|
|
|
野村 次郎展
[ある日]
9/25 (火)~10/1 (月)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休 |
|
<写真展内容>
撮る行為を重ねることで自分の中で何かが沈殿し、底の方でリンクし始める。集まった写真が何を意味しているかわからないが、現実というあやうい時間に身を委ねて生きている中、それらの写真を眺めると自己安堵する。それはきっと錯覚にちがいないのだけれども。
作者は人気のない世界が好きだった。そんな場所を求めて多摩川か地元の奥武蔵の山へ散策に出かけ、写真を撮った。今はもうなくなってしまったが朝霧のたつ妻坂峠から大持山へ抜ける蔦のある景色。崖くずれの絶えない逆川林道や大名栗林道。姉の住むあきる野市にある多摩川上流の音のない林の中。
時間のない世界に生きていると、時間を感じさせない世界が愛おしく思える。山の中にある作者の家も時間がない。祖母が作者の家に遊びに来たのは、亡くなる1年くらい前のことであった。5月の気持ちのいい季節だったような気がする。庭に椅子をもっていき、祖母を座らせ、お茶を飲んでもらった。小さな花を手に渡すと、何十分もその花を見つめていた。その姿が忘れられない。部屋の中でもときどき思い出したように昔の事を話し、満足するとじっとしている。薄暗い部屋の中を、杖を使ってゆっくりとゆっくりとスローシャッターでもブレないくらいの速度で歩いていく。家の10歳になる吠えない犬を見ていると、祖母を思い出す。みんな時間から遠ざかった住人で、その背後に世界はない。静けさだけが残る。モノクロ37点。 |
|
<作者のプロフィール>
野村 次郎(ノムラ ジロウ)
1972年東京都生まれ。大学を休学してインドに滞在。東京綜合写真専門学校除籍。武蔵大学中退。2000年写真を再開。工事現場に魅せられ、フィルム200本を撮影。01~02年プレイスMのワークショップに参加。02年個展「Silence」を発表。以降、家族や身の周りの人、林道のカーブや河原を摂りつづけている。 |
|