Nikon Imaging
Japan
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大阪ニコンサロン 2010年4月

JOSEPH MAIDA

DREAM FACTORY
4/1 (木) ~4/7 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

日米友好基金、日米芸術家交換プログラムの招待により2007年に始まった‘ドリームファクトリー’で、作者は消費者社会の長所と短所について複数の国の調査に基づいて考察を推し進めている。
2005年に京都を初めて訪れたおり、アメリカの商品に良く似たミニチュアの玩具(ガシャポン)を見つけた。この発見で彼は日本の歴史と米国との関係に刺激され魅力を感じた。
2年後再来日した時3回も滞在を延長し、西洋のシンボルたるものの強い存在感を理解しようとした。たとえば彼の撮影したミニチュアの小さなラベルの写真からは、名実共にうわべだけのアメリカ製と、それを忠実に取り入れた精巧な日本製の紹介がなされている。‘ドリームファクトリー’は日本古来の歴史と価値観があるにもかかわらず、他の国に影響され人々が雑多に取り込んでいる事実を示している。
一連のこれらの写真は150年の長きにわたって日本に根付いたいくつもの外国文化に対して見せかけではなく隠された感情を追求している。
日本の西洋化の中心に位置したのは、女性ベビーブーマーたちである。彼女たちは母親、先生、職人、芸術家、厳しい目を持った消費者として国を担ってきた。
そして彼女たちは、‘ドリームファクトリー’において、歴史という大きな渦の中で生まれ落ち、その後与えられた使命においてそれぞれ中心的な役割を果たしている。
「もののあわれ」は江戸時代にあった感情(=あわれ)と物(=もの)の理念を共有し、共感するという考えだが、作者の作品への取り組みにも表れている。
「もののあわれ」はこれらの女性の‘ものへのしみじみした情感や気持ち’を示し、この感情は現在においても特別である。
作者は、現在日本の作品、つまりは女性ベビーブーマーやその親世代の作品と共に、消費者の希望や嘆きに焦点を当てるだけでなく物的欲求を満たしたあと何を求めるかという疑問を投げかけている。
‘ドリームファクトリー’の写真は日本に関する写真には違いないが、すべての消費文化の中で人々を繋いでいる現代の現状も写している。日本、アメリカまたは他のどの国の資本主義国で撮られたにせよ、作者のイメージは人々が作り出した物、消費したもの、記憶に残るもの、破棄したものや、これらの行為が起こった場所に焦点が置かれている。つまりは、彼の写真は人々の判断の積み重ねを形にして写したものであり、社会の現実とこれからの未来を暗示したものでもある。
なお、本展は作者が日本で行う最初の個展である。
カラー32点。

作者のプロフィール

JOSEPH MAIDA(ジョセフ マイダ)
1977年生まれ。米国ペンシルベニア州フィラデルフィアで育つ。99年コロンビア大学において建築および美術史を優秀な成績で卒業し、2001年エール大学で美術の修士号を受ける。02年よりSchool of Visual Arts(ニューヨーク)の写真科(大学生の部)の常勤講師であり、05年よりNew School of Designの教区牧師の一員として非常勤講師を務めている。04年写真地区ニュースで有名な「PDN30」のトップカメラマン30人の一人に選ばれ、07年日米友好基金・全国芸術基金(JUSFC/NEA)からクリエイティブアーティスト会員として、日本での活動を認められた。現在ニューヨーク在住。
写真展に、Wallspace Gallery(ニューヨーク)での2度の個展のほか、クィーン美術館、ブロンクス博物館(以上ニューヨーク)、フィラデルフィア総合美術館(フィラデルフィア)、Bucketrider Gallery(シカゴ)や、Kusthalle Wien(ウィーン)、Museo Nacional Centro de Arte Reina Sofia(マドリード)、the Witte de With(ロッテルダム)、Institute Pro Arte(サンクトペテルブルグ)など米国やヨーロッパでのグループ展がある。
また、作品は「The New York Times Magazine」「Newsweek」「W, The London Telegraph Sunday Magazine」などに掲載されている。

