2020年7月23日(木) 〜 2020年7月29日(水) 日曜休館
2020年9月23日(水) 〜 2020年10月 6日(火) 日曜休館
本展ではイランにおけるネオンカリグラフィーを撮影したシリーズを展示する。イスラーム圏であるペルシアでは伝統的に書道文化が発展してきたが、現在ではその一端を街に灯るネオンにも見出すことができる。ネオンの看板屋が並ぶ通りでは各店がその腕を競い合うように“書”を発光させている。
イスラームにおいて書は「霊魂の幾何学」であり、見えない神的生成の流れを筆を通じて「見えるもの」へと結晶化させたものであると言われる。さらに、ある中世ペルシアのスーフィーによると“至高の筆”は光そのものであるという。つまり眼によって知覚しうるもの全てが(神による)カリグラフィーということだ。ここにおいて世界は神的な筆による“photo”「光」“graph”「描かれたもの」の不断の運動というヴィジョンが到来する。闇夜を疾駆する光の筆の運動。それは闇を引き裂き、神的生成の光子を放電する、速度であり、線分であり、痕跡の結晶なのである。
(下川晋平)
<新型コロナウイルス感染症拡大防止のため中止いたしました写真展の会期を変更して開催いたします>
1986年 長野県生まれ
大学時代に神学・美学・哲学を学び、アジア、中東地域へのフィールドワークを重ねる。言葉とイメージの往還や、様々な土地の物語をテーマに写真作品を制作。近年では従来のオリエンタリズム的な表象から逃れる「中東」の<光−イメージ>を探求している。