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志鎌 猛展 [森の襞 Silent Respiration of Forests]
7/25 (水)~8/7 (火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで) 会期中無休 |
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<写真展内容>
2001年初秋の夕暮れ。作者は山道に迷い、偶然出会った小暗い森で、ふいに写真を撮りたい気持に捉えられた。翌日、カメラを担いで出直し、その場所を探した。こうして作者は、森の写真を撮っているのではなく、森に写真を撮らされている自分に気づくことになる。
振り返ってみると、そうなったはじまりは作者自身の手で山小屋を建て始めたことだったかもしれないと思いあたる。小さな森の中に小屋の敷地を拓くため、樹齢80年あまりの赤松を伐り、倒れた木に跨って樹皮を剥いだあの時の感覚は、それから何年経っても蘇る。木が地面に横たわった瞬間の地響きに全身が揺さぶられ、見上げた空の思いがけない広さにしばし呆然とした。手斧の刃先からほとばしった樹液を、まるで返り血のように浴びせられ、木の生命を肌で感じ、とっさに、それをこれから建てる家に生かしたいと心に決めた。
小屋はその後10年がかりで完成した。土台も大黒柱も梁も、もともとその森に立っていた36本の赤松である。きっとそのせいで、すこぶる居心地がいい。そして作者は、小屋を建てるために木に触れ続けるうちに、以前は見えなかった何か、聞えなかった何かを、感じるようになった気がする。その何かに惹かれて、日本中の森の中に入っていくようになったのかもしれない。
本展は、森の力が作者に撮らせてくれた作品である。モノクロ38点。 |
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<作者のプロフィール>
志鎌 猛(シカマ タケシ)
1948年東京都生まれ。70年青山学院大学中退。グラフィックデザイナーとしてデザイン事務所に勤務。75年フォトグラファーに転身。2002年からファインアート写真家として活動をはじめ、モノクローム写真の制作に取り組む。07年第32回日本写真家協会JPS展入選。
写真展は04年から個展4回、グループ展1回開催。写真集に『森の襞―Silent Respiration of Forests』(冬青社)がある。 |
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