2020年1月29日(水) 〜 2020年2月11日(火) 日曜休館
2020年2月20日(木) 〜 2020年3月 4日(水) 日曜休館
わたしは写真と書を用いて、「人間という存在」について問いかけます。
プロジェクトとして、わたしは「祈り・誓い・願い」から文身を施す人を、インターネット等により募集しました。その、祈り、誓い、願いが、言葉となり、また、一文字の書となったものが、ここに見る、その身体へ刻まれています。その過程や、そこでの姿が、ここに写し出されています。
「文身」と書いて「ブンシン」と訓みますが、訓読して、これを「イレズミ」と訓むこともできます。この「イレズミ」は、宗教や文化等に応じて幾つかの意味や価値を生じさせる多義性を持つ行為となっています。日本においてイレズミは、刑罰としての「負の文脈」を有しながら、一方で祈りや誓い、願いや神聖化の意味合いで行われる「正の文脈」を併せ持つ行為でした。
身(からだ)への文(あや)、それを見る人の心には、美醜、尊卑、善悪というように、異なる感情へのズレが存在することになります。このような行為と意味の間にある「意識のズレ」を扱うことで、わたしは「人間性」について問いを投げかけています。
そして、また、これら「ことば」と「からだ」という二つの個人性から、「人間の生命」や「時間というもの」に対して、まなざしを向けていきたいと考えています。
(桐生眞輔)
1978年 京都府生まれ
奈良教育大学 教育学部 総合文化科学課程 書法芸術専修卒業
奈良教育大学大学院 教育学研究科 美術教育専攻 書道コース修了
東京芸術大学大学院 美術研究科 美術専攻 先端芸術表現科 修了
東京芸術大学大学院 博士課程 美術研究科 美術専攻 先端芸術表現領域修了 博士(美術)
現在、京都造形芸術大学 文明哲学研究所 特別研究員
著書(単著)
2020年 『文身(仮題)』赤々舎
2019年 『文身 デザインされた聖のかたち』ミネルヴァ書房
掲載物
2014年 朝霧裕 『バリアフリーのその先へ』岩波書店
2012年 上原隆 『こんな日もあるさ』文藝春秋
2009年 Mariko Takeuchi, Infra Mince T.5 : Notes sur l'"heureux échec" de la photographie et sur ses possibilités au present, Ecole Nationale Superieure de la Photographie,Paris.