Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2010年5月

juna21 神田 開主
増馬 朋宏

写真 写真
真昼の夜空
記憶はまばたきの此方
4/29 (木) ~5/5 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

神田 開主展

作者は群馬県の静かな街で育って来た。そこは発展というものからはほど遠い地であった。しかし平凡な町ではあったが不自由を感じることはなく、作者はこの地が好きであった。
十代半ばだった作者が一番心魅かれたモノが夜の散歩だった。人気は皆無に等しく、電灯も少ない真っ暗な夜は、夢遊病の如く彷徨う自分にとって心地よい空間であった。それを続けるうちに真冬の満月と出くわす季節が来て、世界を染め上げる真っ白な光は夜というコトを忘れさせるくらい煌々と降り注ぎ、少年の心を揺れ動かした。
時は流れ、東京に出てきた作者は写真と出会うことになる。慣れない日々に疲れ、実家に帰るたびにまた夜の散歩を始めるようになっていた。前回の散歩との決定的な違いは、作者がカメラを手にしていたことだろう。
作者の魅了された真っ白の満月、その満月が青白く染め上げた世界をカメラが吐き出し、写し出すのはこれまでにない「新しい世界」だった。カラー。

作者のプロフィール

神田 開主(カンダ アキカミ)
1986年埼玉県生まれ。2009年日本写真芸術専門学校卒業。現在同校研究科在学中。

増馬 朋宏展

「そこにある現実を切り取りとどめておく」という写真を撮る行為は、過去を積み重ねていくという点で、人の記憶のそれと似ていると作者は思う。
一度訪れたことのある場所へゆくと、その場の変貌に驚き、以前を懐かしむことがある。連続し、安定した中にいるとなかなか気づかないが、日々は絶えず変化している。
作者は写真を撮るようになって、今をいとおしく想うようになっている。今はごくわずかな夢のような一瞬で、すぐそばから過去になり、やがては幻のように失われてしまうと感じるようになったからかもしれない。
本当に今はこの一瞬しかない。
いつの日か、両手で抱えきれなくなるくらいいっぱいになる時がくるまで、この出逢いをずっと憶えておきたい。
モノクロ。

作者のプロフィール

増馬 朋宏(マスマ トモヒロ)
1973年熊本生まれ。写真家高井哲朗氏に師事。現在写真表現中村教室在籍。

juna21 角田 奈々
君島 佳弘

写真
母 57歳
カリユガの陽射し~Small villages of The North India~
5/6 (木) ~5/12 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

角田 奈々展

作者が家に帰ると、母は坊主になっていた。食品会社のパートとして働いている母は、髪の毛が入っていたことにクレームを受け、かっとなって坊主にしたということだった。
一時的な感情で行動を起こす母は、何を考えているのだろうと思い、作者は写真を撮り始めた。妻として、母として、女性としての生き様を見つめていると、母のようになりたくないという思いが湧き上がってきた。そして、自立したいと思う反面、母から離れられないという気持ちとの狭間のなかで、苛立ち、葛藤していた。
また、母と向き合っているうちに、作者は自分と向き合っているという感覚に陥り、母に対する思い、自分に対する感情が交錯し、混沌としていった。
作者にとって母は一番近い人物であり、当たり前だが、すでに作者が生れる前からひとりの人間として存在していた。作者は、自分が存在していることを考えると、時折そのつながりの密度に畏怖をおぼえる。
日々少しずつ変化していく心を残すことで、作者はその奥にあるものを見つめていきたいと思っている。カラー。

作者のプロフィール

角田 奈々(カクダ ナナ)
1986年生まれ。九州産業大学卒業。現在同大学大学院芸術研究科写真専攻(1年)在学中。
写真展「狭間」(個展)を、2008年11月、09年3月・9月にアジアフォトグラファーズギャラリーで開催し、グループ展に日韓写真学科卒業生選抜展、AQAプロジェクトによるアジア現代美術展「ただいま」などがある。

君島佳弘展

展示する作品は、インド北部にある地域村落において、その風土と、そこに暮らす人々の営みを対象に撮影したものである。
作者は、国という概念を超越する多様な文化をもつ北インドの大地に魅了され、何度も足を運ぶようになった。チベット文化圏となるジャンムー&カシミール州のラダック高地に、ガンジス河の流域に広がるウッタルプラデシュ州の青々とした田園地帯。そして、パキスタンへと続く荒涼とした砂地、ラージャスタン州タール砂漠の村々。撮影を行った地域は、地勢により主にそれら3つの地域に分けることができるが、全ての場所において、その風土に準じた人と大地との呼応を感じることができた。土地や伝統との繋がりや希薄な社会に生きる作者にとって、彼らの日常は神秘に近いものであり、その姿は、植物の根のような力強さを感じさせた。
本展では、北インドの様々な風土とそこに生きる人々の生活が伝わるように、人々の風貌をとらえたポートレートを軸に、風景写真を組み、風土の異なる3つの地域ごとに分けて展示する。モノクロ。

作者のプロフィール

君島 佳宏(キミジマ ヨシヒロ)
1987年栃木県生まれ。2009年日本写真芸術専門学校研究科修了。

柴田 れいこ

写真
Sakura さくら 日本人と結婚した外国人女性たち
5/13 (木) ~5/19 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