森川 潔

beyond the recollection:記憶の向こうに
4/8 (木) ~4/14 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

記憶とは曖昧なものごとの集積物でこれといって確証のないようなものなのではないだろうか。人は体を動かしながら経験したことは意外と覚えているという。それは痛みや喜び悲しみといった感情の起伏が深く脳の襞に刷り込まれて行くのと同時に肉体的な刺激が逆引きインデックスのように添えられるためだからだそうだ。
これらの写真は、作者が幾度も訪れたフランスとその周辺の国々を撮影したものである。ブラブラと散歩がてらに目につくものすべてを撮ったという。
渡欧するたび、何の目的もなく撮影されたフィルムは、いつの間にか山となり曖昧な記憶の集積物となった。ライトボックスの上で次々とコマを観察する行為は、まるで自分自身の記憶を辿る旅に酷似しているように思えてならない。中には、まったく記憶を呼び起こさないもの、逆に胸がキュンとなるほど強い思いが立ち上がってくるものなどが混在している。古いものは既に20年以上の年月が経ち、もうそこには存在していないかもしれない。
作者は、これらをプリントに仕上げながら写真というメディアの特性である記録することの問題を改めて考えてみようと思っている。モノクロ48点。

作者のプロフィール

森川 潔(モリカワ キヨシ)
1959年大阪生まれ。93年シカゴ美術大学修士課程修了(絵画、写真)。93~96年同大学、およびコロンビア大学シカゴ校講師。96~2000年デザイン会社設立(カリフォルニア州ロサンジェルス)。01年帰国。02年より大阪芸術大学写真学科准教授。
シカゴ美術大学大学院修了後、写真家ケン・ジョセフソン、バーバラ・クレーン、ロバート・ハイネケン等に師事。
アメリカ、韓国、日本、その他国内外にて個展、グループ展多数開催しており、著書に「新世代写真術―世界を拓くフォトグラファー」(フィルムアート社)などがある。
パブリックコレクション:
The Museum of the Art Institute of Chicago, Photography Collection.
Schneider Bluhm & Loeb Gallery, Chicago, illinois.
Fine Arts of Ancient Lands Gallery, New York, New York.
他、プライベートコレクションなど

juna21 Juna21 10周年記念展

クロッシング・カオス1999-2009
4/15 (木) ~4/21 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

Juna 21は銀座ニコンサロン開設30周年を記念し、35歳までの若い写真家を対象に、より自由な発想と可能性を持つ写真作品を公募し、新たな写真の地平を切り開くことを目的として1998年4月に創設された写真展です。
これまで数多くの若手写真家に個展の機会を提供するとともに1999年にはJuna 21の年間を通した最優秀作品に対し三木淳賞を設立、その応募者の励みとしてきました(2003年からは三木淳賞奨励賞を設立、優秀作品の顕彰もおこなっています)。
本展覧会は、10回目を迎えた三木淳賞及び三木淳賞奨励賞の歴代の受賞者のなかから、現在も精力的に活動を継続している写真家11人を選出し、彼らの新作により日本の新しい写真表現にフォーカスをあてようとするものです。
「クロッシング・カオス」というタイトルは、ここ10年あまりの混沌とし、流動的な日本の時代状況を渡り歩き、写真の新次元を開こうとする若い写真家たちの基本的な身振りを指し示す言葉として使っています。
それぞれの写真家たちの表現スタイルや志向は大きく異なっていますが、敏感でデリケートな感性を駆使し、世界に柔らかく向き合い、その手触りを生き生きと微細にとらえようとする姿勢はこの時代に特有な眼差しと言えるかもしれません。
現代日本に生起する大きなうねりに独自の視点から光を注ぎ、そこを原点に身を起こそうとする彼らの写真の営みは、次の時代の大いなる予兆を秘めて特別な輝きを発しています。
Juna 21の10年間にわたる最良の成果を、ぜひこの機会にじっくりご覧いただければと思います。

