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第23回(1998年) 伊奈信男賞
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神村 光洋 「ZOO」
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選考理由:
「ZOO」は、日頃見慣れた動物園の檻の光景を、まるで演劇の舞台装置のように思わせてくれる。現在の動物園は最新技術を活用し、安全性と清潔度を高め、見る側に娯楽性と快適さを提供している。しかしこの作品は、私たちの「見たい」という欲望を見つめ、展示装置としての動物園にこの時代の危機―パラドックスを洞察した。端的に表された動物園は舞台装置のように見え、私たちに自分たちが生み出した欲望の形を客席から見つめているような錯覚をもたらす。光を精緻にとらえるドラマチックな手法は、一層充実した表現を達成した。自分の写真法を揺るぎなく持続する姿勢、ケレン味ない剛直ともいえる写真表現。写真表現自体が持つ批評性の表れに、改めて感銘を受けた。
作者プロフィール:
1948年東京都生まれ。日本大学芸術学部写真学科中退。
個展=95年「スペクトログラム」(コニカプラザ新宿)、96年「壁」(新宿ニコンサロン)
写真集=96年「壁」 |
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