<写真展内容>
バスが未舗装の道にさしかかると、水を飲みに路上におりていた蝶たちが一斉に飛び上がった。作者が10歳の頃長野県で見た光景だ。
風景の中に蝶がいて、おぼろげな背景の中で、蝶だけがやけに鮮明に脳裏に焼き付いた。蝶は水たまりから水を飲む習性がある。土から溶け出したミネラル分を摂取するためだという。不思議なことに集るのは全てオスだ。
2006年作者はペルー・アマゾンの、無数の蝶が飛び交う路上を歩いていた。少年時代の蝶との出会いが鮮明によみがえってきた。写真を撮ることさえ忘れ、憑かれたように、ただただ歩き続けた。
2007年、2008年と作者は、マレーシア、マダガスカル、フランス、そして日本各地に蝶を追った。
本展を開催するにあたり、写真をセレクトしていくと、未だ歩き続ける作者がいるのみだった。作者にとっての「蝶の道」はまだまだ続いているが、展示する作品は最新作をメインに、1980年ごろからの古い写真も何点か展示する。カラー約50点。 |