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笹岡 啓子展 [PARK CITY]
8/20 (水)~9/2 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休 |
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<写真展内容>
広島市郊外で生まれ育った作者は、幼い頃から当然のように8月6日を知っていた。日本中、世界中がその日を知っていると思っていた。誰もが歴史の授業で出来事を教わり、毎年、平和教育として被曝体験を読んだり聞いたりしているのだと思っていた。それがあたりまえで、特別な日や特別なことではなかった。
しかし上京してからはあたりまえのことも忘れていた。広島出身だとわかると、たいていは修学旅行で行ったことがある、と返ってくるけれど、具体的なことはほとんど知られていないのだと知った。
そうしてはじめて外側からみた広島の街は、中心がなにかぽっかりと抜け落ちているように感じた。都市の中心には平和記念公園と資料館があり、その内部には石に焼きつけられた人影、焼け焦げた衣服や三輪車、焼けただれ皮膚の垂れ下がった人形模型などが陳列されている。公園は慰霊の場であり、日常的な通勤通学路であり、一時立ち寄る観光地でもある。
作者は確たる手がかりを見つけることができないまま、がらんとした公園の風景を撮る。公園と死者の〈存在〉において、そして記憶と生者の〈不在〉において、広島という都市は過去と現在が入れ子状となった時間を生かされているかのようだ。あたりまえのように過ごしてきた街は特殊な場所だった。作者は写真を撮ることで、その時制を一気に横断しようとしている。
展示する作品は、2001年より撮影を続ける平和記念公園と資料館内外、及びその周辺の風景である。モノクロ80点。 |
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<作者のプロフィール>
笹岡 啓子(ササオカ ケイコ)
1978年広島県生まれ。2002年東京造形大学卒業。08年「VOCA展2008」においてVOCA奨励賞受賞。
写真展(個展)に、01年「習作 landscape」(photographers’gallery/東京)、「限界」(八月社ART/東京)、02年「限界」(photographers’gallery/東京)、04年「PARK CITY」(photographers’gallery/東京)、「観光 KANKO」(IKAZUCHI/東京)、05年「観光 KANKO」(photographers’gallery/東京)、07年「観光 KANKO」(Asia Photographer’s Gallery/福岡)、08年「水域」(photographers’gallery/東京)、「SASAOKA Keiko 2001-2007」(タマダプロジェクト/東京)などがあり、(グループ展)に、02年「フォトネシア・光の記憶 時の果実 photographers‘gallery展」(前島アートセンター/沖縄)、03年「JAPAN: Contemporary Ceramics and photography」(Deichtorhallen/ハンブルグ)、「photographers’gallery」展(中京大学アートギャラリー C・スクエア/愛知)、04年「PENTAGON――presented by photographers’gallery」(Gallery Photography, College of Arts, Chung-Ang University/韓国)、「横濱写真館」(Bank ART 1929/神奈川)、05年「現代写真の母型 2005 サイト・グラフィックス―風景の変貌展」(川崎市市民ミュージアム/神奈川)、「借りた場所、借りた時間 photographers’gallery 横浜展」(Bank ART Studio NYK/神奈川)、06年「The Story of Snow」(Moon Shin Museum, Sookmyung Women’s University/韓国・ソウル)、「ICANOF Media Art Show 2006 ―TELOMERC展」(八戸市美術館/青森)、07年「写真0年 沖縄 連動展」(那覇市民ギャラリー/沖縄)、08年「VOCA展2008 -新しい平面の作家たち-」(上野の森美術館/東京)などがある。
作品集に02年『HORIZONS』、04年『PARK CITY』、『観光 KANKO』、05年『PARK CITY』(以上photographers’gallery発行)があり、03年から『photographers’gallery press』(no.2~7責任編集)がある。 |
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