作品は、日本人男性と国際結婚して、日本人社会の中でたくましく前向きに暮らす全国の外国人女性のポートレートである。
作者は彼女たちの姿を多くの人に伝えたいと思い、日本各地に暮らしている彼女たちを取材した。撮影にあたっては、彼女たちが暮らす街の風景を背景に、できる限り彼女たち母国の民族衣装やその国のイメージが現れるようなコスチュームを身につけてもらった。民族衣装は彼女たちの生まれ育った文化的背景を伝えるものであり、その鮮やかな美しさはとても魅力的だからである。
作者が彼女たちを伝えたいと思ったのは、自分が2001年に半年間アメリカで暮らした経験からである。まずぶつかったのは言葉の壁、そして文化や習慣の違いによる戸惑いであった。さまざまな偏見もあった。
異国で、外国人として暮らしたこの体験から、作者は日本人社会の中に生きる彼女たちの姿に重なる思いがある。日本人家族の一員となり、母となって異文化の中で暮らしていくことは、とても大変なことである。
作者は、彼女たちがさまざまな困難を乗り越えて地域の中に溶け込み、日本の地に根付いて、美しい花を咲かせてほしいと願っている。カラー40点。

作者のプロフィール

柴田 れいこ(シバタ レイコ)
1948年岡山県生まれ。2005年大阪芸術大学写真学科卒業。
写真展に、05年「天女の羽衣」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、09年同(ギャラリー・トムテの森/岡山)などがある。

オサム・ジェームス・中川

写真
BANTA:沁みついた記憶
5/20 (木) ~5/26 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

沖縄では、海面まで数十メートルにおよぶ壮大な断崖のことを「バンタ」と言う。
作者は、初めてこれらの断崖の上に立った時からずっと、あの鮮烈な思いを忘れることができない。目の前に広がる果てしない海と空の青と、畏怖を感じさせる絶壁。歴史に増幅された美の記憶である。
絶壁を下まで降りて断崖を見上げた時、その奥底に潜む何か強いものに襲われた。得体の知れぬ力強さに圧倒された作者は、しばらくシャッターを押すことができず、その場に立ち尽くした。
表面に滲み出た陰影、えぐり取られ、石灰岩がむき出しになった白い岩肌と、黒く焼け焦げた洞窟。それらは、崖が目撃してきたもの全てを赤裸々に物語っている。
6カ月間にわたる探索と撮影の後、作者は撮りためた数千枚におよぶ画像フィルムを繋ぎ合わせるためにスタジオに戻った。デジタル画像を再び加工するなかで、崖は沖縄の歴史のメタファーとなり、あの美と畏れの狭間に立った作者の体験は、ハイパーリアルな写真を創り出した。
本展「BANTA」シリーズの個展は、昨年6月、日本国内で初めて沖縄佐喜眞美術館にて発表され、作品(ピグメントインクジェット出力)は、昨年度ニューヨーク・メトロポリタン美術館、ヒューストン美術館、カンサスシティー・ネルソン・アトキンズ美術館に収蔵された。カラー21点。

作者のプロフィール

オサム・ジェームス・中川(オサム ジェームス ナカガワ)
1962年ニューヨーク生まれ。生後7カ月で両親とともに日本に帰国し、15歳まで東京で育つ。その後テキサス州ヒューストンに移住し、高校、大学を卒業後、ヒューストン大学芸術学部にて修士号を取得。現在はアメリカ、インディアナ大学芸術学部写真学科長、准教授として教鞭を執っている。現在、ニューヨーク・グッゲンハイム財団からのフェローシップを受けて沖縄に滞在し、さらなる制作活動を行っている。
主な写真展(個展)は、セピア・ギャラリー(ニューヨーク)、マックマートレイ・ギャラリー(ヒューストン)、ヒューストン写真センターなどで行われ、出展された主なグループ展(会場含む)は、ノールデリッヒ・フォトフェスティバル(オランダ)、国際フォトターゲ(ドイツ)、コーコラン美術館(ワシントンD.C.)、クエンカ・ビエンナーレ(エクアドル)、東京都写真美術館などがある。
また、作品はジョージ・イーストマン・ハウス、ヒューストン美術館、クライスラー美術館、東京都写真美術館、シカゴ現代写真美術館、沖縄佐喜眞美術館などに永久収蔵されている。

大阪写真月間2010

写真家150人の一坪展
5/27 (木) ~6/2 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

写真文化の発展と普及に寄与することを目的に、毎年6月1日の「写真の日」を中心とした期間に東京と大阪で開催されるのが「写真月間」である。
「大阪写真月間」は2000年の暮れに「東京写真月間」(日本写真協会主催)の呼びかけに応じてスタートし、02年6月に初めて「大阪写真月間2002」を開催した。
今年の「大阪写真月間2010」は9年目となり、本年も大阪市内のギャラリー5カ所を使い、写真家約150人が一人一坪(1.8m四方)を使って展示する「写真家150人の一坪展」と、一般の写真愛好家1000人が1人1枚を展示する「私のこの一枚・1000人の写真展」の二つの写真展のほか、高校生による「ハイスクールフォトアワード」、「小学生のための写真教室」や写真集について考える記念シンポジウムなどを併催する。
メインイベントである本展の特色は、写真を表現手段として作品を制作している人なら、作品内容や方法はもちろんのこと、年齢、性別、国籍、職業などに関係なく参加できるところにある。また、展示するギャラリーや壁面の場所も抽選で決定するので、いっさいの審査や選別は行わない。写真展にポリシーやテーマを求める人は、この何でもありの写真展に「展としてのポリシーがない」という異論を唱えることもあるが、80歳を超える超ベテラン作品の横に、孫のような18歳がはじけるような写真を並べる、そんなお好み焼き的「ごちゃ混ぜ感」が本展の魅力である。
この「写真家150人の一坪展」では、観客は内容も方法も異なる150の写真表現作品に出会うことになり、150の個性の中に、きっと気に入る作品があるはずである。その中からニコンサロンでは28名の作家が自信作を展示する。

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