染谷 學
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ニライ
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8/26 (木)
~9/1 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
人ひとりのうちにおいても、死は生の果てにだけあるのではなく、また生と対立するのでもなく、生とともにあり、あるいは生が死に包まれてある。そんな分かり切ったことが、琉球列島から南へと続く島々を旅している と、ことさらに強く感じられる。
奄美、沖縄、台湾、フィリピン、インドネシアと南下するにつれて、作者の中でその感覚は熱や湿度が増すように濃くなっていく。島々はたくさんの生とそれを包む死によって繋がっていた。写真に写された風景も人も、そして作者自身も、穏やかで大きな死に包まれた生という時間を生きていた。カラー45点。
作者のプロフィール
染谷 學(ソメヤ マナブ)
1964年千葉県生まれ。日本大学芸術学部写真学科卒業。
写真展に、95年「生きてゆくカレンの人々」(銀座ニコンサロン)、2000年「Calcutta」(コニカプラザ新宿)、03年「海礁の柩」(ライトワークス)、08年「温泉の町」(銀座ニコンサロン)などがある。また、作品は沖縄県立博物館・美術館にコレクションされている。
本橋 成一
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昭和藝能東西
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9/2 (木)
~9/8 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
1972年、作者は雑誌「太陽」の諸國藝能旅鞄で小沢昭一氏といっしょに仕事をする機会を得、その奥の深さを知った。それまで作者は“芸能”という定義をいわゆる古典伝統芸能から大衆芸能までごく一般的な解釈をしていた。
そしてその4年後、彼の出す季刊誌「藝能東西」でその芸能の幅の広さを学んだ。古典芸能からストリップ、そしてキャバレーまでのこの人間社会において、人を喜ばせ、楽しませ、ドキドキさせ、そしてしっかりお銭をいただく。そのために芸を磨く“芸能”はどこにでもあるのだ。だが、この世界は決して生易しい世界ではないことも知った。そして作者も少しずつ“芸能”さがしの一人旅を始めた。モノクロ約50点。
作者のプロフィール
本橋 成一(モトハシ セイイチ)
1940年東京都生まれ。63年自由学園卒業。68年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。91年よりチェルノブイリ原発とその被災地ベラルーシに通い、汚染地で暮らす人々を写し撮る。95年「無限抱擁」で日本写真協会年度賞、写真の会賞を受賞。98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同名のドキュメンタリー映画は文化庁優秀映画作品賞を受賞したのを始め、海外でも高い評価を受ける。2作目「アレクセイと泉」で52回ベルリン国際映画祭ベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞ほか受賞。2002年東京都写真美術館でチェルノブイリ三部作「ナジェージダ〈希望〉」を開催。04年ロシア国立図書館の招聘によりサンクトペテルブルグで写真展「ナジェージダ〈希望〉」を開催。09年3月、西アフリカ・セネガルの村を舞台にバオバブの樹とともに暮らす人々を描いた最新作「バオバブの記憶」を公開。同名の写真集を平凡社より発刊。
主な著書に、「サーカスの時間」(筑摩書房)、「上野駅の幕間」(現代書館)、「ふたりの画家」(晶文社)、「無限抱擁」(リトル・モア)、「ナージャの村」(平凡社)、「ナージャ希望の村」(学習研究社)、「アレクセイと泉」(小学館)、「生命の旋律」(毎日新聞社)、「イラクの小さな橋を渡って」(共著・光文社)などがある。
青木 昭
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家族の時間
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9/9 (木)
~9/15 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
人は人生の中で何種類かの時間を過ごして行く。
結婚して、作者の新しい家族の時間が始まり、流れ出して行く。その時その時には、幸せともいえるその状態が永く続くように感じられる家族との時間、生活。いつしか知らないうちに変化して行って、気がつけば一方では永かった仕事の時間は過去のものとなっている。永く患っていた妻はとうとう入院して退院が難しい状態になり、いつまでも元気でいてくれると思っていたひとり息子が思いがけなく急に亡くなって、悔いと悲しみの中で家族の時間にもやがて終わりがやって来る事を知らされる。写真を見ながら振り返ると、家族と共に過ごした記憶のひとつひとつが愛おしく、戻ることのできない時の切なさを感じる事となる。
作者は二十代の後半に数年、余暇を利用して写真を撮っていた時期があった。その後永いブランクを経て、在職していた約8年前の単身赴任中に、また写真を撮るようになった。そのうちプロの写真家に近づきたいという思いを強く持つようになり、定年退職後に写真の専門学校に通い続けて今日に至っている。
