上本 ひとし
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周防国景
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6/23 (水)
~7/6 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休
写真展内容
山口県は、古代の行政区分では西側を長州国、東側を周防国に分けられていた。
作者の里である周防国は、車で2時間から3時間で回れる広さで、作者の撮影上の守備範囲といえる。
仕事の合間、カメラを助手席に、山里の奥まできれいに舗装された道を走ると見えてくるのどかな山村束荷(つかり)には、初代内閣総理大臣伊藤博文の記念館がある。また、4~5キロ内には岸信介、佐藤栄作の生誕地もある。
美しく延びる道は維新の里・長州国、萩へとつづく。モノクロ40点。
作者のプロフィール
上本 ひとし(ウエモト ヒトシ)
1953年山口県下松市生まれ。75年頃より写真を始める。76年コンテスト中心に写真活動を行う。79富士フォトコンテスト入選。81年第29回二科展入賞。受賞後10年間写真活動を中断。92年写真活動再開。第40回ニッコールフォトコンテスト(モノクロの部)入選。93年第41回ニッコールフォトコンテスト(モノクロの部)ニッコール大賞。以降10年間連続入選入賞。2001年第49回ニッコールフォトコンテスト(モノクロの部)ニッコール大賞、長岡賞受賞。以降個展にて写真活動を行う。00年第51回山口県芸術文化振興奨励賞受賞。06年第6回さがみはら新人奨励賞受賞。
写真展に、02年「恐迷夢」、04年「都私夢 カプセルホテルから見た東京」、05年「峠越え」、07年「OIL 2006」(以上、銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)などがあり、写真集に、『峠越え 2003.8.23~2005.2.28空景』(日本カメラ社)、『OIL 2006』(冬青社)がある。
渡邉 博史
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Love Point
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7/7 (水)
~7/20 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休
写真展内容
「ラブ・ポイントはあなたのその空になった心を満たすために来る所なのです。」
と彼女は続けた。
「この女たちは、かつては空で音のない部屋だった所に住んでいます。」
壁の向こうで潜在意識の様にポンプが回りだすにつれ、彼女は一人ひとり女たちを指差した。
「見てごらんなさい。この人たちはあなたの子供です。孫もいます。マドンナと売春婦、浮気と失恋の相手、やさしい天使と吸血鬼もいます。みんなここに住んでいるのです。この女たちはあなたの愛人です。そして、この、この女はあなたの妻ですよ。」
クリカという名前の女が眠気をさますように眼をこすり立ち上がり、そして阿瀬の横に座った。彼女は彼の頬に、そして口にキスをした。彼女の唇は海の潮の味がした。髪は海藻の香りがした。彼女の息は海水の上の風のようだった。その目は静けさを反射していた。彼は彼女にすぐ気が付き、自分が今まで長いあいだどこにいたのかも理解した。
「迷子になってしまった船員さん、ラブ・ポイントの灯台からでる光はあなたに当たっていますよ。」
とクリカは言った。
「そして今、あなたの心はあなたが覚えてもいなかった女たちの愛情で満ちています。あなたはこれまでの人生で、愛(ラブ)に大切な意味(ポイント)を見ることはできなかったけど、やっと今あなたのコンパスは正しい方向を向いています。」モノクロ24点。
作者のプロフィール
渡邉 博史(ワタナベ ヒロシ)
北海道札幌出身。1975年日本大学芸術学部写真学科を卒業後、アメリカ、ロサンゼルスに移住、テレビコマーシャル制作の仕事につく。その後プロデューサーとしてサニーサイドアップ社を設立しコマーシャルの制作に業務する。93年UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)からMBA修士号を修得。95年頃から自分の作品としての写真を撮り始める。2000年、写真を本格的に取り組むためにプロダクション会社を廃業し、ファインアート写真家として活動を始める。以来多数の個展を行う。現在、サンホセ美術館の依頼によるプロジェクト他の活動を続けている。
〈写真集〉
「私は毎日、天使を見ている」”I See Angels Every Day” 窓社刊、“Findings” Photolucida (アメリカ)刊、「パラダイス・イデオロギー」”Ideology in Paradise” 窓社刊、“Suo Sarumawashi” photo-eye Editions, USA
〈近年の受賞歴〉
2006年Photolucida Critical Mass Book Award、07年Sagamihara Award(さがみはら写真賞)、08年Santa Fe Center Project Competition First Prize、09年Hearst 8x10 Photography Biennial
〈美術館コレクション〉
フィラデルフィア美術館、ヒューストン美術館、ジョージ・イーストマン・ハウス、サンタ・バーバラ美術館
本橋 成一
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昭和藝能東西
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7/21 (水)
~8/3 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休
写真展内容
1972年、作者は雑誌「太陽」の諸國藝能旅鞄で小沢昭一氏といっしょに仕事をする機会を得、その奥の深さを知った。それまで作者は“芸能”という定義をいわゆる古典伝統芸能から大衆芸能までごく一般的な解釈をしていた。
そしてその4年後、彼の出す季刊誌「藝能東西」でその芸能の幅の広さを学んだ。古典芸能からストリップ、そしてキャバレーまでのこの人間社会において、人を喜ばせ、楽しませ、ドキドキさせ、そしてしっかりお銭をいただく。そのために芸を磨く“芸能”はどこにでもあるのだ。だが、この世界は決して生易しい世界ではないことも知った。そして作者も少しずつ“芸能”さがしの一人旅を始めた。モノクロ約50点。
作者のプロフィール
本橋 成一(モトハシ セイイチ)
1940年東京都生まれ。63年自由学園卒業。68年「炭鉱〈ヤマ〉」で第5回太陽賞受賞。91年よりチェルノブイリ原発とその被災地ベラルーシに通い、汚染地で暮らす人々を写し撮る。95年「無限抱擁」で日本写真協会年度賞、写真の会賞を受賞。98年「ナージャの村」で第17回土門拳賞受賞。同名のドキュメンタリー映画は文化庁優秀映画作品賞を受賞したのを始め、海外でも高い評価を受ける。2作目「アレクセイと泉」で52回ベルリン国際映画祭ベルリナー新聞賞及び国際シネクラブ賞ほか受賞。2002年東京都写真美術館でチェルノブイリ三部作「ナジェージダ〈希望〉」を開催。04年ロシア国立図書館の招聘によりサンクトペテルブルグで写真展「ナジェージダ〈希望〉」を開催。09年3月、西アフリカ・セネガルの村を舞台にバオバブの樹とともに暮らす人々を描いた最新作「バオバブの記憶」を公開。同名の写真集を平凡社より発刊。
主な著書に、「サーカスの時間」(筑摩書房)、「上野駅の幕間」(現代書館)、「ふたりの画家」(晶文社)、「無限抱擁」(リトル・モア)、「ナージャの村」(平凡社)、「ナージャ希望の村」(学習研究社)、「アレクセイと泉」(小学館)、「生命の旋律」(毎日新聞社)、「イラクの小さな橋を渡って」(共著・光文社)などがある。