2009年10月 |
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倉谷 卓展 岩瀬 菜美展 |
10/1 (木)~10/7 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<倉谷 卓展> 被写体は昭和20~40年代に建てられた団地の庭で、中でも、長い間大がかりな整備が行われていないようなところを選んでいる。 そこにはかつて暮らした(または今も暮らしている)人々の痕跡が様々な形で澱のように堆積している。 主たちの面影を感じさせるような、思い思いに設置された人工物、打ち捨てられたガラクタ、それらを覆いつくすように繁茂する多種多様な植物たち。作者はその一つ一つに意識を潜り込ませ、それらが現状に至るまでの物語を想像する。通り過ぎた人々、時間、出来事に思いを馳せる。 もちろんそれは勝手な妄想に過ぎないが、かつてここで流れた時間と今ここでカメラを向けている作者の時間がひとつながりである事を確かめる行為は、今という悲観的な気分になりがちな時代にあるわれわれの「生」が、連綿と続く膨大な過去の時間といのちを背景にして成り立っている証明である。 強い光が過ぎ去った薄明の時、暗闇が視界を奪ってしまう前に作者は自分の立ち位置を、踏みしめてきたものを、確かめるためにシャッターを切った。カラー。 |
<作者のプロフィール> 倉谷 卓(クラヤ タカシ) 1984年山形県生まれ。2005年日本写真芸術専門学校写真芸術科卒業。06年同校写真研究科中退。07年コニカミノルタフォトプレミオ2007入選。08年同特別賞受賞。 写真展(個展)に、07年「淵」(コニカミノルタプラザ)がり、(グループ展)に08年フォトプレミオ年度賞受賞写真展(コニカミノルタプラザ)がある。 |
<岩瀬 菜美展> 作者は、ありのままの姿を撮りたい、その人の人生を写したいと撮り始めた頃は思い込んで撮っていたが、最近は何か違和感というか、すれ違いのようなものを感じるという。 街の中や知り合いの女性に声をかけて自宅へ訪ね、撮影し、ひとり1枚の肖像を作った。写りこんでいる彼女たちは「あるがままの姿」というより、作者自身に似ている、いや、似させているのかもしれない。つまり一種のセルフポートレート、合わせ鏡のようだ。撮る方、撮られる方の視線の先に、お互いの存在を確認し、記録する。 誰でもいいわけではない。作者はどこか翳りのある、小さな悲鳴を抱え込んでいるような女の人に惹かれる。部屋の中でふたり向き合って撮っていると、何かが見えたり隠れたりする。 作者は、彼女たちと自分の中の共有し溶け合った揺らぎや翳りのようなものが一瞬でも写っていたらいいと思う。 作者は、自分という不可解で未知なものへ向かって、これからも求め、撮り続けていきたいと思っている。モノクロ。 |
<作者のプロフィール> 岩瀬 菜美(イワセ ナミ) 1980年埼玉県生まれ。 写真展に、2005年「夜の中へ」(PLACE M)、07年「夜の声」(新宿ニコンサロン)などがある。 |
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ニコンフォトコンテストインターナショナル2008-2009入賞作品展 |
10/8 (木)~10/21 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<写真展内容> ニコン フォトコンテスト インターナショナルは、「世界中の写真愛好家が、プロフェッショナルとアマチュアの枠を越えて交流できる場を提供し、写真文化の発展に貢献すること」を目的に、株式会社ニコン(社長:苅谷道郎)が1969年から開催している、歴史ある世界最大規模の国際写真コンテストで、近年は隔年に開催しています。 32回目を迎える今回は、ニコン映像カンパニーのブランドステートメントでもある“At the heart of the image(アット ザ ハート オブ ジ イメージ)”をテーマに、2008年9月~11月の3カ月間、「自由題目」と「My Planet」の2部門にて、郵送またはインターネット経由で世界中から作品を募りました。応募作品は、過去最高の153の国と地域から前回を上回る51,000点の作品が寄せられました。 「自由題目」では、テーマや題材に一切の規定を設けず、心に感じたままを自由に表現した作品を広く募集し、「My Planet」では、地球環境から身近な風景、愛する人やモノまで、撮影者の心の内にあるPlanetをテーマに表現した作品を募りました。 なお今回は、写真用レンズ「NIKKOR(ニッコール)」発売75周年を記念し、「NIKKOR 75th 記念賞」を新たに創設しました。