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juna21
大丸 剛史展 [東京タワー]
谷井 隆太展 [ものみゆさん]

4/30 (木)~5/6 (水)
11:00~19:00(最終日は15:00まで)
会期中無休




[東京タワー]

<大丸 剛史展>
作者は東京タワーの近くを歩いていて、街並みの隙間から先端だけが見えたり、ビルに一部が反射したりする状況に数多く出会った。確かに300メートル以上の高さを誇る紅白の電波塔は、周囲の建築物や街並みから抜群に目立っていて、断片や映り込みが見えただけにも関わらず「東京タワーだ」とすぐに分かる。
外見だけでなく、国家全体の希望があった時代に建設され、半世紀もの間日本と東京のシンボルとして培ってきたイメージとしての姿も作用しているのだろう。
ある時、作者はタワーの断片が経験や記憶との化学反応を起こし、頭の中であの全体像が瞬時に膨らんでいく、そんな想像をした。
イメージという能力は、どこまで東京タワーを構築させようと脅迫するのか。あるいは、どこまで細切れにすれば東京タワーから解放されるのか。その分水嶺はどこにあるのか。
もしかしたら、ものの姿とは不完全で不安定な私たちそれぞれの頭の中にしかないのかもしれない。
東京都墨田区に建設されている新タワーの名称は「東京スカイツリー」に決まった。誰もが予想した「新東京タワー」にならなかったのは、現タワーの持つイメージや歴史を受け継ぐことがいかに困難であるかを物語っているように思える。



<作者のプロフィール>
大丸 剛史(オオマル コウジ)
1980年福岡県生まれ。2004年早稲田大学社会科学部卒業。2009年早稲田大学芸術学校空間映像科卒業。





[ものみゆさん]

<谷井 隆太展>
作者はここ2、3年、仕事や創作活動のために、毎日のように行楽地に出掛けていた。しかし行楽地にいながら、そこを訪れている人々を傍から見ては、「そもそも行楽って何なんだろう?」と引っ掛かりを感じていた。そして今回その解答を探るべく、またしても作者は行きつけの行楽地へと出掛け、作品作りに取り掛かった。
今回の創作は、撮影以前に「ものみゆさん」というタイトルを付けることからスタートしている。“物見遊山”と“行楽”は類義語だが、作者は前者の方に不思議な懐かしさと洒脱なくつろぎを感じ、“物見遊山”という言葉が抱えるイメージを頼りに、行楽の景色を写真の中におさめていった。そして人の存在が自由で自律したものであって欲しいという、個人的な願いも同時に込めることで、結果的に作者の理想郷を探す創作ともなっている。
今回撮影に出掛けて、飽き飽きしていた行楽地に何故か心地よさを感じるようになった作者だが、その理由は様々あるが、創作を通して作者自身が他の誰よりも、実は物見遊山を楽しんでいたからかもしれない。



<作者のプロフィール>
谷井 隆太(タニイ リュウタ)
1979年兵庫県生まれ。2004年法政大学文学部卒業(学芸員資格取得)。06年文教スタヂオ退社。08年コニカミノルタフォト・プレミオ賞入賞。写真展(個展)に、「えきすとら」(コニカミノルタプラザ)がある。
なお、「日本カメラ」(12月号)に本展と同タイトル「ものみゆさん」掲載予定である。
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