2019年5月 1日(水) 〜 2019年5月14日(火) 休館:5/3(金)、5/4(土)、5/5(日)、5/6(月)、日曜休館
2019年5月23日(木) 〜 2019年6月 5日(水) 日曜休館
土を作り、種を蒔き、水をやり、実った果実を収穫する。それが祖父の目的であり、庭との関わりだった。しかし、晩年を迎えた祖父の庭には、目的であった植物だけではなく、雑草や成長を過ぎた緑が豊富に茂っている。少しの隙間を見れば種子が芽吹く、野性的で濃密な緑。それは祖父の意図から外れた不可抗力の緑だった。
「もう一ヶ月は庭には出ていない」「収穫時期はとっくに過ぎた」そう呟く祖父がいる。その家に移り住んでから50年以上の年月が過ぎていた。
時の流れとともに、人と植物の生命力の重なりは逆転し、祖父の手は、庭ひとつ、鉢ひとつをとっても行き届くことが難しくなっていたのだ。祖父の今が、その緑の豊かさを生み出していた。それは、この場所の緑を育てる力の源でもあった。
場所の記録は、一人の人の記録へと変化していた。生命力の象徴である緑は絶えず私の心を掴んでやまないが、この緑を見ることは同時に祖父の今を見ているのだと、その色彩と密度を持って教えてくれている。(片岡 俊)
1984年 京都府 生まれ
【受賞】
2018年 東川国際写真フェスティバル 赤レンガ・公開ポートフォリオオーディション 準グランプリ
2014年 KAWABA NEW-NATURE PHOTO AWARD 2014 グランプリ
【個展】
2018年 Parallel Leaves(YAK Kyoto、京都)
2016年 吸水(galleryMain、京都)
2010年 Touch(id Gallery、京都)
【グループ展】
2017年 CITYRAT press. Photo Exhibition(IRORIMURA 89画廊、大阪)
2016年 Three and Eight[Portfolio book format](Zen Foto Gallery、東京)
2015年 自然文化特別写真展 SPECIAL EXHIBITION NEW-NATURE(川場村歴史民俗資料館、群馬)
2013年 INDEPENDENT LIGHT ’UNTITLED PHOTOGRAPHY SHOW 02’(Play、大阪)