本展では、作者が家族と過ごしてきた三十年余の生活の一こま一こまを展示する。カラー75点・モノクロ1点。
作者のプロフィール
青木 昭(アオキ アキラ)
1946年埼玉県生まれ。70年東京で大学の文学部を卒業。2006年35年間勤務した民間企業を定年退職。10年ビジュアルアーツ専門学校大阪校写真学科マスターコース卒業。現在同校同学科研究生。
桑原 史成
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激動の韓国 〈その四半世紀の記録〉
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9/16 (木)
~9/22 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
韓国海軍の哨戒艦「天安」が北朝鮮の魚雷攻撃で撃沈されるという出来事は衝撃的な事件であった。ちょうど60年前に勃発した朝鮮戦争は終結していたのではない。休戦の状態で臨戦態勢は依然として続いている。
朝鮮半島では平穏な一時期を除いて常に激動する歴史が繰り返されてきた。本展では、その朝鮮半島の南、韓国の近年史を写真で展示する。展示する写真の主な内容は、
(1)日本による植民地化の残影をとどめた風景。
(2)朝鮮戦争休戦後の疲弊した社会。
(3)反日運動の激しい日本との国交修復に反対する学生のデモ。
(4)有史以来初めてのベトナム戦争への派兵。民主化を求める市民や学生。
それに、北朝鮮に対峙する米韓軍事作戦の写真の展示も計画している。
この8月22日は日本が韓国・朝鮮を併合してから、ちょうど100年目の節目をむかえる。作者自身、日本と無関係ではなかった韓国の実情を50点余の写真(モノクロ)で表現するのは難しいと考えているが、1964年から1988年までの四半世紀を中心に構成し展示する。
作者のプロフィール
桑原 史成(クワバラ シセイ)
1936年島根県生まれ。60年東京農業大学と夜間の東京フォトスクール(現東京綜合写真専門学校)卒業。その年より水俣病事件の取材(撮影)を開始。62年銀座フジフォトサロン(東京)にて写真展を開催し、写真界に登場。その後は韓国、ベトナム、ロシアなどを積極的に取材。82年伊奈信男賞受賞。97年郷里の津和野に町立桑原史成写真美術館設立。
主な著書に、「桑原史成写真全集『水俣・韓国・筑豊・沖縄・ベトナム』(全4巻)」などがある。
大河原 光
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Monuments
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9/23 (木)
~9/29 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
東京には、自治体によって管理された霊園や、お寺に付属している墓地が多くある。
墓石は、慰霊碑として故人を記録し、故人とその人に関わる人々の想いを記憶する。そして、記憶させることで人々が想いを忘れておくための装置として機能している。
墓地は、人々の記憶が集積している場所として、周囲の環境と区分される。周囲の環境は、そこに在る建造物とともに、私たちの日常生活の場として機能し、現実的な意味をおびている。
しかし作者は、ひとつの図像として写しだされた都市風景、建造物は、「写真」になることで、私たちが生活する場としての機能と意味を失い、視覚化されたモニュメントとして立ち返ってくるのではないか、と考える。モノクロ30点。
作者のプロフィール
大河原 光(オオカワラ ヒカリ)
1988年生まれ。2010年3月日本写真芸術専門学校写真科フォトアートコース卒業。
大佐 彩子
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ASIAN PERSONALITIES
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9/30 (木)
~10/6 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者は、彼らのファッションにアイデンティティが表現されると思っていた。ところがレンズ越しに見る被写体の表情に、ただただ釘付けになった。作者は何か得体の知れないオーラにかき消され、気付くと夢中でシャッターを押していた。
足の裏から頭の先まで、筋肉や皮膚、神経といった構成される肉体の全てが彼らの目に集約されていた。年齢も性別も関係なく、誰もが力強く、決して同じではなかった。作者はそれこそがアイデンティティであり、生きていることそのものだと感じた。
なぜこんなにも強く惹かれるのか? なぜこんなに強い目を持っているのか?
作者は彼らの背景を何も知らない。けれども多くの人は経済的に豊かであるとは言えなかった。生まれ持った民族を生き、環境も、家族も、他人をも受け入れる。しかし、それは決して受け身ではなく、自己に真っ直ぐで、与えられた生活の最大限をしっかりと生きているように見えた。
自分の過去を信じ、同じように明日や未来を「無抵抗」に信じる力が、彼ら自身のアイデンティティを築き上げていた。そうした生きる力が肉体的に表現され、作者に注がれた時、もはや洋服や民族衣装は脇役でしかなかった。
どのような事情でどのように装いを選ぼうと、これから先も彼らのアイデンティティが消えることはないだろう。カラー40点。
作者のプロフィール
大佐 彩子(オオサ アヤコ)
1985年京都生まれ。2009年日本写真芸術専門学校卒業。現在同校研究科在学中。