<写真展内容>
展示する作品はすべて人々の日常的なフィールドで撮影されたものである。
人々はそこに住み、学校へ通ったり、会社へ通勤したり、買物をしたり、食事をしたり、寝て身体を休めたり、スポーツをしたり、趣味をしたり、そんな連続した日々の反復を繰り返している。作者はそんなどこにでもあるような、特別でないフィールドで撮影を行った。
作者は、特別でないところを、日々写真を撮りながらウロついていると、特別ではないところとは裏腹の違和感、あるいは不気味さを感じることがあるという。その非常に言葉にしにくい微妙な感覚を写真で表現しようと始めたのが本展の作品である。
タイトルの「♭-broken」は、本来は半音ズレたギターの奏法をさす言葉だが、(flatな)連続性を(broken)断ち切り、分断した目で見るという意味でつけたという。
作品は、1枚の写真について6~8枚の画像でできているが、それはデジタル一眼とシフトレンズを使って13枚に分けて画像を撮影し、その中の6~8枚の画像を繋ぎ合わせて1枚の作品にしたものである。
この方法は、当初はプリント解像度を保持するために始めたことだったが、ほんの数秒から数十秒の時間的ズレと、非常に微妙な消失点のズレを持った画像を繋ぎ合わせることで、解像度とそれらのズレが相まって、なんらかの表現効果をもたらしている。デジタルカラープリント88点。 |