佐藤 謙吾
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サイレント・フィクション
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7/1 (木)
~7/7 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
日々、無意識に接する都会のごくありふれた風景。そこへ唐突に加わる水面によって、終末を想起させるフィクションを仕立てた一連の作品は、私たちの身近に起こりうる「現実感の喪失」を、このフィクションによって象徴化し、作品を見つめる人々ひとりひとりを媒介として、社会、そして私たちのなかに潜在する不安の正体に近づこうとするものである。
作者が、無秩序で混沌とした、あるいは過度に画一的で硬直化した都市の様相に、ワイルドな水面を加えたのは、慣れ親しんだ写真という枠の中の現実を超えた、フィクションによってあぶりだされる「真実」の断片――生活実感の希薄さや、自身の存在の不確かさといった現代の病理の一端が、そこに浮かび上がるかもしれないと考えたからである。なお、水面の効果はあえてデジタル合成ではなく、セットによる撮影を行っている。カラー33点。
作者のプロフィール
佐藤 謙吾(サトウ ケンゴ)
1967年東京生まれ。91年日本大学芸術学部写真学科卒業。同年サントリー(株)入社(宣伝事業部フォトグラファー)。現在サントリーホールディングス(株)広報部勤務。
井上 尚久
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日常の行方
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7/8 (木)
~7/14 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
わたしたちの日常は、毎日、毎日、同じことの繰り返しである。ところがある日突然事故にあったりして、今までの日常生活が一変する場合がある。
しかし、毎日同じことの繰り返しと思って平凡に過ごしている日常も、実はまったく同じことの連続ではないはずである。昨日と今日とでは、まったく同じ瞬間はないのであり、むしろ変化していく日常があたりまえの姿といえる。そして、何かが変わって行くのである。
街には様々なディスプレーや看板、標識、デザインを駆使した建物などがあり、それらは錯綜する光、色彩の氾濫となって、わたしたちに迫ってくる。人物の点在もまるで誰かが意図したかのように感じられるときがある。
このような日常の光景は、わたしたちの深層心理に働きかけてくる。そして無意識下で幻想と現実とが徐々に混在化していき、人々の意識は変化し、日常生活も変わっていくのである。
作者は、わたしたちが変わらないと思いこんでいる“あたりまえの日常”、そういう日常の逸脱した瞬間を捉えることにより、却ってそれは、“変化していく日常”をデフォルメした形で表現したことになるのではないかと思っている。カラー43点。
作者のプロフィール
井上 尚久(イノウエ タカヒサ)
1957年福岡県生まれ。久留米工業高等専門学校機械科卒業。江崎グリコ㈱技術開発部勤務。90年有野永霧氏に師事。現在写塾・AIM(主宰:有野永霧)理事長。
写真展に、2003年「三姉妹の夢」、06年「夢のつづき」(以上、ともに新宿ニコンサロン、大阪ニコンサロン)などがある。
上本 ひとし
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周防国景
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7/15 (木)
~7/21 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
山口県は、古代の行政区分では西側を長州国、東側を周防国に分けられていた。
作者の里である周防国は、車で2時間から3時間で回れる広さで、作者の撮影上の守備範囲といえる。
仕事の合間、カメラを助手席に、山里の奥まできれいに舗装された道を走ると見えてくるのどかな山村束荷(つかり)には、初代内閣総理大臣伊藤博文の記念館がある。また、4~5キロ内には岸信介、佐藤栄作の生誕地もある。
美しく延びる道は維新の里・長州国、萩へとつづく。モノクロ40点。
作者のプロフィール
上本 ひとし(ウエモト ヒトシ)
1953年山口県下松市生まれ。75年頃より写真を始める。76年コンテスト中心に写真活動を行う。79富士フォトコンテスト入選。81年第29回二科展入賞。受賞後10年間写真活動を中断。92年写真活動再開。第40回ニッコールフォトコンテスト(モノクロの部)入選。93年第41回ニッコールフォトコンテスト(モノクロの部)ニッコール大賞。以降10年間連続入選入賞。2001年第49回ニッコールフォトコンテスト(モノクロの部)ニッコール大賞、長岡賞受賞。以降個展にて写真活動を行う。00年第51回山口県芸術文化振興奨励賞受賞。06年第6回さがみはら新人奨励賞受賞。
