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2007年度 三木淳賞奨励賞
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Eun-Kyung, SHIN写真展 「Wedding Hall」 |
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内容:
結婚とは夫と妻の関係を作り出し、ひとつの家族を構成することになる社会的な体系である。
結婚式は神聖な儀式であるはずなのに、わが韓国では社交上の儀礼、それも味気ないものになりがちだ。結婚式場は至る所にあるものの、もとからあるこの国の建造物と調和するものはきわめて少ない。わが国の結婚式場は本物のヨーロッパ建築ではないし、内装も単なる真似や見せかけにすぎない。しかし、結婚しようとする人々は結婚式場を探しまわり、結婚式はそういう本物ではない空間で執り行われてきている。
結婚式場を通じてわが国の異国文化を表現してみた。
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授賞理由:
韓国の結婚式場の内部空間をタイポロジーの手法で撮り進めた作品である。それらの多くは、ナショナル アイデンティティとはほど遠く、東西の“幸せ”らしき記号を剥離し、寄せ集めた無国籍な装飾に彩られている。そのような空間を大型カメラで精緻に、且つ色調をうまくコントロールした表現の完成度は見事である。そのあまりにも丁寧で、美しい、精緻な表現が一転し、事物のリアリティを喪失させ、仮想性を肥大し、作りモノの底の浅さ露呈させることに成功している。結婚式という人生の大事に虚構空間を借り、自らを欺瞞までして挙行している時代の流行に、作者は鋭い疑問を差し挟んでいる。こと、日本に於いても事情は同じようなことではある。さらにいえば、結婚は、かくも虚飾化しなければならないほど男女の不幸の入り口なのだ!? というアイロニーへと、大きくテーマ展開していく面白さもある。 |
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作者略歴:
Eun-Kyung, SHIN
1973年韓国生まれ。Chung-Ang大学美術修士号(写真学)。現在フリー写真家と教職を兼ねる。 |
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