須田 一政

常景(じょうけい)
4/22 (木) ~4/28 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

写真展内容

人の脳は見るものを無意識に取捨選択しているという。カメラを持って歩くということは、通常は捨てられているだろう光景を拾い集めようとすることだと作者は思う。
その拾い集めた断片に、幼年の頃を思い起こさせる風景もあれば、偶然が織りなす奇異な瞬間もある。面白いのは、どう考えても理由付けのできない、たとえばタイルの目地のごときモノが記憶に焼きついたりすることも少なくないという事実である。
たぶんこれは視覚のみならず、五感すべてにおいて言えることだろう。そしてそのセンサーは、人によって微妙に異なった働きをしているに違いない。その意味では、日常とは万人が共有しているようで、実は個々に断絶した世界を言うのかもしれない。
本展のタイトル「常景」は、日常の光景という意味の作者の造語である。作者は、一つの視線を一つの作品とすることで、変哲のない存在の深さを考察してみたいと思っている。カラー45点・モノクロ10点

作者のプロフィール

須田 一政(スダ イッセイ)
1940年東京生まれ。東京綜合写真専門学校卒業。演劇実験室「天井桟敷」(寺山修司主宰)専属カメラマンを経てフリーランスとなる。76年「風姿花伝」により日本写真協会年度賞受賞。85年「日常の断片」等により東川賞国内作家賞受賞。97年「人間の記憶」により土門拳賞受賞。現在大阪芸術大学写真学科教授。日本写真家協会会員。写真ワークショップ須田塾主宰。

juna21 神田 開主
増馬 朋宏

真昼の夜空
記憶はまばたきの此方
4/29 (木) ~5/5 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休

神田 開主展

作者は群馬県の静かな街で育って来た。そこは発展というものからはほど遠い地であった。しかし平凡な町ではあったが不自由を感じることはなく、作者はこの地が好きであった。
十代半ばだった作者が一番心魅かれたモノが夜の散歩だった。人気は皆無に等しく、電灯も少ない真っ暗な夜は、夢遊病の如く彷徨う自分にとって心地よい空間であった。それを続けるうちに真冬の満月と出くわす季節が来て、世界を染め上げる真っ白な光は夜というコトを忘れさせるくらい煌々と降り注ぎ、少年の心を揺れ動かした。
時は流れ、東京に出てきた作者は写真と出会うことになる。慣れない日々に疲れ、実家に帰るたびにまた夜の散歩を始めるようになっていた。前回の散歩との決定的な違いは、作者がカメラを手にしていたことだろう。
作者の魅了された真っ白の満月、その満月が青白く染め上げた世界をカメラが吐き出し、写し出すのはこれまでにない「新しい世界」だった。カラー。

作者のプロフィール

神田 開主(カンダ アキカミ)
1986年埼玉県生まれ。2009年日本写真芸術専門学校卒業。現在同校研究科在学中。

増馬 朋宏展

「そこにある現実を切り取りとどめておく」という写真を撮る行為は、過去を積み重ねていくという点で、人の記憶のそれと似ていると作者は思う。
一度訪れたことのある場所へゆくと、その場の変貌に驚き、以前を懐かしむことがある。連続し、安定した中にいるとなかなか気づかないが、日々は絶えず変化している。
作者は写真を撮るようになって、今をいとおしく想うようになっている。今はごくわずかな夢のような一瞬で、すぐそばから過去になり、やがては幻のように失われてしまうと感じるようになったからかもしれない。
本当に今はこの一瞬しかない。
いつの日か、両手で抱えきれなくなるくらいいっぱいになる時がくるまで、この出逢いをずっと憶えておきたい。
モノクロ。

作者のプロフィール

増馬 朋宏(マスマ トモヒロ)
1973年熊本生まれ。写真家高井哲朗氏に師事。現在写真表現中村教室在籍。

ニコンイメージングプレミアム会員
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