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PAGETOP
Vol.
09

林 典子 × AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED

18-35mm f/3.5-4.5G。異国の素顔を撮るために。

09
写真家としての出発点は学生時代、西アフリカ西岸の小さな国、ガンビア共和国の新聞社からだった。そしていま、日本、そして世界の国や地域に暮らす人々の日常から見えてくる“社会の姿”を撮り続けている。今回の撮影地はイラン北東部、ゴレスターン州のゴンバデ・カーヴース。目的は、隣国トルクメニスタンとの国境に近いこの町で行われる“ノウルーズ”という、イラン暦の新年を祝う祭りだ。レンズは小型・軽量で高解像な超広角ズーム、18‐35mm f/3.5-4.5G。カメラボディーは、ニコンFXフォーマット機で最小・最軽量のD600だ。
(次へ続く↘)

メインカット

・カメラ : D600 ・レンズ : AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED ・画質モード : 14ビットRAW(NEF) ・撮影モード:マニュアル、1/60秒、f/4.5 ・ホワイトバランス : オート1 ・ISO感度 : 640 ・ピクチャーコントロール : スタンダード

作品2:サランチャ(揺りかご)を揺らす母親

・カメラ:D600・レンズ:AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED・画質モード:14ビットRAW(NEF)・撮影モード:シャッター優先オート、1/80 秒、f/5・ホワイトバランス:オート1・ISO感度:1600・ピクチャーコントロール:スタンダード
09
イランの首都テヘランから数日かかる移動経路と、現地の生活に溶け込み、たとえ狭い室内であってもシャッターチャンスを逃さないことを考えた選択である。そしてこの地に暮らすかつての遊牧民、トルクメン人たちが町の中心地に数多く建てた“ユルタ”という伝統的なテントのひとつで、民族衣装を身にまとう少女に出会った。それほど広くはないテント中には、新たな年の始まりを祝う大勢の人がいた。しかし、ズームで彼女の周囲だけを切り取る。緻密な手の技で織り込まれたトルクメン絨毯を背景にして。
(次へ続く↙)
09
かなり暗い室内、ISO感度は640、露出を1/60秒に設定した。狙い通り、解像力の高いこのレンズで、鮮やかな衣装と独特のデザインが目を奪う装飾品、そして、希望に満ちた彼女の表情を克明に印象的に捉えることができた。この地、この時代、この瞬間にしかない表情がある。これからも、世界の暮らしの中に見える社会の素顔を撮り続ける
―― 私のNIKKORで。

作品3:美しい民族衣装の女性たち

・カメラ:D600・レンズ:AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED・画質モード:14ビットRAW(NEF)・撮影モード:絞り優先オート、1/400 秒、f/9・ホワイトバランス:曇天・ISO感度:400・ピクチャーコントロール:スタンダード

PHOTOGRAPHER

林 典子(はやし のりこ)

NIKKOR

AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED

BEHIND THE SCENE

撮影レポート
01
世界遺産の町、ゴンバデ・カーヴース

  • 羊をさばく男たちとイランの大地


  • 女性たちの暮らしを撮る

今回、林先生が訪れた場所はイラン北東部、カスピ海南岸に位置するゴレスターン州にあるゴンバデ・カーヴース。世界で最も高い「完全レンガ造り」の塔である “ゴンバデ・カーブース”で知られています。この十角形、72mの建造物は世界遺産に登録されています。しかし、今回の目的は搭ではなく、この地で行われる“ノウルーズ”。イラン暦の新年を祝う祭りで、西暦の3月初旬から4月の初旬にかけて行われるイランの一大イベントです。ゴンバデ・カーヴースは、イランの北側の隣国である、トルクメニスタンとの国境に近い町。トルクメニスタンの語源ともなった、かつての遊牧民であるトルクメン人たちが多く住んでおり、祝祭の様相もその独特の文化を反映します。林先生はイランの首都テヘランから数日をかけて現地入りし、トルクメン人たちの暮らしに溶け込みながら、その姿を撮り続けました。
02
小型・軽量の機材で、1日中撮り続ける

  • D600+AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED


  • 人々の暮らしの中にさりげなく入っていく

今回は1日中カメラを持ち歩いての撮影が続きました。たとえば、日の出前から羊飼いと伴に山を歩いて移動し村人たちの家々を訪ねるなど、常にカメラを持ちながらの取材と撮影。重量約385g、最大径約83mm、全長95mmの軽量・コンパクトなレンズと、FXフォーマット最小・最軽量のD600の組み合わせは、理想的だったようです。持ち運びはもちろん、ワイド端は18mmなので、狭い室内などでも十分に全体の雰囲気を捉えることができます。また、SWMの搭載による、静かなAF駆動、D600の静音モードなども、威圧感を与えず現地の暮らしに溶け込むことに役立ちました。そして、ニコンスーパーインテグレーテッドコーティングの効果。この地域には電気は来ていますがほとんど夜にしか使いません。日中でも部屋は薄暗く、光の入る窓辺などでの撮影は逆光になりがちです。その状況でもゴーストやフレアを抑え、クリアーな画像を得ることができました。
03
光の少ないテントの中、希望に輝く表情を捉えた

  • サランチャ(揺りかご)を揺らす母親


  • 自宅の明るい窓辺で食事をつくる

ノウルーズの間、町の中心地に数多く建てられるユルタという伝統的なテント。その中で食事を作って提供したり、衣服や食料品を販売したり、民族衣装を身にまとい家族や友人たちと新年を祝ったりする人々。そこで今回の最高の一枚が撮影されました。撮影の狙いは、トルクメン人たちが春の訪れに胸躍らせる、明るいイメージを表現することと同時に、大切に守られてきた文化を画面いっぱいに映し出すこと。室内を飾る絨毯は精巧で鮮やかな作りが特徴のトルクメン絨毯、左端の子どもがかぶっているのは羊の毛皮を使った伝統的なトルクメン人の帽子で、中央の女の子が身につけている銀の装飾品や髪飾りもトルクメン女性の伝統衣装です。光が少ない状況だったのですが、18-35mm f/3.5-4.5Gの高い解像力によって、それらを克明に描写でき、特に少女の表情をしっかりと捉えることができたと林先生はおっしゃっていました。

こちらに掲載されている情報は、2013年6月現在のものです。

DATA

撮影日: 2013.3.22
写真家: Noriko Hayashi
レンズ : AF-S NIKKOR 18-35mm f/3.5-4.5G ED
カメラボディー : Nikon D600
キーワード : その他
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