Nikon Imaging
Japan
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銀座ニコンサロン


ニコンサロン特別展
江成常夫写真展
[生と死の時]

1/4(木)~1/16(火)
10:00~19:00(最終日は16:00まで)
会期中無休





<写真展内容>
作者は今年、古希を迎えた。これまでの30年余り、「昭和の15年戦争」のもとでの生と死を見詰めることで、戦後日本人の精神性を問い続けてきた。
右の腋の下に現われた腫物が悪性腫瘍であることを宣告されたのは、6年半前の2000年5月であった。切除手術だけでは済まず、放射線治療と化学療法を余儀なくされ、そのうち「鬱」というブラックホールにも似た異界へと追い込まれた。
作者はその時まで生と対峙する死を概念として分かっていても、実感として受け止めたことはなかったが、肉体にメスが入ってからは、彼岸は身近なものになった。そして庭先の季節の移ろいに目を向け、生ある証としてのポートレートを撮り始めるのは、手術から8ヵ月ほど経ってからであった。
作者は自分を写しとる意図ははっきりしていたが、庭先の花や見慣れた風景に目を遣ることに格別の所以はなかった。ただ、何かにレンズを向け、無心になることで病魔から逃れようとしていたことは確かである。
手術の時から約3年半の記憶と肖像、曖昧模糊とした形象は、此岸と彼岸の間を彷徨していた『生と死の時』の隠喩とでも言えるのかもしれない。さらに言えば、死にかかわる禍事を体験することで会得した死生観と、写真表現者としての心のうちを写真に託している。



<作者のプロフィール>
江成 常夫(エナリ ツネオ)
1936年神奈川県相模原市生まれ。62年毎日新聞社入社。74年退社し、フリーとなる。同年米国ニューヨークに滞在し、ニューヨークの家族などを撮影。78年カリフォルニアに滞在し、日本人の戦争花嫁を撮影。以後、中国にとり残された日本人戦争孤児、孤児を生んだ旧満洲、「ヒロシマ」など、一貫して「昭和の戦争」にかかわるテーマと向かい続ける。現在ニッコールクラブ会長。九州産業大学大学院教授。
81年木村伊兵衛賞、85年土門拳賞、95年毎日芸術賞、2001年神奈川文化賞など受賞。02年紫綬褒章を受章。
写真集、著作物に『花嫁のアメリカ』(講談社)、『シャオハイの満洲』(集英社)、『まぼろし国満洲』『記憶の光景・十人のヒロシマ』『ヒロシマ・万象』(以上、新潮社)、『レンズに映った昭和』(集英社新書)などがある。
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