「櫻花図」は、山崎博がこの10年テーマにしている“櫻”を題材としたものである。この作品では、レンズを使用せずに小さなストロボを光源にして、直接6×7のフィルムに“櫻”を描いたフォトグラムの手法を用いている。小さな櫻の花びら一枚一枚の姿を繊細にとらえ、“櫻”に象徴される淡くあやうい精神性までも描き出している。また、この作品のもうひとつの主題は“光”である。彼はこの作品で写真における“光”の役割を根本から考えている。作品自体が優れた写真論として結実しているともいえるだろう。作品のクオリティの高さに、全審査員が絶賛するところであった。
1946年、長野県に生まれる。69年より写真をはじめ、83年日本写真協会新人賞を、94年には、全国カレンダー展総理大臣賞をそれぞれ受賞。また作品は、ニューヨーク近代美術館や東京都写真美術館など多数の美術館にパーマネント・コレクションされている。現在、東北芸術工科大学教授。
写真集に、「ヘリオグラフィー」(83年青弓社)、「水平線採集」(89年六耀社)などがあり、写真展(個展)に、74年「オブザベイション」(ガレリアグラフィカ)、78年「ヘリオグラフィー」(藍画廊)、82年「ヘリオグラフィー・デイ&イヤー」(ニコンサロン)、90年「櫻」(ツアイト・フォト・サロン)等があり、グループ展に、「'78 ニュージャパニーズアバンギャルドフィルム」(ニューヨーク近代美術館)、「自写像・日本」(国際写真センター)などがある。