河合 莉子写真展
-
-
陰り照る
-
10/28 (火)
~11/3 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
それは例えるなら、いつの間にか私の中にあった絶対に崩れることのない、変わることのない確固たるもの、仏壇におやすみと言う祖母のように、日常の決まり事だった。
焼き付いた像には、私が美しいと信じるもの、清らかで神聖でひたすらに愛おしいある一つの何かが見える。海のように河のように絶えず動くが、何処へも行かず確かにそこにあってくれる。神様のように見守り続けてくれているそれにようやく気付いた。影の中落ちてくる、降ってくる光のように、心強く惹かれる。
絆かもしれない。愛かもしれない。雨の合間の空気も、じっと見つめる瞳も、桜も、老いた手も、朝の静かさも、言葉なんて要らないと思っていた。けれどあえて添えるなら、そういった言葉かもしれない。それをうつして、ただ留めておきたかった。ガラス瓶に詰めて窓際に飾るように、ずっとそこに置いておきたかった。 (河合莉子)
作者のプロフィール
河合 莉子(カワイ リコ)
1992年愛知県瀬戸市生まれ。2014年専門学校名古屋ビジュアルアーツ卒業。
折原 恵写真展
-
-
The Garden
-
11/4 (火)
~11/17 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
強烈な太陽の光を遮るように、南部の家は木々に覆われている。しかしここは山地でも田園地帯でもない。アメリカ南部ジョージア州アセンズ。大学町の、中心近くの住宅地だ。
作者は散歩をする。はじめは木造の華麗な南部造りの古い家に惹かれていた。子どもの頃によく見ていた、横に張った杉板に白や水色やのペンキをぬった洋館風の家や事務所や病院。もう日本中のどこにもそんな建物は残っていない。故郷喪失者の、幻の家を見るようで胸がしめつけられた。
庭を見ながら歩く。植物たちの自然さ。その庭は放置されているようで、カオスのようで、そのじつ人間の細やかな手がいきとどいている。
植物を見ながら裏庭の林の中へ。
庭の写真でもなく、建築の写真でもなく、さらに“風景写真”でもないものをもとめて。どこにでもある、かけがえのない、人のこころをうつした自然のたたずまいを味わいながら。人のいない風景のすみずみに、人の文化を感じながら。
作者は喉をごくりとさせ、それらを心身ぜんぶで受け入れるために、シャッターを押す。
作者のプロフィール
折原 恵(オリハラ ケイ)
児童図書出版、現代詩出版の編集者をへて、1977年よりフリーランスの写真家として主に雑誌媒体でドキュメンタリー、フォトエッセイ、ポートレートなどの仕事をする。
掲載媒体は、「現代詩手帖」「ポエム」を皮切りに、グラフ誌、女性誌など多数の雑誌で仕事をする。79~81年ニューヨーク滞在。83年「ジャナ」で月刊PLAYBOYドキュメントファイル大賞特別優秀作品賞受賞(集英社)。95年「ジャナ」「午後の乗客」東京都写真美術館永久保存。2004年米国ジョージア州アセンズに移住。09年『屋上のとんがり帽子』で日本絵本賞受賞(全国学校図書館協議会・毎日新聞社)。2010年よりニューヨーク在住。
主な写真展に、78年「SOUL SOUTH」(銀座ニコンサロン)、82年「ジャナ 1979-1981 New York」(新宿ミノルタ・フォトスペース)、84年「午後の乗客」(新宿ニコンサロン)、89年「HOMELESS TOWN」(四谷FROGギャラリー)、93年「復活の村」(銀座ニコンサロン)、2002年「water towers」(新宿コニカプラザ)、03年同展(滋賀県愛知川町びんてまりの館)、04年同展(京都町家ギャラリーやまだ)などがあり、写真集・著作に、83年『ジャナ The New York Girl』(集英社)、87年『タイ―マナと緑の大地』(シリーズ<世界の子どもたち>・偕成社)、99年『目に障害のある子といっしょに』他2冊(シリーズ<バリアフリーの本>・偕成社)、『フォトラブ』(エッセイ集・幻冬舎)、02年『屋上のとんがり帽子』(月刊たくさんのふしぎ・福音館書店)、08年『屋上のとんがり帽子』(単行本化・福音館書店)などがある。
辰巳 唯人写真展
-
-
Inside/Outside
-
11/18 (火)
~11/24 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
一日のうち、昼夜の入れ替わる夜明けと夕暮れのわずかな時間帯だけは、トンネル内外の光量が等しくなり、特別な操作なしに内と外を連続的に再現することが可能になる。
作者は、遠くの出口が、闇に浮かぶ惑星のように見えるのではないかと期待していた。
画面に現れたのは、調和というよりは、内/外、昼/夜、地上/地下といった異質なものどうしが境界を接してせめぎあう緊張や違和感のようなものであった。
半円形に枠どられた開口部の風景は、全体の画面の中に入れ子状に存在するもう一つのイメージである。それは、厚紙を望遠鏡のように丸めて外を眺める子供時代の遊びを思い出させもした。
作者は、トンネルという人工の地下空間を、様々な隠喩や想像力と接続させる場として利用しながら、見ることそれ自体が一つの出来事として経験されるようなイメージのあり方を提示したいと考えている。カラー約10点
作者のプロフィール
辰巳 唯人(タツミ タダヒト)
1980年北海道生まれ。2004年京都大学総合人間学部卒業。13年東京芸術大学大学院美術研究科先端芸術表現領域博士後期課程修了。
主な写真展に、05年「On Platform」(新宿ニコンサロン・ユーナ21)、09年「Flare」(東京芸術大学学生会館)などがある。
斎藤 純彦写真展
-
-
Milestones
-
11/25 (火)
~12/1 (月)
10:30~18:30(最終日は15時まで)
会期中無休
写真展内容
場所はいつも気にしている。気にしていても気付かないから余計に気にしている。
地図に引かれた線上で実地の風景が一変することは無く、街はいつも緩やかに繋がっている。
今自分が住む場所は、40年以上前に丘陵地帯の森林を切り開いて造成された街。ニュータウンや郊外といった言葉もその範囲の拡張と共に外側に去っており、場所が抱えた履歴も少しずつ朽ちて行く日常に埋もれ気に掛けることも無い。
自らが曖昧に引いた線の中で、ただ記録することを繰り返す。それによって立ち現れる里程標が指し示す、自分がどこにいるのかということを確認する作業として。 (斎藤純彦)
モノクロ45点。
作者のプロフィール
斎藤 純彦(サイトウ ヨシヒコ)
1973年北海道生まれ。日本写真芸術専門学校報道科自主卒業。2002年度ヤングポートフォリオ作品収蔵(清里フォトミュージアム)。13年より金村修ワークショップに参加。