合わせていた。作者に気付くと、作者の顔をじっと見て、つまった声でオフクロが死んだといった。いつと聞くと先月。兄貴は知らせてくれなかった。と震え声でいった。その目に涙がたまっていた。作者は何も云えず、万年床に写真を置いて立ち去るしかなかった。
それから数日して彼は突然、誰にも看取られず三畳の部屋で死んでいたと、彼らのふるさとを歩いている旅先に知らせがあった。モノクロ46点。

作者のプロフィール

鷲尾 倫夫(ワシオ ミチオ)
1941年東京都生まれ。60年愛知県国立高浜海員学校修了。東洋海運(合併後新栄船舶)入社。72年退職。73年日本写真学園研究科卒業。81年「FOCUS」編集部専属カメラマン(新潮社)20年在籍。83年日本写真学園主任講師。91年伊奈信男特別賞受賞。96年編集者が選ぶ雑誌ジャーナリズム賞受賞。
写真展に、72年「東アフリカ・マガディン村の人々」「そのままで、君たちは」(以上、新宿ニコンサロン)、76年「日々一生」、77年「寿町えれじぃ」、80年「冠婚葬祭」、81年「顔・エトセトラ」(以上、銀座ニコンサロン)、同(大阪ニコンサロン)、84年「ヨボセヨ」、86年「ヨボセヨII」、89年「原色の町 ソウル84―88年」、91年「1977年―13年―1991年 エトセトラ」、94年「顔・エトセトラII」、98年「韓国」(以上、銀座ニコンサロン)、2003年「ソウル・シティ」(PLACE M)、04年「野球人」(ギャラリーコスモス)、07年「原色のソナタ」(PLACE M)、09年「写・写・流転」(新宿ニコンサロン)などがある。
写真集に、90年『原色の町』((株)アイピーシー)、2000年『写真』、07年『THE SNAP SHOT』(以上、ワイズ出版)、08年『原色のソナタ 1992~95 SEOUL』(PLACE M)などがある。

山本 敏晴

写真
HIV/エイズとともに生きる子どもたち
9/14 (火) ~9/27 (月)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

写真展内容

HIVに感染した母親から生まれた子どもは、生まれながらにしてHIVに感染していることがある。それでも「死なずに生き続けられる薬」が現在開発されたが、生き続ける子どもたちの現状は壮絶である。
「エイズは、とても悪いことをした人が受ける『神の呪い』だ」という現地に迷信があるため、世間の人たちから子どもたちは差別を受け、村八分となって追い詰められていく。
両親もHIVに感染していたため、既にエイズを発症し死亡しているケースが多く、子どもたちは「孤独と貧困」の中にいる。
作者は、ケニアでこのような状況の中で生きている子どもたちに「あなたの大切なものは何ですか?」と尋ねた。本展では、彼ら、彼女らのその回答から紡ぎだされる「HIVとともに生きる子どもたち」の「苦しみ」と「それを超える人間の強さ」を展示する。(なお、作品は本人および保護者の了解のもとに撮影したものである)カラー40点。

作者のプロフィール

山本 敏晴(ヤマモト トシハル)
1965年生まれ。仙台出身。写真家・医師・国際協力師。78年南アフリカを訪れ、人種差別に衝撃を受ける。中学生の頃から途上国を中心に数十か国を訪れ、一眼レフを片手に各地を撮影。2000年より数々の国際協力団体に所属し、アフリカや中東で医療援助を行う。03年より2年間「国境なき医師団」日本理事。04年NPO法人「宇宙船地球号」を創設。
主な写真展に、02年「ペルシャの末裔」(キヤノンサロン)、「天寿五年の瞳」(銀座ニコンサロン)、03年「平和という贈りもの」(オリンパスギャラリー)、04年「彼女の夢みたアフガニスタン」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、05年「あなたのたいせつなものはなんですか?」(全国キヤノンギャラリー)、08年「沈みゆく島の大切なもの」、10年「ルーマニアの記憶」(以上ペンタックス・フォーラム)などがある。

juna21 寺本 真弓

写真
Diary 曇り、ときどき晴れ
9/28 (火) ~10/4 (月)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休

写真展内容

2008年の夏。作者は自分に起こっているすべての事が息苦しかった。そんな時、アメリカ行きの話が舞い込んだ。なんでもやってみよう、そう思い40日間日本を離れた。
からっとした空気、大きな空、手足を伸ばし、深呼吸。日常との違いを楽しんだ。新しい出会い、新しい空気に触れ、作者自身、自分も変われるような気がした。
それでも、しばらくして旅に慣れてくると、日本にいる時のように、不器用で言いたい事がうまく伝えられない自分がそこにいた。こんなはずじゃない、どうしたらいいのだろう。気がつくと息苦しかった。
気持ちとは関係なく続く旅の中で、日々飛び込んでくる目新しい色、カタチ、風景。そのひとつひとつにカメラを向ける事で、作者は立ち止まることなく前に進む事が出来た。
展示する作品は、アメリカ西部約6,700マイル(約10,720キロ)、見飽きる事のない風景を作者が撮り続けたものである。カラー約40点。

作者のプロフィール

寺本 真弓(テラモト マユミ)
東京都生まれ。1995年桑沢デザイン研究所II部ビジュアルデザイン科卒業。
写真展に、1997年「晴れた日に」(コニカプラザ 新しい写真家登場)がある。

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