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第4回(2002年) 三木淳賞
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選考理由:
ハルビンの “春雪(旧正月)”をルポルタージュしたドキュメントである。厳寒の中、街は1年で最も賑やかで活気に溢れるという。この作品には、中国を対象とする写真表現にありがちな政治性がなく、開放的で楽しげだ。改革開放経済を謳歌し、未来を約束された喜びともとれる明るさに満ちている。人々の表情に映える赤い花火が晴々とした心を象徴しているかのようだ。しかし、その妖艶な赤色の中に、春の訪れに対する作者の懐疑的な視線が感じられる。過去を背負い、中国と自身を図るかのように、街の喧騒の中に立ちすくむ作者が感じられる。そこに鋭い批評性を感じるのだ。この重層的な視線が見事である。 |
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作者略歴:
1974年、中国ハルビン市生まれ。94年、来日。九州産業大学芸術学部写真学科卒業後、同大学大学院芸術研究科入学。2000~2001年度コニカフォトプレミオ入賞。01年、市民写真コンテスト「博多地撮り」展で日本カメラ賞受賞。写真展に「中国・張祥村の夢」(新宿コニカプラザ)、2人展「温もり」(福岡富士フォトギャラリー)などがある。 |
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