<後藤 啓太写真展内容>
単調に過ぎ行く日々の中、飽くことなく繰り返され、気がつくとたまっている写真。これらはいつもふとした拍子に一つのカタマリになろうとして、作者に声をかける。「今やらなくてどうする」「あそこが呼んでいるぞ」「ここで一つの物語が待っているぞ」と。
2年前、作者の祖父が亡くなった。身近な人の死に直面した瞬間、その前後の時間。一見、関わり合いのない物々も、結局は自分の関わった一つの時間であることに変わりはない。
普段と違う心境の作者。そんなことに構うことなくガタンゴトンと動き続けていく列車。いつまでも残っているのは、祖父の葬儀の日に感じた列車の振動である。それらを含む作者が関わった多くの時間の中で起きたささいな揺れ、大きな揺れの余韻を抱えながら、人は動き続けてゆかなければならない。
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