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張 蒼松写真展
[家族の記 ―台湾大地震から五年]
11/29(月)~12/11(土)
10:00~19:00
12/5(日) 休館 |
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<写真展内容>
1999年9月21日、台湾中部は大地震に見舞われた。家の形は、テント、自動車、コンテナハウス、軍の兵営、仮設住宅などへと変わり、崩れた家にそのまま住み続ける人もいた。
当時作者は50軒の家庭を訪ねた。それぞれの家族の写真を撮った時のことを思い出すと、「ちょっと待って、髪を梳かすから」と言う人は一人もなく、写真を撮る時に普通なら見せる「襟を正す」といった本能的な仕草もなく、誰もがそのままの姿でカメラの前に立った。おそらく再建に忙しく、細かいことまで気が回らなかったのだろう。作者は、そこに今を生きる人々の勇気を感じた。
大震災から5年目を迎える頃、作者は7ヵ月の時間をかけて、当時訪ねた36家庭を再び訪ねた。「過去」と「現在」の2枚の写真を対比することで、大震災からの再建の様子を示すとともに、人の世の無常を映し出したかった。
家庭の再建と生活という重荷を担う家長の顔を見ると、そこには苦難を経てきた歳月が刻まれている。再建が進んでいようといまいと、多くの人は分に安んじてそれぞれの人生と向き合っている。
フロイトは「痛みは記憶を完全に吐き出した後、ようやく引いていく」と言った。報道写真という媒介が、その促進剤となると作者は信じている。今年の9月で台湾大地震から満5年、来年の1月には阪神大震災から満10周年を迎える。地震は遠い存在になったかのように感じられるが、同じ地震帯に位置する台湾と日本では、地震の記憶は人生の知恵へと昇華しているのだろうか。モノクロ58点。 |
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<作者のプロフィール>
1954年台湾台中県生まれ。82~85年東京写真専門学校で商業と報道写真(芸術コース)を学ぶ。92~94年「台北撮影節」において副総幹事および総幹事を務める。96~98年「台中撮影藝廊」執行長就任。98~2001年国立台湾美術館「台湾写真史」研究プロジェクト主宰。01年中国時報「撮影家映画館」コラムニスト。
写真展に、86年「東京鴻爪」(台北爵士撮影藝廊・台中市立文化中心)、91年「秋の緯度美」(ドイフォトプラザ渋谷・省立台湾美術館)、93年「人間有情」、2002年「繭中紅塵」(以上、台北爵士撮影藝廊)、03年「繭の中の繭―精神病院にて」(銀座ニコンサロン)などがある。
出版物に、93年『人間有情』(皇冠文学出版)、97年『典蔵萬華歳月』(時報文化出版)、02年『集集大震災―台湾家族集体記憶』、『繭中紅塵』(以上、木馬文化出版)、03年『回首台湾百年撮影幽光』(国立歴史博物館出版)、04年『提煉時光的情味』『百年足跡重現』(台中市文化局出版)、『家族の記憶をみつめる』(経典雑誌出版)などがある。なお作品は、台中市立美術館、国立台湾美術館、台北国文記念館にコレクションされている。 |
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