2009年8月 |
|
伊津見 総一郎展 渡辺 友規展 |
8/6 (木)~8/12 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<伊津見 総一郎展> 作者は1930年に生まれた祖母の幼い頃の話を発端に、1945年に終結した太平洋戦争、そしてその後の生活について固有の人々の撮影をはじめた。 人々から出て来る言葉は途切れ途切れで、記憶の中の言葉や風景は断片的であった。半世紀以上前のそこが、かつてこうだったという話は知ることのない世界で、生まれた土地、年齢など整理できない無数の境遇が一人の人間性を構成していた。そして、普段、視界に入ってくる風景には無名の個人の歴史が内在していた。 50年前、100年前の道、山、建物等の姿は当然、残っていない。そこにあったはずの木や田畑はなくなり、土地の所有者と共に変化をかさね、私たちの生活に溶け込んでいる。それは長い月日のなかで揺れる人の記憶や、それに対する想いと共通するものがある。経過した時間の中に人々の確かな居場所が存在する。 遠い昔の痕跡は地域によって異なるが、同じ地平上のものである。それらは無関係に見える対岸で波紋が生じ、既存のイメージを超えた場所で不規則につながっていく。 作者は、対峙した人々の風景、そこから浮き上がる過去から未来をもっと知りたいと思い、自分の中の空白を埋めるように写真を撮った。 |
<作者のプロフィール> 伊津見 総一郎(イヅミ ソウイチロウ) 1985年福岡県生まれ。現在九州産業大学大学院芸術研究科写真専攻在学中。 写真展(個展)に、2006年「人間列車」(新宿ニコンサロン)、「路上という現実 Salvador・Brazil」、07年「人間列車II」、「人間列車III」、08年「人間列車IV」、「讃歌」、09年「いつか、前夜」(以上 Asia Photographer’s Gallery/福岡)があり、グループ展に、07年「社会標本」(Gallery On/韓国・ソウル)、08年「消滅の技法(アート)」(アジア美術館/福岡)、「Sequence」(コニカミノルタプラザ/東京)などがある。 |
<渡辺 友規展> 遠くまでゆく。 ただあることが見えてくるまでゆく。 地つづく限り歩き続けるしかない。 私、野に帰す。 足下を照らす。 全体を慮る。 蠢くものの純化された営みは続く。 要素は後ずさり、元素が浮かびあがる。 撮影地はトルコ共和国。懐かしい場所に帰ったような、あたたかな人々と大地に出逢えた旅となった。 タイトルは、直訳すると「地上にある」である。 作者は、旅においてピュアな発見の喜びに満ちること、最大限に自分を無にして見つめること。にじり寄って距離をつめること。そして待つというよりは引き寄せることを撮影の肝としている。 |
<作者のプロフィール> 渡辺 友規(ワタナベ トモノリ) 1976年福島県生まれ。2001年千葉大学教育学部卒業。在学中に独学で写真を始める。卒業後、客船写真師として世界一周クルーズなどを担当する。その後スタジオマンとして勤務後、国内外へ撮影の旅を続けている。 |
|
宮崎 豊展 |
8/13 (木)~8/26 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 8/15 (土)、8/16 (日) 休館 |
<写真展内容> 大阪という大都市を流れる淀川は、広い河川敷を有しており、そこはまさに都心のオアシスである。 この淀川河川敷は、都心では残り少ない自然がいまだに豊富に残されていることから、人々の憩いの空間として利用される貴重な場所だ。 また作者にとって淀川は、まさに「母なる川」でもある。なぜなら、作者が生まれたのは淀川の横であり、その河川敷はもの心ついた幼いころからの遊び場所であった。そしてこの思い出がいっぱいに詰まった場所に今でも身を置くことで、いつも心が癒されるからである。 今まで都会においては開発が多くなされ、自然が破壊されてきたが、ここ淀川にはまだまだ自然が残されている。 作者は、これら都会における淀川の貴重な自然を、ぜひとも後世に残していかなければならないことの大切さを、本展を通じて訴えようとしている。 展示する作品は、これら自然空間に贅沢にも作者自身の部屋が在ったとしたものを想像し、そこから窓越しに眺めた風景を、カメラ(自製ピンホールカメラ)の特性を活かして撮影したものである。モノクロ42点。 |
<作者のプロフィール> 宮崎 豊(ミヤザキ ユタカ) 1949年生まれ。64年より写真を始める。その後各種コンテストで入賞。グループ展多数開催。「写団蟲」代表。ニッコールクラブキャッスル大阪支部長。 |
|
志方 源太郎展 |
8/27 (木)~9/9 (水) 11:00~19:00(最終日は15:00まで) 会期中無休 |
<写真展内容> 愛機FEを首に、D80は肩に、そうしてリコーGRを右手に持ち、出会いを求めてフラフラと出かけるのが作者のいつものスタイルである。撮影エリアは道頓堀からアメリカ村、そうして最後に行き着くところは西成の新世界である。というのも、大阪を知るエッセンスがこれらの地に凝縮しているからだ。 『大阪人生』は、作者がこの場所を中心に3年前から撮り始め、この作業は今もなお継続され、作者のライフワークの一環でもある。 大阪人の等身大に生きる姿は、こてこてとした脂っぽい部分と、今話題の大阪のおばちゃんパワーが混じり合う異様な臭気の部分から成り立ち、作者はそれを『大阪人生』と位置づけ、まだまだ深く潜んだところの臭気を撮り続けていこうとしている。 本展では、展示する51枚の写真のトップに、ある男の顔をもってきている。大阪で生きるがために切り刻まれた刀傷は彼そのものの人生であり、また最後に飾った彼の写真では、捨てられていた野良犬を今や彼の分身として愛し、椅子に座って遠くを見つめる姿が、まさしく『大阪人生』を達観したように見える。モノクロ作品。 |
<作者のプロフィール> 志方 源太郎(シカタ ゲンタロウ) 1942年大阪生まれ。83年奈良県写真作家協会(NPS)会長就任。94年ニッコールクラブ奈良支部副支部長就任。95年第43回ニッコールフォトコンテスト第1部特選入賞。2006年奈良読売写真クラブ(YPC)会長就任。アサヒカメラ モノクロームプリント年度賞第3位入賞。08年第56回ニッコールフォトコンテスト第1部準特選入賞。 写真展に、98年「原風景大和路山辺の道」、2004年「私の見た街角 イタリア」(以上個展、奈良市写真美術館)などがある。 |