また、若い世代の写真愛好家を応援するという趣旨のもとに設けた「ヤングフォトグラファー賞」(29歳以下の応募者対象・若いエネルギーや新しい視点が感じられた作品)には、前回同様4作品が選出されました。 本展では、地域や民族の枠を越えて選出された入賞作品52点(グランプリ1作品、NIKKOR 75th 記念賞1作品、「自由題目」部門16作品、「My Planet」部門14作品、「ヤングフォトグラファー賞」4作品、同次点16作品)を紹介します。いずれも独自のスタイルをもつ魅力的な作品であると同時に、撮影者のさまざまな想いが作品に凝縮されており、社会的な側面や人間の本質をとらえた作品が多く見られます。 ■グランプリ 「Cave Of Hope」 Maung Maung Gyi(ミャンマー) ■NIKKOR 75th 記念賞 「At the heart of the kaszuby forest」 Kacper Kowalski(ポーランド) ■「自由題目部門」 第1位 「Quarrel」 Zsolt Kudich(ハンガリー) ■「My Planet」部門 第1位 「Friends」 Peter Allinson(アメリカ) ■ヤングフォトグラファー賞 「Flow of Life」 Elena Chernyshova(ロシア) 「Ganges Bather」 Danny Ghitis(アメリカ) 「AMEN2」 Aydin Berk Bilgin(トルコ) 「みんなで考えよう。」 Yuta Kawai(川合悠太・日本)
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全日本写真連盟展 |
10/22 (木)~10/28 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<写真展内容> 37回目を迎えた「全日本写真展 2009」のテーマは、身のまわりの暮らしや風俗、人間の営み、政治経済に至るまで、“あなたのセンスで現代を切り撮ろう”である。 展示する作品には、変貌する都市、生活様式が変わる農村、昔ながらの暮らしなど、全日本写真連盟の会員をはじめとする全国のアマチュアカメラマンが、足で歩いて捜し出した“現代のひとこま”が写し出されている。 |
<団体のプロフィール> 全日本写真連盟は1926年(大正15年)に創設され、朝日新聞社が後援する全国的な組織で、現在約2万人の会員を擁する写真愛好家の団体である。 |
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第15回酒田市土門拳文化賞受賞作品展 姫崎 由美展 |
10/29 (木)~11/4 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<写真展内容> 作者は普段、知的障害者と呼ばれる人たちと接することを仕事としており、彼らの人として優れた面に触れる機会に恵まれ、たくさんのことを学ばせてもらっているという。 彼らがそこにいるだけで、この生きにくい社会の中に確実にゆるやかな空気を生み出している。もちろん健常者たちと同じ現代社会に生きているので、そばにいればお互いの感情に行き違いが生じることもあるが、誰かが、その人たちのことをいつも心のどこかで気にかけ、思いやるというコミュニティが、彼らを中心にして形成されていることは確かだ。また、「gifted」―天から与えられたのではないかと思えるような自然の姿を見ていると、その存在自体に価値があるように思えるという。 作者は「会えてよかった!」と思える瞬間を、何年間かかけてシャッターを切り続け、今回のポートレート写真にまとめた。 彼らと向き合い、その存在を見つめることで、誰もがのびやかに生きていける社会を探る手立てが得られるのではないだろうかと、作者は思っている。 モノクロ40点。 |
<作者のプロフィール> 姫崎 由美(ヒメサキ ユミ) 1967年岡山県倉敷市出身。90年より松本路子の写真ワークショップ「エムズ・ワークショップ」に参加。97年12月よりNPO法人ぱれっとの運営する知的障害者のグループホーム「えびす・ぱれっとホーム」の職員となり、現在に至る。 写真展に、97年「愛しのオストレル」(東京写真文化館)、98年「君といた時間~牧場の詩」(The Third Gallery Aya/大阪)、2008年「gifted―誰かが誰かを思うこと―」(ギャラリーかれん/神奈川、カフェ・パーチェ/東京)、2009年土門拳文化賞受賞作品展「gifted ―誰かが誰かを思うこと―」(土門拳記念館/山形県酒田市)などがある。 |