2009年11月 |
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青島 千恵子展 |
11/5 (木)~11/11 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<写真展内容> 作者はここ十年余り、日本、台湾、タイ、インドとアジアの国々を巡り、その地に暮らす人々の日常の、市街に展開する「私」と「公」とが交差する領域を撮ってきた。 アジアでは、南下するにつれて、台湾、タイ、インドとその空間は混沌化する光景が頻繁に見られた。 今回作者は、一転して西洋文明発祥の地、イタリアのローマを訪れることにした。アジアと異なる文化、宗教、風俗、習慣を持つヨーロッパでは、いかなる空間が写ってくるだろうか。 偉大な歴史、宗教に生き、生かされているローマ。そして多くの優れた文化を生み出してきたローマ。石の文化の都市空間からも、長い時間の残渣が、「私」と「公」の狭間にきらめいていることを確認できたという。モノクロ48点。 |
<作者のプロフィール> 青島 千恵子(アオシマ チエコ) 静岡県生まれ。1998年アサヒカメラ月例モノクロプリントの部1位入賞。2008年第14回土門拳文化賞奨励賞受賞。 写真展に、94年「夢歳々」(コンタックスサロン銀座/東京・クリエイト浜松/静岡)、2000年「光る音」、03年「光る音II―台湾」(以上銀座ニコンサロン)、04年「光る音」(Galerie Satellite 2)、05年「光る音III―Thailand」(銀座ニコンサロン・大阪ニコンサロン)、07年「光る音IV―インド デリー」(新宿ニコンサロン・大阪ニコンサロン)などがあり、05年に写真集「光る音」(冬青社刊)を出版している。 |
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小林 のりお展 |
11/12 (木)~11/25 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<写真展内容> 2006年より09年まで、標題の「アウト・オブ・アガルタ」のテーマに基づいて撮影したカラー作品35点を展示する。 風景や事物の背後に見え隠れする不可視の領域を、ユートピア伝説「アガルタ」に重ねながら、デジタル時代における写真の新しい地点を目指して撮り進めてきたシリーズである。 撮影地は、東京郊外をはじめ、日本各地。作品はすべてニコンのデジタル一眼(D200、D3)を使用して撮影したものである。 |
<作者のプロフィール> 小林 のりお(コバヤシ ノリオ) 1952年秋田県大館市生まれ。日本歯科大学歯学部中退。東京綜合写真専門学校研究科卒。87年、写真集『LANDSCAPES』にて日本写真協会新人賞、93年、写真集「FIRST LIGHT」にて木村伊兵衛賞を受賞。現在武蔵野美術大学映像学科教授。写真家。 写真展に、2000年「Digital Kitchen」(銀座ニコンサロン)、02年「サイト」(東京国立近代美術館、ほか多数)のほか、個展、グループ展を、75年から現在まで国内、海外で多数開催している。 ・パブリックコレクション:東京都写真美術館、川崎市市民ミュージアム、京都国立近代美術館、アリゾナ州立大学付属写真美術館、他多数。 |
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石川 幸史展 幸田 大地展 |
11/26 (木)~12/2 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 11/28 (土) 14:00~ ポートフォリオレビュー開催 |
<石川 幸史展> カメラを手にいくつもの国境を越えてみたが、どこまでいっても目の前に広がっていたのは、厚みを欠き、均質的にならされた書割のような滑稽な光景ばかりだった。 どうやら社会のあらゆるものが、今や写真的であることを超えて広告的であり、写真や社会の解体や破壊を希求しつつ、その外部へと超越的に振る舞うことが、自閉的な内在の問題にすぎないと自明となったのが今日的な地平であるようだ。そしてこうした振る舞いが、結果的に社会の枠組みをますます制度的に増幅していくのであり、それが我々が長らく直面している困難さの一つでもあるだろう。 ならば今日において写真を撮り、他者へと提示するときに、どのように振る舞うことが可能なのか? あるいは、その問いさえも広告的で不毛な戯言にすぎないのか? 社会も、写真を取り巻く様々な状況も、誰かが作ったインチキでデタラメな装置だと知りつつ、あえてインチキな装置に加担し、とはいえ信じ込むことはせず、このインチキを疑い続けてみること。 対象への「没入」ではなく、「距離化されたイメージ」と「イメージ化された距離」とを、ここでは諧謔的にただ提示してみたい。カラー作品。 |
<作者のプロフィール> 石川 幸史(イシカワ コウジ) 1978年愛媛県生まれ。2001年愛媛大学教育学部情報文化課程卒業。05年東京綜合写真専門学校第II学科卒業。写真展に、07年「Dead locked」(ギャラリー ニエプス)などがある。 |
<幸田 大地展> 順調な経済成長の中、発展を続けるインド。しかし、そうした発展から切り離され、時代に取り残され続ける人たちがいる。カースト制度の中で穢らわしい存在とされ、抑圧・差別の対象であり続けてきた不可触民の人々である。 彼らは自らを「抑圧されし者」と言う意味を込め、Dalit(ダリット)と呼ぶ。 カースト制自体が憲法で禁止されている中、それでもインドの人々の生活にはカーストが深く浸透し、現在も事実上はカーストによって事柄が様々に左右される。そうしたシステムの上に成り立っているのがインドという国そのものなのかもしれない。そしてダリットは常にそのシステムの下敷きとなり、苦しみ続けてきた。 作者が彼らと対峙した時、そうした状況を受け入れて生きていかなくてはいけない彼らの運命が、あまりにも残酷であるということを感じないわけにはいかなかった。 本展では、作者が『不可触』というアイデンティティーを抱え、困難な状況の中を生きるダリットの人々の姿を追いかけ、差別という現実が何なのかを表現しようとしている。モノクロ作品。 |
<作者のプロフィール> 幸田 大地(コウダ ダイチ) 1983年生まれ。20歳で写真を始める。写真展に2006年「Living in the conflict Israel/Palestine」(コニカミノルタフォトプレミオ)などがある。 |