写真展に、02年「恐迷夢」、04年「都私夢 カプセルホテルから見た東京」、05年「峠越え」、07年「OIL 2006」(以上、銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)などがあり、写真集に、『峠越え 2003.8.23~2005.2.28空景』(日本カメラ社)、『OIL 2006』(冬青社)がある。
児玉 洋之
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にほん霊異記
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7/22 (木)
~7/28 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
写真展内容
作者が求めているのは日常の中で覗かせる非日常の光景である。
街には奇想天外なロマンやドラマが見え隠れする。それが、いつ、どこで、どのように起こるのか、誰も予想はできないし、めったに遭遇することもない。
非日常の光景に出合うと、作者の視線はくぎづけになる。瞬間、その光景をカメラに収めたいという焦燥感にかられ、撮り終えると安堵感で心が満たされる。それはまるで子供がびっくり箱をあけた時に覚える驚きと広がりに似ている。
日本最古の仏教説話集『日本霊異記』の中に非日常の光景を垣間見るのと似たようなことが、現在の街角にも息づいているのを感じる。カラー41点。
作者のプロフィール
児玉 洋之(コダマ ヒロユキ)
1946年山口県生まれ。84年ニッコールクラブ入会。2000年写塾AIM入塾(有野永霧氏に師事)
ライアン・リブレ
鈴木 慎之介
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Portraits of Independence:
Inside the Kachin Independence Army
代謝
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7/29 (木)
~8/4 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休
Ryan Libre展
カチンの政治的リーダーは、ミャンマーの軍事政府に対して信念を持って交渉しており、その態度を見てカチンの一般市民は、勇気と誇りを持ち続けることができる。
カチンの牧師は、信仰を人々に誠実に語り、一般市民は、共に支えあいながら強く生きている。とくに学生は、カチンを平和でよりよい未来にするために強い決意と切迫感を持って学習している。
カチンのような過酷な状況にいる人々も、強さや信念、誠実さや決意、勤勉や希望を持って生きている。カラー作品。
作者のプロフィール
Ryan Libre(ライアン リブレ)
危機報道やその他の分野で The Pulitzer Center から活動の資金援助を受けているフォトジャーナリスト。アジアに住んで8年になる(主に夏は北海道、冬は東南アジアで活動)。アジアのドキュメンタリーをより深いものにするため、NGOである Documentary Arts Asiaを設立した。2009年の冬は、ミャンマーのカチン独立軍人の支配下で3ヶ月過ごし写真を撮った。
今までに『過激派裸足の僧侶たち』や『ジャングルの民主主義の孤児院』など12冊の本を出版。また、フジフィルム(札幌)、The BBC、The Pulitzer Center、ワシントンタイムズ、京都ジャーナル、バンコクポスト、グローバルポスト、Get Lost、アウトドアジャパン、The Irrawaddy などで仕事をしている。
鈴木慎之介展内容
作品は、作者の祖父を写したものである。
撮影地は祖父母の家がある福島県二本松市。作者は幼い頃からこの地を訪れ、学生の時にはカメラを持って行くことが多かった。しかし、祖父の記憶の中から作者が消えていくように思われる頃から、作者はカメラを祖父に向けることが多くなった。
初めて会う人と話すように作者と話す祖父。しかし作者は、家族以外の人には見せることのない表情をファインダー越しにみつけ、今まで見たことのない祖父の姿を写真の中にみつけると、祖父の中の作者は消えてしまったのではなく、新しい孫(作者)として、祖父の中で生まれ変わっているのではないかと思うようになった。
それはまるで“代謝”するかのようである。そう気づくと、作者は幼い頃によく訪れたこの地の風景、山や草、風、虫、日の色、季節も月の満ち欠けも、人も写真の中も“代謝”しているように思うようになった。
この写真は私的なものだが、これは作者自身のドキュメンタリーである。カラー・モノクロ作品。
作者のプロフィール
鈴木 慎之介(スズキ シンノスケ)
1981年生まれ。2005年日本大学芸術学部写真学科卒業。07年から09年8月にかけてカメラマンアシスタント。
05年銀座ペッパーズロフトギャラリー・プライベートプロジェクト4参加(展示作品「THE MIND OF CHEMERA」)、06年銀座ガーディアンガーデン・フォトドキュメンタリーNIPPON参加(展示作品「新盆」)。